第178話
カイ達3人はアベルトの街に行くまでの馬車の時間を使って、9つのダンジョンについて詳しいアルドレッド達を交えて最終確認をしていた。
9つあるダンジョンは距離で言えば3つと6つに分けられ、種類で言えば8つと1つに分けられる。
街の近くにある3つと離れにある5つは王都にあったようなスタンダード型で5階層ごとにボス部屋があるような仕様になっている。今回その仕様のダンジョンは30階層まで行くことをカイ達は目標としていた。
そして最後のダンジョン、このダンジョンは特殊な仕様になっていた。各階層がボス部屋なのだ。そのため危険度も他のダンジョンとは比較にならないためランクがC以上の冒険者しか入れないという制限がかかっている。もちろんカイ達はそのランクに達していないため入れないはずなのだが、シャリアに入るまでにどうにかすると言われていた。
「ダンジョンに関してはこんな感じだな。どんな順番で入るとか決めてんのか?」
「最初は『かけだし』って言われてるダンジョンで、その後は結局全部行くんで特に考えて無い。最後に『ボスダンジョン』ってことだけは決まってるけど」
「そうね…。アベルトのダンジョンは近い3ヵ所が他よりは安全だから先にその3ヵ所を最初にしておいた方が良いわ」
セレスの忠告を聞きカイ達は、かけだし・虫・アンデッド・火・水・緑・氷・風・ボスの順番で挑むことにした。
アベルトの街に着いたカイ達は、初日に準備して次の日の朝早くからダンジョン探索をする予定にしていた。
準備と言っても帝都にいるときにほとんど済ませたため、やることが無いため単に観光する予定だった。前回カイ達は急ぐために観光がほとんどできなかったため、観光できることを楽しみにしていた。そして、前からルナもカイ達とアベルトに来たかったのか、カイとミカの腕を引いて案内し始めた。
街を少し歩くと前回との違和感をカイとミカは感じるが、何に違和感を感じているのか分からないでいた。
それでもルナが楽しそうに案内してくれるために楽しく観光していた。
大通りの人混みに紛れながら歩いていると、噂話が流れてくる。
「何か、裏組織が活発になってるみたいだよ」
「えー、こわー。兵士さん達が見回りしてくれて無いの?」
「なんでも実態がつかめてないんだって。噂だと冒険者の中にもその組織に入ってる人達がいるんだって」
「えー、やっぱり冒険者って野蛮なの」
そんな話しを聞いて全員が良い顔をしない。ラウラだけは無表情だったが、発する空気は不機嫌その物だった。
「あんまり聞いてて、気分の良い話じゃねぇなー」
「そうね。戻ったら団長にアベルトの一斉捜査を申請した方が良いかしら?」
「その方が良い。何なら私も手伝う」
「ラウラさんに手伝ってもらえたら百人力だな」
大人たちが笑っている中でセレスとミカは店の商品を見て盛り上がっている。カイだけ1人思考の海にいた。
(前にボコボコにした冒険者が何か言ってたよね…。もしかしたらあの冒険者達が繋がってる冒険者とか?そんな上手い話しないか。考えてもどうにかなるわけじゃないし、こうゆうことは兵士の皆さんに任せよう。うん、そうしよう)
「カイー、カイはどっちの方が良いと思う?こっちの方が可愛くて良いと思うけど、家に置くとなったらこっちの落ち着いてる方が良いと思うの」
「絶対こっちの可愛いのだよね!でもこっちも捨てがたい…」
「うーん。こっちのとかは?カッコいいよ?」
他の商品を見渡してカイは奇抜なちょっと変なデザインの置物を指さす。
「それはちょっと…」
「もしかしてカイってセンスない…?」
「ん…。ちょっとどうかと思う」
「そうね、女子に進めるデザインでは無いわね」
「すまん。俺でもこれはフォローできねぇ」
「えぇ…」
自分の直観を信じて返答したが、全員に少し苦い顔をされたことにカイは少し傷ついた。
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