50話
職員室でアルドレッドとセレスがいる宿を聞いたため、カイはその宿に向かっていた。
(捕まえたほうが良かったのかな...。最初から魔法を使ってれば...)
ダンジョンで帰路についてからカイは教師達を助けようとしたことが最善な策だったのか考えていた。
(魔法を使っていればオークファイターを瞬殺出来た。瞬殺していればその分ウォッシュを相手にする時間が出来た。それにあの時氷の壁はまだ耐えることが出来てた。その時間があれば捕まえてから向かうことも出来たんじゃ...)
全てが『たられば』の話しだが、カイの頭はそれで埋め尽くされてた。そう考えているとアルドレッド達がいる宿に着いたため、店員に部屋を教えてもらい向かった。
コンコン
「誰だ?」
カイが扉をノックすると聞きなれた男の声が聞こえた。
「カイです。入っていいですか?」
「おぉ!!カイか!!入れ入れ!!」
アルドレッドはカイが来たことに嬉しそうに声を上げ、部屋に入るよ急かした。
「失礼します」
カイが中に入るとそこには先程返事をしたアルドレッドと同じパーティーのセレス、そしてミカがいた。
「ミカもいたんだ」
「ダンジョン探索の時にまたオークファイターが4階層に出たからそのことの報告と稽古をつけてもらってるの!今は休憩ついでに話してたの!」
ミカはカイに向かって自慢げに言う。
「オークファイター?」
「...うん。4階層にでたの」
ミカとしては稽古をつけてもらっていることに気にかかるかと思ったが、カイが食いついたのはオークファイターの方だった。そのためミカは不満だったか少し頬を膨らませながら返答した。
「てか、カイはどうして俺たちの所まで来たんだ?」
「Fクラスは今日がダンジョン探索よね?」
「ダンジョン探索はもう終わりました」
「...その感じだと何かあったな?」
「はい。ついて来て貰っていいですか?」
カイの言葉にアルドレッドとセレスはお互いを見る。カイとミカには分からなかったが、アルドレッドが頷くとセレスも頷いた。
「分かった。案内してくれ」
アルドレッドとセレスはついて行くため、腰上げる。
「私もついて行っていい?」
ミカがカイに聞いた。するとカイは少し難しそうな顔になる。
(今回のことはあんまり言い広めない方が...。でももう知ってる人いるしな...)
急いで答えを出そうとするが答えは一行に出てこなさそうでいると
「ミカも一緒の方が良いと思うわよ」
セレスがカイに話しかけた。
「...分かりました。ミカもついて来て」
「分かった!」
そう言うとミカは嬉しそうな笑顔になりカイに話しかけた。
「良かったぁ~。カイって私に何か隠してるでしょ?」
この言葉にカイはビクッとしてしまった。
「...隠してないよ」
「鎌をかけただけなのに...」
「(マ、マジか...!?)ナ、ナンノコト?」
カイは内心焦り始めたが、顔に出さないように努力する。
「今更隠そうとしても意味無いよ!!しっかり教えてもらうからね!!」
この2人のやり取りをアルドレッドとセレスは嬉しそうに見ていた。
カイは3人を連れ医務室に戻る。その間に3階層に行く前までを話しておくことにした。
医務室の前に着いたカイは扉をノックする。
「どうぞ」
医師が返事をするとカイは扉を開け入っていく。それに続くように3人が入っていく。
「少し待っててください」
そう言いながら医師は1人の生徒の様子を診ていた。
「...あっ。その子は...」
アルドレッド、セレスは知らなかったが、カイとミカは知っている生徒だった。
「カイもセレスも知ってるのかしら?」
「はい。俺は入学試験の時のトーナメントで戦ったんです」
「私はダンジョン探索で同じ班でした」
その生徒はダンジョン探索でミカと同じ班でヒースをオークファイターから守った生徒だった。
「先生、まだ意識は戻らないんですか?」
「まだ起きてないですね。当分起きそうに無いです」
「そうですか...」
同じ班の生徒がまだ意識を取り戻していないことにミカは暗い顔になった。そんなミカを他の3人は見ていることしかできなかった。
その後、医師の診断が終わったため、本題に入ることになった。
「ところでなんで医者の先生の所に来たの?」
「セレス、この人が...」
「えぇ」
ミカはカイに問いかける。アルドレッドは前にセレスからこの医師のことを聞いていたのか、確認を取っていた。
「この人は情報屋みたいな人。いろいろ教える代わりに知ってることを教えてもらってるんだ」
さすがに聖国から来たことは言えないためそこを隠して医師のことを説明した。
「どうも。ミカ=アルゲーノスさんですね?」
「私のことも知ってるんですか?」
「ある程度の生徒のことは知ってますよ」
そう言いながら医師が手を出したため、ミカも手を出し握手をした。
「それでダンジョンで何があった?」
アルドレッドがカイに聞く。
「実は・・・」
そこからカイはダンジョンであったことを話した。
・突然ガルが暴れて3階層の奥に向かおうとしたこと
・ガルがおとなしくなったらローブを着た男達が現れたこと
・その男達はオークファイターに命令していたこと
・そのオークファイターを作ったと言っていたこと
・ローブ男達の片方が洗脳する魔法を使うこと
・最後にガルを洗脳して逃げたこと
「オークファイターを作る...」
「洗脳する魔法...。セレスは聞いたことあるか?」
「私でもそんな魔法聞いたことないわ」
お互いがいろいろ言っているたが、ミカだけは黙ったままカイの顔を見続けていた。
「...だが、どういうことだ?」
「そうよね。おかしいわ」
アルドレッドとセレスはどこか引っかかったのかおかしいと言い始めた。
「カイ、お前たちが行ったダンジョンは冒険者体験で探索したダンジョンか?」
「はい、そうですよ」
そう言うと、アルドレッドとセレスとミカが驚いた。
「おかしいぞ...」
「おかしいわね...」
「セレスさん...。そのダンジョンは探索しないって...」
ミカの言ったことにカイと医師が食いついた。
「探索しない?」
「どういうことですか?」
「学園からAクラスの探索で異変を確認したから変更するって通達がきていたが...」
アルドレッドの言葉にカイと医師は驚いた。
「...俺はそんなこといわれてないですよ?」
実際はカイの班が言われていないだけで他のFクラスの班にはAクラスと同じダンジョンを安全確認が出来たため探索すると言われていたが、ここにいる人たちは誰一人知らなかった。
「...このことについては私が調べておきます」
医師がそう言ったため他の4人は頷いた。この時ミカ以外は学園を敵に回すかもしれないと思った。
「洗脳か...」
「洗脳魔法の方も問題ですけどローブ男達の目的が分かりません」
「それにモンスターを作るなんて聞いたことが無いですよ...」
その後は、ローブ男達の目的が何かを話し合って考えたが、結局それらしいことは分からなかったため皆が暗い顔をしていた。
「このまま話してても分からないですね...。今回はこの位にしましょう。」
医師の言葉で話し合いは終わりとなった。
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ここまで読んでくださりありがとうございます。
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