43話
(なんでジャイアントバットが2体...?)
カイはジャイアントバットが2体いたことにとても疑問に思っていた。
前回、探索した時は3階層では1体ずつしか出てこなかったためだ。
しかし、考える時間は唐突に終わった。
「カ、カイ君。い、行きますよ?」
他の生徒は奥に行こうとするのに、カイだけ動かなかったため教師が不思議に思い話しかけた。
「すみません。考え事してました。」
カイは教師について行こうとしたが止めた。
「...先生?なんで奥に向かってるんですか...?」
「さ、先程奥に向かうことに決まりましたよ?」
教師の返答にカイは呆然としてしまったが、すぐに言い返した。
「待ってください!?3階層はまだ早すぎます!今は引き返すべきです!」
「で、ですが...。」
「無能は黙ってろ。」
教師が何か言おうとしたが、ガルがカイに「黙れ」と言った。他の生徒達も「そうだ!戦わないやつが何を言ってるんだ!」「あなたが引き返したいだけでしょ!私たちがいないと戻れないからって!」など言い始めた。
こうなっては、カイがどんなに止めても意味が無いため、カイは黙るしかなかった。
「それでいいんだよ。」
その時のガルの顔は今日一番の笑顔だった。
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先程と変わらない陣形で3階層の奥に向かって行った。
進んでいると、モンスターに遭遇した。ジャイアントバットだ。だが、先程と違って1体しかいなかった。
ガルがいきなり魔法を放つ。それを口火に他の生徒も魔法を撃っていく。
しかし、先程同様にジャイアントバットには全く当たらない。しかし、生徒達は全く焦っていなかった。魔法を撃ち続けジャイアントバットの体勢が崩れるのを待った。運が良いことに1人の魔法がジャイアントバットの羽に掠った。そこから魔法が当たるようになり倒すことが出来た。
ガル以外の生徒たちは嬉しそうにし、教師は倒せたことに安心に思っていた。しかし、ガルだけは悔しそうな顔をしていた。
さらに奥に進むと、またジャイアントバットと遭遇した。生徒達が戦闘体勢に入ろうとするが、
「俺が1人でやる。」
ガルが1人でやると言い始めた。
「ま、待ってください!?ひ、1人は無理です!」
「そうだよ!さっきみたいに皆で倒そうよ!」
教師はガルのことを止め、1人の生徒が先程みたいに戦おうと提案する。
しかし、ガルはそのままジャイアントバットに歩みを進める。
「止めるな。邪魔するならお前らに魔法を撃ちこむ。」
3階層につながる階段前でカイに向かって撃った魔法を思い出したのか、教師も生徒もそれ以上止めなかった。
「ウォーターバレット!」
魔法を撃つが、全く当たらない。
「ウォーターボール!」
「ウォーターボール!」
「ウォーターバレット!」
何度も魔法を撃つが、当たる様子は無い。
「ウォーターキャノン!!」
魔法を撃つために溜めの時間が出来た。その隙にジャイアントバットが体当たりしようと接近してきた。ガルはそのことに気づいたが、避けることが出来ない。
他の生徒達はそのまま体当たりされると思っていたが、教師がジャイアントバットに向かって魔法を撃った。そのため、ジャイアントバットは地面に落ちた。
そのまま、ガルと教師が魔法を数回撃ち込み倒すことが出来た。
「...俺1人でも出来た。」
「あ、あのままでは体当たりをされてたので撃ちました。」
「俺1人で出来たんだ!」
「で、ですが、わ、私は生徒に出来るだけ怪我をさせるわけにはいきません。」
「...ッチ。」
ガルは不機嫌そうになりながら奥に進む。教師と生徒達はそのままガルについて行った。
(魔力感知にジャイアントバットしか反応が無い?)
魔力感知には空中を飛んでいるモンスターしか反応が無かった。カイだけは3階層で異変が起きてることを感じながらついて行く。
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その後、3回程戦闘をしたが、ジャイアントバットしか現れなかった。
生徒達はこの階層はジャイアントバットしか現れないのかと勘違いをし、教師はオークが出てこないことに安堵していた。
その時、カイの魔力感知に反応があった。
(反応が3つ。1つはオーク?少し魔力が多い...。もう1つは人のはずなのに戦闘してない...?それに、最後の1つ...。なんだこれ...。)
最後に反応にかかった魔力の反応は、オークはおろか、オークファイターよりも多い魔力を有していた。
「先生、すぐに戻った方が良いと思います。ここまでオークが出てこないのはおかしいです。」
カイの言葉に生徒達は(何言ってるんだこいつは?)という顔をしていた。教師もカイに言われここまでオークが出てこないことにおかしいと感じたのか、考え始めた。
「このまま進む。オークでも問題無い。」
教師が結論を出す前にガルが会話に乱入した。
「ここまで6回も戦闘をしてるのに、オークと1回も戦ってないのはおかしすぎるよ。それに、最初の戦闘でジャイアントバットが2体もいたのが気になる。」
「黙れ。お前がなぜ3階層にオークがいることを知ってる?でたらめか?」
「このダンジョンの3階層に...」
カイは言い返そうと思ったが、すぐに戦闘体勢に入った。
魔力感知で確認していた3つの反応が動き出した。
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