41話
カイが教室に入るとほとんどの生徒がすでに来ていた。皆が不安そうな顔をしていた。誰かが初日に大怪我をした生徒がいたと話したらしい。
少しして、担任と数人の教師が入ってきたため生徒たちは席に着いた。
「予定通りダンジョンの探索をする。グループを今から発表する。」
担任はどんどんグループを言っていった。
カイも問題なく呼ばれたため、そのグループの所に集まった。
「おい、無能。迷惑かけるなよ。」
突然のことにカイが唖然としていると、言って来た生徒は他の生徒に威圧的に近接戦が出来るかを聞き、出来ると言った生徒には前衛、できないと言った生徒には後衛をしろと命令口調で言った。
最後に「お前は最後尾にいろ。」と言ったため、カイの位置は最後尾になった。
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ダンジョンまでは冒険者体験のときと同じでグループごとに馬車に乗った。
他の班から見て、カイが乗っている馬車は良い雰囲気とはお世辞にも言えなかった。
「何で俺の班に無能がいるんだ。」
教室でカイに「迷惑かけるな。」と開口一番に言った男子生徒だった。
他の生徒は、自分たちも文句を言われるかもしれないことから不安に思い声を上げることが出来なくなっていた。
「バ、バイト君お、落ち着いて下さい。」
びくびくしながら同行している教師が、態度の悪い生徒の名前を呼びながら落ち着かせようとする。
「班は誰が組んでる?」
少しばかり怒気を帯びた声で聞く。
「ふ、副学園長が組んだと聞いています。」
その態度にイライラしたのか先程よりも不機嫌そうになった。
もし、ここに椅子などがあったら蹴飛ばしていただろう。
カイのことが視界に入ったためか、外の景色を見ていたカイのことを睨む。睨まれていることに気づいたカイはどうしようかと考えていたが、他人から見たらすまし顔で外を見ているようにしか見えなかった。
バイトと言われた生徒はその様子についに我慢できなくなったのか、馬車の床を叩きつける。
カイ以外は教師を含めビクッ!と体が反応して顔には恐怖が浮かび上がっていた。
御者が馬が驚くから止めてくれと言うが「フンッ!」と言って顔を背ける。御者には教師が代わりに謝っていた。
その後誰も話すことは無く、悪い雰囲気だけが残った。
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カイ達Fクラスと教員がダンジョンに着いた。
そのダンジョンはAクラスがダンジョン探索したダンジョンと同じダンジョンだった。
カイ達以外の生徒は教室の時とは違い少し落ち着いた様子だった。
カイ達には伝えられなかったが、他の馬車の中では、今回同行する教師は学園の中でも強い教師だから安全だと言われていた。
ダンジョン前に着き、カイのいる班が一番初めにダンジョンに入った。
カイや同じ班の生徒が疑問に思い質問したところ、あの態度の悪い生徒『ガル=バイト』がクラスの中では腕が立つためと返答された。仕方ないため、班員たちはガルに言われた通りの配列に並びダンジョンに入って行った。
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1階層では、最初ガルが1人で戦闘をしていたが、倒すことに飽きたのか後ろにいる生徒に指示を出し戦闘をさせ始めた。カイも戦おうと腰から下げている剣に手をかけたが「お前が戦う必要は無い。邪魔するな。」と言われたためカイはおとなしく戦うことを止めた。
カイとしては新しく買った剣を実戦で使ってみたかったが、ガルの機嫌を損ない馬車と同じような空気になると他の生徒が可哀そうだと思ったためおとなしく下がった。
カイは後ろで見ていたが、ガルが出す指示とてもずさんな物だった。「お前前に出ろ。」と「魔法撃て。」の2つしかなかった。その指示のせいで戦っている生徒は困惑していた。
ガルが出す指示を聞きながら1階層を攻略し、2階層に着くと最初はガルが1人で戦うが、途中からまた指示を出し他の生徒に戦わせていた。
先程と違い、敵が複数いるため生徒たちは手こずったが、何とか倒せていた。
そして、3階層につながる階段を見つけた。
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