4章 学園対抗戦
第83話
今日は学内対抗戦をした時よりも大きな闘技場に、
・総合第一~三学園
・魔法第一~三学園
・第一~三兵士養成学園
合計9学園の代表生徒達が学園対抗戦の確認のため来ていた。
もちろんカイとセレスも闘技場に来ていて、観客席でゆっくりしていた。他の総合第一学園の出場生徒が来ているはずだが、カイとミカの近くにはいなかった。
そんなカイだがちょうど1週間前に大変なことがあった。
その日はミカと特訓せずに宿に直帰しようとしたが、30人近くのストーカーがいるのだ。カイの後ろをついてくる者と、屋根を伝って上から見てくる者の2種類に分かれていた。気づいたカイが路地裏に入ると、屋根にいた組が無言で長剣やナイフ、槍、メイスなどを振り下ろしながら飛び降りて来たのだ。カイは大きく後ろに飛ぶことで避けることが出来たが、避けた先には地上でカイを追っていた組がいて、すぐさま包囲された。
「何か用ですか?」
カイが話しかけるが、追手達は誰一人喋らず再度攻撃してきた。こんなではいくら相手しても話してくれないと思ったカイは、魔力を腕だけ纏わせてカウンターですれ違い様に殴り気絶させる。それを5分ほどすると全ての追手を倒すことが出来たためカイは一息ついていた。
その後、近くにあった紐で相手を縛ってから兵士を呼びに来たが、もぬけの殻になっておりカイが軽く叱られてしまった。
その後の1週間はアルドレッドとセレスと一緒に帰るようにして対策したが、襲われることは無かった。
ローブ男達のことを調べるので手いっぱいだったのに、襲って来た者達のことについても調べなくてはならなくなった。
そんな状態だったが、昨日動きがあった。
昨夜宿に戻ると、カイの部屋に白ローブがいたのだ。
「っ!?驚くから止めてくださいよ…」
「ごめんね。ただカイ君に伝えたいことがあって」
そう言いながら白ローブは立ち上がると、空いている窓の窓枠に立った。
「この前襲ってきたのはカイ君達が言ってるローブ男達と関係ないよ。私は襲って来た方どうにかしておくから、カイ君達はローブ男の方に専念してね」
それだけ言うと、白ローブは窓から出て行った。
「分かりました。お願いします」
カイはお礼を言った後に空いていた窓を閉めた。
そんなことを目を瞑りながら思い出していると、目の前が影で暗くなった。カイが目を開けてみるとミカが顔を覗き込んできていた。
「大丈夫、カイ?昨日何かあった?」
「大丈夫。問題が1つ解決したかもしれなくて嬉しく思ってたとこ」
そんな話しをしていると、舞台に向かって歩いて行く人がいた。カイがその人のことを言うと、ミカもその人を見始めた。
「お集まりいただきありがとうございます!本日は学園対抗戦の詳細を説明させていただきます。聞き漏らしが無いようにお願いいたします」
そう言って男が話し始めた。
「まず初めに、学園対抗戦の全ての試合は私が審判をさせていただきます。平等に審査いたしますのでよろしくお願いします」
その後審判が言った内容はこうだ。
・対戦の組み合わせは既に決められていること
・武器は自前で準備すること
・
・ただし、舞台は大破させないこと
・危険な場合は止めるが止められない場合もあるため、参加するかは自己責任ということ
・勝利条件は相手を気絶、場外、降参させること
・学内対抗戦と違い、優勝者を決めるまで試合をすること
・初戦は2日後に行うこと
上記のことが説明された。ほとんど学内対抗戦の時と同じだった。
「最後に、今回の対抗戦は国王様がご覧になられます。白熱した試合が見れることを私含め進行係一同が期待しております。対戦表はこの闘技場の入り口に張られていますので、確認してください。本日の予定は以上でございます」
そう言うと審判の男は舞台から下り、入場口の方に歩き出した。それを見て観客席にいた生徒達が対戦表を見るために動き始めた。
カイとミカは人混みに紛れたくないと思い、人が空いてから見ることにし、観客席で話していた。
そんな2人の中に入り込んでくる者がいた。
「ミカさん。何をしているのですか。対戦表を見に行きましょう!」
近づいてきたのはバーシィだった。
バーシィはミカを対戦表の所まで連れて行くために腕を柄もうとしたが、カイがその手を止めた。
「…何の真似だ無能?」
「ミカの意思も聞かずにつれて行くのはどうかと思いますよ?」
「お前には関係ない!!この手を離せ!」
バーシィはカイの手を振りほどこうとするが、カイは離さないどころかより力を籠める。
「カイ待って」
バーシィが痛そうな顔をしたところでミカが止めた。止められたカイは離しはしなかったが、力を弱めた。
「ミカさんありがとうございます!無能なんか簡単に倒せるので…」
「黙ってください」
バーシィはミカに格好をつけるためにいろいろ言おうとしたが、ミカに予想外のことを言われたため止まった。
「私の仲間を愚弄しないでください、不愉快です」
ミカから拒絶されたことにより、力が抜けたのかバーシィは膝をつく。それと同時にカイは手を離した。
「ミ、ミカさん…?どうされたんですか?」
「どうとは何ですか?」
「こ、こいつが仲間なんて嘘でしょう…?」
現実を見ようとしないバーシィにうんざりしながらミカは返答した。
「カイは仲間であり、私の相棒です」
それを聞いたバーシィは信じられないと言うような目でミカとカイを交互に見て、ぶつぶつ言い始めた。
すると突然大声でカイを問い詰め始めた。
「お前、ミカさんを脅してるな!!そうだ!それしかない!!待っていてくださいミカさん!!必ず私があなたを救い出します!!」
そう言いながらバーシィはカイに跳びかかろうとした。跳びかかった瞬間にバーシィが横に跳んでいった。ミカが蹴っ飛ばしたのだ。
「ミ、ミカさん、なんで?…そうか、無能に脅されているから。ミカさん!いつか私があなたを救いますから!」
そう言いながらバーシィは闘技場から出て行った。
「助けてくれてありがと」
「カイこそ手を止めてくれてありがとね」
バーシィとバカなやり取りをしていたら結構な時間が経っていたため、2人は対戦表の所に向かった。
「見つけた。カイ君を襲うなんてまさに勇者だね。さて、お邪魔しようかな」
そのころ白ローブはカイのことを2回も襲う計画を立てた首謀者を突き止めた所だった。
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