第67話
放課後になり、Fクラスの生徒達が取る行動が2つに分かれた。
1つは、先程担任が言った「帝国との対抗戦」についてどうゆうことだと話し合っており、2つはそんなこと気にせずに1人もしくは友達と教室から出て行っていた。
カイも特に話す生徒がいないため、教室から出てあるところに向かっていた。そして、目的の場所に着くまで先程のことを考えていた。
(学園対抗戦と帝国との対抗戦、学園対抗戦は帝国との対抗戦の選手決め。これは理にかなってる。でも、帝国と対抗戦をする目的が分からない。提案した国は何を考えてるんだ?どっちが提案した?やるんだとしたらお互い利点があるはず。お互いに何かしようとしてるなら調べないと...。調べることが多すぎる...)
少し落ち込みながら歩いていると、目的の場所についた。
そこは医務室だった。何かローブ男達について医師が突き止めたかもしれないと思い来ていた。
カイは医務室の扉をノックして返事が来るのを待つ。
「どうぞ」
「失礼します」
「カイ君ですか。初日から怪我ですか!?」
「違いますよ。でも、なんか嬉しそうですね?」
「えぇ、仕事が1つ終わりそうなので」
「なら後日にした方が良いですか?」
「いえいえ、君から頼まれたことですよ」
「!?ローブ男について何かわかったんですか!?」
カイは興奮して身を乗り出す。医師はカイの肩に手を置き離れさせようとする。
「落ち着いてください。そのことはまだ調べています」
医師の言葉を聞き、目に見えて肩を落とす。
「覚えていませんか?カイ君が私に頼んだことを?」
「...」
カイは目を閉じて必死に思い出そうとする。そして、思い出せたため静かに医師に確認する。
「...アルさん達のことですか?」
「はい。調べがつきました。こっちに座ってください」
医師に座るように勧められたため言われた通りに座る。
「まず、調べた結果を言いますと、この学園、と言うよりも王国は他国からのスパイがいることに気づいていないようです」
それを聞きカイは安堵する。
「そうですか。調べ損でしたね」
「いえ、まだ調べたことがあります」
アルドレッドとセレスがここにいても問題はない。カイが頼んだのは、それだけだった。ならそれ以外に話す内容は無いはずとカイは思った。
「実は以前カイ君に少し分かったと言ったすぐ後にこのことは分かっていたのです」
「え?」
「今回、セレスさん達が帝国の人間だと王都のギルドが知っているか調べました」
「その結果知らなかったんですよね?」
「はい、まだお2人が帝国出身だと気付いていませんでした。誰かがセレスさん達のことを調べた痕跡がないか、活動記録を1つ1つ調べたので確実だと思います。実はですね、冒険者ギルドにはどこで依頼を受けたかは記録に残りません。ですが、依頼の内容と達成の有無などは記録されています」
「それが問題なんですか?」
「それぞれの国にはその国にしかいないモンスターがいることがあります」
「っ!?もしかして!!」
「えぇ、お2人は帝国でしか狩ることが出来ないモンスターを狩っていました」
「やばいじゃないですか!?」
「大丈夫です。改ざんしときました。まぁ、そんなミスがあったので、見落としが無いかお2人が受けた依頼を2度調べ直しましたが...」
医師は思い出したのか、うんざりしたような顔になる。
「ありがとうございます」
「いえいえ、やった方が良いと思いしたことですから。そうですね、他に分かったことがあったんですが、それは少し待ってください」
カイが魔力探知を使うと反応があり、医務室に近づいていた。
その人たちが医務室の前に着くと、扉がノックされた。
「どうぞ」
カイが開いた扉の先を見るとそこには知っている顔があった。
「失礼しま...カイもいるのね」
「やっと帰っていた!!」
「お!さっそくここに来てたか!!」
セレス、ミカ、アルドレッドだった。
「好きな所に座ってください」
医師に座るように言われ、3人はカイの横に椅子を持ってきて座った。
「では、カイ君に話していたことを話す前に、ミカさん」
急に話しを振られたミカは来ると思っていなかったため不思議そうな顔をする。
「自己紹介がまだでしたね、私は聖国に雇われている情報屋のラクダレスと申します」
「聖国!?」
ミカは医師が聖国に関係がある人と言うことに驚いた。
そして、3人は
(そう言えば、名前聞いたこと無かった)
と、同じことを思っていた。
「な、なんで聖国の人が王国にいるんですか!?」
「聖国に対して王国が害のある存在か調べるためです」
「...何で私に正体を明かしたんですか?」
「これからもカイ君の話したローブ男達のことで協力していく仲です。隠し事はいつまでもしていられないですから」
「ミカ、私たちからも良いかしら?」
「はい?」
「おいセレス」
「ラクダレスが言うように隠し事はこれ以上出来ないわ。それにミカだったら良いでしょう?」
「...分かった」
アルドレッドとセレスが何を言っているかカイとラグダレスとミカは分かっていた。
「ミカ、私とアルは帝国の人間なの」
「知ってますよ?」
「え?」
セレスは「え?」と声が出てしまい、アルドレッドは驚いたようにミカを見る。
「だって、ダンジョン探索した時に「王国では魔法はどう教えられてるかしら?」って聞いてきたじゃないですか?」
ミカの発言に、アルドレッドはセレスを見る。
「...セレス」
「ごめんなさい」
「でも、その後でカイが「帝国ではどのように教えられるんですか?」ってゆうのでセレスさん達が帝国出身だって分かりました」
アルドレッドは今度はカイを見る。
「カイ」
「すみません」
カイはアルドレッドに向かって勢いよく頭を下げた。
「お前ら気を付けてくれよ...。知られるとまずいんだからな」
2人は同時に頷いた。
「ミカは誰かに言ったか?」
「アルさんとセレスさんが帝国出身だってことは言ってないですよ」
「これからもそうしてくれるとありがたい」
「そろそろいいですか?」
4人でやり取りをしていると、ラクダレスが話しかける。
「あー、すまんな。このことはあとで話し合うことにするわ」
「ぜひそうしてください」
後でカイとセレスが説教を受けることが決定した中、ミカが3人に話しかける。
「あの、3人はラクダレスさんのことを信用してますか?」
「あぁ、お互いに利害は一致してるからな」
「一応信用しているわ」
「先生はいろいろ教えてくれたから信用してる。この長期休暇で言ってたことが本当だってわかったし」
3人がラクダレスのことを信用していることを聞き、ミカは何か決めたような顔になる。
「3人が信用してるなら私もラクダレスさんのことを信用します」
「ありがとうございます。では、改めてカイ君に話していたことを話しますね」
ミカの返答を聞けたため、ラグダレスはカイに話していたことを同じことを話し始めた。
「わざわざ改ざんしてくれたのか、ありがとな」
「そこは盲点だったわ...。私からもお礼するわ。ありがとう」
「いえいえ、良いんですよ。そもそも改ざんしたのはお2人の最近の活動記録だけですから。それにお2人のミスではないのは分かってますから」
「「!?」」
ラクダレスの発言にアルドレッドとセレスは酷く驚く。何のことか分からないカイとミカは頭に?を浮かべる。
「どこまで分かった?」
「そうですね、あなた達が元冒険者ってとこまでですね」
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