第158話
リングについて行くと、1つの部屋に入る。中は十分の広さがあり、大き目な机と椅子が2つ、診察台が置いてあった。
「今日診察を受けるのは君だよね。君は椅子に座って。あとは診察台に座って。座れなかったら悪いけど立ってて」
言われた通しに行動し始め、カイはおとなしく椅子に座る。
「まずは名前教えてねー。その後、ローブと仮面は邪魔になっちゃうから取ってー」
「名前はカイです。後これは…」
「カイ君ここには私達しかいないから取って大丈夫だよ。リンは見た目に反して口が堅いから」
「そう言わないでよー」
リングは軽く言いながら紙に何か書いた後で、眼鏡型の
「ところでなんで帝都来てまで仮面させてるの?必要ないでしょ?」
「これから皆の所行くからその時つけてたら驚くでしょ?それに何かあった時に顔を知られてない方が便利だからね。まだカイ君たちは国民になったわけじゃないから安全が保障されてないし」
「2人分必要とのことだったので登録票しっかり準備しときましたよ」
「ありがと。キャブ先輩」
診察台に座りながら会話している2人を置いてリングはカイの方を見る。
「これから
「…全員で見る方で。結局後で診察結果を教えるんですよね。なら目の前での方が良いです」
リングは少し驚いた顔をしたが、すぐに楽しそうに口を吊り上げる。
「分かってるねー。じゃあ、ちゃっちゃかやってくよ。立ってもらって良いかな?」
言われた通りカイが立つとリングは持っていた円状の
「よし、これでOK。さっそく見てみるよー」
リングは地面に
「待ってねー。今出してるからその間に色々聞かせてもらうよー。魔法を発動しての不調はある?」
「あります。出そうと思った魔法を出せないんです」
「うんうん。思った魔法を出せないのはトラウマとか精神的な物が1番あり得るんだけど、そう言うのってあるかな?」
「全くないです。一度に大量の魔力を吸われて無くなったんですけど、その後に上手く発動できなくなったんです」
「魔力を吸われた?じゃあ魔力操作できる?魔力を動かした時に違和感とかあるかな」
「無いです。逆に前よりも動かしやすい気がします」
「前よりも動かせる…。うーん」
「先生出来たみたいっすよ」
リングが悩み始めた所でミーチェが作動していた
するとそこには光が集まって人の形を作っていた。光は白色に輝いていた。カイとミカは同じような顔で驚いていたが、他の人達は見慣れていたのか特に反応していなかった。
「これがカイ君の魔力器官の様子なんだけど、綺麗な形だね。診たところ異常がある場所は見受けられないな。しばらく魔力を使ってないのかな?全く傷ついてないねー」
「1ヵ月くらい前から魔法を使うのを禁止されてましたから。ただ、数日前にモンスターと遭遇して、その時に使ったら違和感があったんです」
「ふむふむ。でも魔力を一度に大量の魔力を吸われたってい言ってたよね?1ヵ月でこの治り方は異常かなー。どのくらい吸われたの?」
「ほとんどですね。正直1人で歩けないくらいです」
「それは私が保証するよ。歩けないカイ君を途中まで私が運んだから」
当時、カイが歩けないくらい疲弊したことを白ローブが言うと、リングはカイのことを見る。
先程まで少し眠そうな顔をしていたというのに今はとても真剣な顔をしている。
「ねぇカイ君。昔に魔力器官を傷つけたことがある?それも生死の境を彷徨うレベルで」
「は、はい。俺は詳しくは知らないですけど、過去に魔力器官をものすごく傷つけたって聞いたことがあります」
「…今から言うことは誰にも言わないでね」
リングは一度机に置いてある水を飲むと全員のことを見る。
「魔力器官は傷ついても自然に治癒する物でしょ。ただ公には知られてないけど、魔力器官の治る速度は人によって違うんだよ。過去に魔力器官がものすごく傷ついた人が治りやすいみたい。たぶん体が効率の良い治し方を覚えるんだと思う」
「今回カイ君の治る速度は異様な速さだよ。これくらい早いってことは生死の境まで行かないと無理。これはハッキリ言って良い。立てないくらい魔力を吸われてってなると完治するのに少なくても4ヵ月は必要なはずだから」
リングの説明を聞いて、全員が驚いた顔になる。その中でリングは話し続ける。
「さっきも言ったけど、誰にも言わないでね。わざと傷つける人が出来るなんて嫌だから」
「…リン、そんなこと誰から聞いたの?」
「聞いたのはだいぶ前。シャリアさんから。ただ最初に考えたのはシャリアさんの友達みたい。それで私がここに魔力関係で来た人に話しを聞いて確信が持てたってところ。このことはシャリアさんと陛下しか知らないはず」
「あの、そのシャリアさんって…?」
「この後会いますよ。あの人にも集まって貰ってますから」
謎のシャリアと言う人物については後で知れると分かり、カイとミカは一旦そのことを置いておく。
「話しを戻さないとね。次は魔力の方を見てみようか」
そう言ってリングは椅子から立ち上がり、
「え、ちょっと!?故障?!」
「落ち着いて。たぶん正常だから」
そう白ローブが言うと、青色が頭の部分からだんだんと紫色に変化する。
「こ、これは…。どういうことなのでしょうか」
「適性検査に紫なんてないっすよね?」
「リン、2属性と無属性ならどうなるの」
「2属性なら混ざるけど、ここまで混ざって1色にはならないよ。それに無属性なら灰色になるはず」
何が起きているのかワケのわからない4人は驚いて動揺しているが、どうしてこのようになっているか分かっているカイとミカは静かにしている。
「…何か知ってるっすね。話せないっすか?」
2人の様子に気づいたミーチェが隣にいるミカに聞くが、ミカは口を開かない。
「すみません。これに関しては俺らからは言えないです。俺達は口止めされてるんで」
「カイ君。君の師匠ラウラさんなら話せる?」
白ローブがラウラの名前を知ってるはずなどないと思っていたカイは驚く。そして少し震えた声で白ローブに尋ねる。
「何で」
「ごめん。先にこっちの質問に答えてほしい。これはちょっと見過ごせないよ」
「…師匠なら話せます。それ以外俺から言えることは無いです」
「分かった。すぐにラウラさんの所に行く。私は一旦王国に…」
「その必要は無いですよ」
カイが必要ないと言おうとした所でナキャブが白ローブを止める。
「カイ君。師匠の名前はラウラさんですね?属性は風の」
「…ナキャブさんまでなんで知ってるんですか」
「それは後で説明しましょう。城に来てもらえるようにしましょう。リングさん、カイ君の魔力に異常はありますか?」
「え?あー…たぶん無い。正常だと思う」
「そうですか。なら今すぐに全員で城に向かいましょう。そこで色々分かりますから」
「え、ちょ、私も?ちょっと、キャブ!!」
ナキャブはリングを無視して部屋を出る。皆が固まっている中で白ローブが最初に動き出す。
「とりあえず、言われた通りに城に向かおうか。そこで色々分かるから。私の正体とか」
そう言って出て行った白ローブにカイ達はついて行くしかなかった。
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