42話
カイたちは3階層に繋がる階段の前で休憩をしていた。
カイと教師は戦闘をしていないため疲れていなかったが、カイとガル以外の生徒達が先程までの戦闘で疲労がたまっていたため休憩をしていた。予定では3階層まで行く予定だったが、先程までの戦闘を見て、ここで引き返すことになった。
ガルが突然立ち上がる。
「立て。3階層に行くぞ。」
ガルが急に言い出した。休憩を始めてからまだ5分も経っていないのにだ。
「待って!?この状態で3階層は危ない!」
ガルの行動にカイはとても驚いた。
「そ、そうです!皆動けないのです。い、行くとしてもまだ休憩が必要です。そ、それにまだ3階層のモンスターは早すぎます!た、倒すことは出来ません。」
教師もガルを止める。
「どうでも良い。俺は行く。」
ガルは階段に向けて歩いた。
すぐさま階段の前に移動するカイ。ガルが3階層に行かないように立ちふさがる。
「どけ、無能。」
その瞬間
「ウォーターボール!」
カイに向かって魔法を撃った。そこまで速い魔法ではなかったためカイは簡単に避けることが出来た。しかし、その隙にガルが3階層への階段を下りて行ってしまった。
「ま、待ってください!!」
教師は急いでガルの後を追う。他の生徒は「先生!!」と言いながら教師を追いかける。
階段の前に残されたのはカイだけだった。
(急に魔法撃つかな...?避けなかったら怪我してたよ...。)
「...追いかけよう。」
カイも3階層に向かう。内心呆れた感情を持ちながら。
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カイが3階層に着くと、そこではガルも含めた生徒たちが一斉に何度も魔法を撃っていた。しかし、戦っているモンスター達は簡単に生徒たちの攻撃を避ける。
ジャイアントバットだ。2体のジャイアントバットは空中を華麗に飛び回り魔法を避ける。
生徒達が何度も魔法を撃つが、ジャイアントバットに当たることはなく、このままでは生徒達の魔力を消耗するだけになってしまう。
教師は1人で1体のジャイアントバットと戦っていて、所々傷を負わせているが、致命傷とまではいかなかった。
その時、生徒達が戦っているジャイアントバットが体勢を崩した。そのため、誰かの魔法が当たり地面に落ちる。落ちた後はガルが斬りつけ倒した。
もう1体にジャイアントバットは、傷を負っていたこともあり、生徒達が援護してすぐに倒すことが出来た。
実はジャイアントバットが体勢を崩す少し前、カイはバレない様に限界まで透明度を上げた小さな氷を作り出していた。そしてカイはそれを当てることで体勢を崩させていた。
しかし、このことが裏目に出てしまった。
ガルと生徒達は自分たちの魔法により体勢を崩し倒すことが出来たと勘違いしてしまった。
「み、皆さん、2階層に戻りますよ。」
教師がそういうが誰も言うことを聞こうとしない。
「ど、どうしたのですか?」
動かない生徒達に教師は疑問に思う。
「このまま奥に進む。行くぞ。」
ガルはそう言うと奥に行く。他の生徒達もついて行こうとする。
「ま、待ってください!?3階層はまだ危険です!戻らないと...。」
ここまで言うと教師の言葉を遮る人がいた。いや、人達がいた。
「先生。現に俺たちはジャイアントバットを倒すことが出来ました。」
「そ、それはそうですが...。」
「それに、このダンジョン探索は1ヵ月に1回しかできないんです。それなら出来る限り探索をした方が良いと思うんです。」
他の生徒達は「そうですよ!」や「3階層でも大丈夫です!」など言い始めた。
教師は言い返せなかった。
「わ、分かりました...。で、ですが、少しでも危険になったらも、戻ります。」
教師は少し考えるそぶりをしたが、予定では3階層に行くことになっていたこともあり、最後には折れて探索を続けることにした。
生徒達は「はい。」と返事をする。数人は「はーい。」と言葉を伸ばしていた。
生徒達は自分達では倒すことが出来ないと言われたモンスターを倒すことが出来たことに浮かれていた。
生徒達はガルを筆頭に奥に進もうとする。このことを後悔することも知らずに。
(なんでジャイアントバットが2体?)
カイは皆の話しを聞かず、ジャイアントバットが2体いたことが気がかりだった。
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「来たか。」
「早く終わらせたいものだ。」
3階層の奥で何かの肉塊を持った者たちが話していた。
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ここまで読んでくださりありがとうございます。
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