第114話
各々がダンジョンに潜るために準備する中、カイとミカは教室に残ってアルドレッド達にルナがどうしているのか聞いていた。
「今、王国と帝国で会談しててな、その間生徒は学園で授業を体験することになったんだ。好きな所に言って良いことになったらルナはここに来たってわけだ」
「最初から座学って言うのもつまらないと思うからダンジョン探索にしたのよ」
2人の説明を聞いて確かに最初が座学だとつまらないと思ったためカイ達は納得した。
ダンジョン探索に持って行く物は常に袋の中にカイ達は準備する物はなかった。そしてこの袋にはミカの物も入っているためミカも準備する必要が無かった。事前に話を聞いていたルナと教室に残って3人で話をしていた。
「今回行くダンジョンはどういうダンジョンなの?」
「今回は前の虫達の所じゃなくて、基本的に動物が多いよ」
今回行くダンジョンは、毎度おなじみにの5階層のボスがオークファイターの所だ。今回は生徒達で好きに組んで行くことになっており、教師は同行しないため慣れているダンジョンとなった。今回は5階層の安全ゾーンにセレスが待機し、アルドレッドは生徒がいけるところまでついて行くことになっている。カイ達以外の生徒が5階層のオークファイターを倒せない。だが、カイ達は1人でもオークファイターを倒すことが出来る。そのためアルドレッドはカイ達と一緒に行動すると言っても過言ではない。
「5階層はオークファイターで、10階層はランダムで作られるキメラなんだ!」
ダンジョンの特徴を聞いたルナはキメラが出ると言うことで目を輝かせる。そんなルナをカイとミカは羨ましそうに見る。
「2人ともどうしたの?」
「いやー…。前回俺たちが10階層を攻略した時は残念キメラだったんだよ…」
そう言って前回出たキメラのことを思い出す。特徴を聞いたルナもこれには苦笑いするしかなかった。
「だからあんまりキメラに期待しない方が良いよ…」
「う、うん。そうする」
時間が経ち生徒達が全員教室に戻ってきたため、全員でダンジョンに向けて移動し始める。
ダンジョンに入る前に何人かにルナは一緒に探索しないかと誘われたが、カイ達と探索することになっているため全て断った。
カイは今回も誰かにあった時に対処できるように剣を使うことにした。
カイ達は順調に進んでいく。
最初のスライムとゴブリンは倒さずに無視して進んでいく。
カイ達3人は目標を『15階層のボスを倒す』にしたのだ。ここでゆっくりしていては今日中にたどり着けない。そのため時間と魔力を無駄に消費しないために無視している。
スライムとゴブリンは無視し、集団でいるオークはカイとルナで協力して斬りつけ、ジャイアントバットはミカが一体一体に雷を撃って倒していくと5階層にすぐ着いた。今回アルドレッドは同行するだけなため、危険になるまで手出しをすることは無い。
3人は休憩することなく進もうとすると、カイが素早く前に出た。
「今回は早く行きたいから俺がやるね」
「またあれするの?」
「あれが早いから」
そう言ってカイは扉を開ける。それに続いてミカとルナ、アルドレッドがボス部屋に入る。
カイは入った瞬間に手から氷を伸ばしオークファイターに触れる。オークファイターは叫び声をあげることもなく一瞬で氷漬けになった。
これを見ていたルナとアルドレッドは驚いたが、カイならこんなことも出来るだろうと思い、気にしないことにした。
6階層に下りて、早々に『レッドウルフ』に合ったカイ達はカイとミカがレッドウルフに向かって走り出し、ルナが魔法の準備に入る。案の定フレイムウルフはミカに向かってフレイムボールを撃って来た。そのフレイムボールをルナが水をぶつけることで消滅させる。威力が高かったため水はレッドウルフの方に飛んで行く。レッドウルフはそれを横に跳んで避けると、そこにはちょうどカイがいた。カイとミカは左右に分かれていたためどっちに避けても2人に倒される状態だった。カイはレッドウルフの首を落とし、剣に付いた血を振り払う。
「カイの方だったか~。私の方に来てほしかったな」
「そうは言ってもこれは運だし、8階層に行けば嫌って程戦えるって」
「結構近くまで炎来させちゃったけど大丈夫だった?火傷とかしてない?」
「大丈夫!それに言うほど近くまで来てなかったよ?」
「そうかな?それならよかった」
「周りに人はいなさそうだから、ここからは俺が援護するよ。2人はガンガン攻めて」
「うん」
「分かった」
3人で話している状況にアルドレッドは嬉しそうに後ろから見て嬉しく思っていると、カイが話しかけて来た。
「アルさん、もう移動しますよ」
「おう!てか俺要らなくねぇか?」
「そんなこと無いですよ。俺たちはまだまだ新米冒険者ですからアルさんみたいなベテランがいると安心して探索できます」
そんな話をしながらカイ達は10階層に向かった。
途中のレッドウルフとブラックキャットを連携して素早く倒したため、カイ達は既に10階層に来ていた。さすがにここまでノーストップで来ていたため、休憩を取ることにした。
「次のキメラは、場合によってはマズイのが出る可能性もあるから気をつけろよ」
「はい。まず、さっきまでと同じで俺が後衛、ミカとルナが前衛で良い?」
「カイは後衛で良いの?」
「この頃これに頼りすぎてたから、普通のでしっかり対応できるようにしようと思って」
そう言ってカイは右腕に氷を纏わせる。3人が見たのを確認して元に戻す。
「私もそれは見たけど、良い魔法だと思うけど…」
「そうだけど、これって俺の手からずっと出てるから援護だと邪魔になるんだよ」
「だからさっきからそれ使ってなかったんだ」
ルナの指摘にカイが答えると3人とも理解する。
カイの魔法を手に纏わせて戦う戦法だが、接近線や1人で戦う場合にはとても便利な魔法だ。だが、その一方で常に自分の手から伸ばすため、集団で遠距離から援護するとなると味方の動きを邪魔してしまう欠点がある。今回は精度が落ちていないか確認するために普通の魔法で援護したいと考えていた。もちろんカイは普段、炎を的に飛ばすなどのことをして精度を落とさない様にしているが、この頃はいつでも自分の意思で曲げられることを便利に思い、モンスターと戦うときはいつも手に炎か氷を纏わせ手を伸ばしてばかりだった。
「とにかく、カイが良いなら私はそれでいいよ」
「私も問題無いよ。剣の腕は磨きたいと思ってたし」
「じゃあ、作戦は…」
その後3人はどんなキメラが出てくるか少し楽しみにしながら、キメラを素早く倒せる作戦を話し合った。
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