第115話
この話には気持ちの悪い描写が出てきます。
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前後に上記の印をつけていますので、苦手な方は飛ばして読んでくださると幸いです。
作戦会議兼休憩が終わったカイ達はボス部屋の扉に手をかける。
「行くよ」
ミカの言葉にカイとルナは深く頷く。
3人で扉を開けるとそこには、頭は無く、胴体は甲冑になっており、腕は触手状になっておりおそらくスライムで出来ている。足はレッドウルフの物だと言うのに二足歩行になっていた。
「アンデッドナイト!?イレギュラーモンスターがなんでキメラの一部になってるの!?」
「アンデッドナイト!?」
甲冑を着ているが頭が無いと言うことからアンデッドナイトとミカは判断し、驚く。そしてルナもアンデッドナイトと言うモンスターは知っていたが、ここで出ると思っていなかったため驚いた。
2人が驚いている間にキメラはフレイムボールを飛ばしてくる。驚いている2人でも簡単に避けられる速度だったが、カイはわざとそれを真正面から氷をぶつけて相殺させた。
「2人とも落ち着いて!」
カイの言葉を聞き、2人は冷静になってキメラをしっかり見る。すると、キメラはまたフレイムボールを2発続けて撃ってくる。先にミカの方に飛んできたため、ミカはそれを避けてキメラに向かって走り出す。次に撃たれたルナは水をぶつけ、空中で消化させた後でミカと同じ様にキメラに向けて走り出す。キメラは2人に向かってフレイムボールをまた放つが、今度はカイがそれを全て撃ち落としており、その上で氷をキメラに向かっても撃つ。キメラの足はレッドウルフになっているからか、カイの攻撃を素早く動いて避ける。カイはそれを分かっていながらも氷を飛ばし続ける。途中からカイの対処しかしなくなったキメラは接近してきているミカとルナにギリギリまで気づかなかった。先に着いたミカがキメラの胴体を切り付ける。甲冑の横腹の部分が切れて、中が露見する。中はアンデッドナイトの特徴と同じで空洞だった。切られたことで接近していると気付いたキメラは、その触手状の腕をミカに向かって振る。触手を振る姿はまさに剣を持っている騎士が剣を振り下ろすような姿だった。最初の一撃はミカが横に跳ぶことで避ける。キメラは流れるような動きでミカに振り上げた触手をぶつけようとする。だが、その触手はカイの氷が当たり氷になる。スライムはほぼ水分で出来ているため、氷を当てたら簡単に凍る。ミカはその腕を槍の柄で殴り粉々に砕く。反対の腕でキメラが攻撃しようとしたタイミングでルナが到着し、キメラのことを後ろから斬りつける。キメラはミカへの攻撃を止めルナの方に振り返る。そのため、キメラはミカに背中を見せる。完璧にルナの方を見た瞬間に背中に槍を突き刺す。キメラは刺された瞬間に少しの間だけ止まるが、壊れた機械の様に動き出す。その隙に今度はルナが真正面から剣を人間の心臓の位置と同じところに剣を突き刺す。
ルナが剣を刺して少しすると、ボス部屋が空き始めた。
ボスに勝ったと分かった2人はキメラから槍と剣を抜く。その瞬間キメラは崩れ落ちる。すぐに足は灰となり、残っていた腕は液状となり地面に広がる。残ったのは穴が開いている甲冑の胴体だけとなった。
「2人とも大丈夫?」
「大丈夫。触手凍らせてくれてありがと。思い切り槍刺したけど異常なし」
「私も大丈夫。魔法も一発しか撃たなかったから魔力もたくさんあるよ」
その後小休憩を挟んだ後で4人は11階層への階段を降り始めた。
11階層は先程までの洞窟と見た目こそは変わっていないが温度が違った。とても暑いのだ。その暑さに、ミカとルナは上着を脱いだ。
「こんなに暑いの」
「本で読んでたけどこれは予想外」
そう言った2人にカイは水筒を取り出し渡す。
「ここまで『ブロウシェル』が熱気を出してるとは思わないよね」
11階層から15階層を除いた19階層までは『ブロウシェル』と言うモンスターが生息している。このモンスターは動くことは無く、近づかなければ人に危害を加えることは無いのだが、常に熱風を出しているのだ。そのためこのダンジョンの11階層から19階層まではとても高温になっている。ただ熱風を出すだけなため売っても金にならないため冒険者からはとても嫌われている。
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4人がしっかりと水分補給をしながら進んでいくと、一体のラクダを発見した。
「あれは?」
「あれは『ラプチャーキャメル』。特徴は…見てて」
そう言ってカイはラプチャーキャメルに向かって先端を鋭利にした氷を飛ばす。跳んで行った氷はなにも起きることなく当たると、当たった瞬間にラプチャーキャメルが音を立て破裂した。当たり一面にはラプチャーキャメルの物だったと思われる肉塊が広がっている。そしてよく見るとその肉塊から煙が出ている。
「こんな風に刃物で傷つけたりしたら破裂するモンスター。しかも破裂した時に飛んでくる物はどれも高温で当たったら一たまりも無い」
「うわぁ…」
ルナは1回ラプチャーキャメルの死骸らしき物達を見た後ですぐに目を逸らした。
後ろにいたミカも目を逸らしており、アルドレッドは嫌そうな顔をしていた。
カイはすぐさま全ての肉塊を凍らせて、全員でその場を離れた。
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このダンジョンにはブロウシェルとラプチャーキャメルしかいなかったため、ブロウシェルは無視し、ラプチャーキャメルはカイがあった瞬間に氷漬けにして進んでいった。
11階層と12階層はラプチャーキャメルの数し変わらず、対処の方法も変わらないため楽に探索出来た。ラプチャーキャメルは視界に入らなければ襲ってくることが無いため、視界外からカイが氷漬けにするだけで終わった。ずっとカイ頼みでミカとルナは申し訳なさそうにしていたが、どのような衝撃で先程の様な状態になるか分からないため、氷漬けにするのが一番だった。
11階層と12階層はカイに頼り切りになってしまったため13階層と14階層はミカとルナが率先して戦うことになった。
13階層に下りても相変わらず暑い状態で4人とも汗を垂れ流している状態だった。
13階層は今までの階層と違い大きくなっており、ダンジョンを見ただけで大型のモンスターがいるのだと予想が出来た。
4人は厚いと思いながら進むと、バサッバサッと奥から音がし始める。それを聞いた瞬間にミカが前に出る。モンスターの姿が見えた瞬間にミカが雷を撃つ。そのモンスターは雷の衝撃で地面に落ちる。その隙に3人で近づき、心臓部だと思われる場所を貫く。それは見た目だけで言えばただの鳥なのだか、大きさが尋常じゃなかった。翼を広げたら3~4mはあるのではないかと思われるほどデカい鳥だった。
「これって『ロック鳥』?」
「そう。この巨体が自由に飛べるためにダンジョンが大きくなったみたい」
「そう考えるとダンジョンにも意思があるみたいだよね」
先程飛んで来たロック鳥をカイが氷漬けにして袋に仕舞った後で、アルドレッドも交えて4人で警戒しながらダンジョンとは何なのかを話し合いながら進んだ。
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