39話
突如として隣から声がしたため担任は驚き、ミカが言ったことを理解できなかった。
「先生は他のみんなを守ってください。」
「ま、待て!アルゲーノス1人では無理だ!」
「...大丈夫です。」
「ここは言うことを聞け!」
先程は生徒を置いて逃げたのに、今になって生徒を案じるような行動に出た。
「私が戦っている間に攻撃されたら誰がみんなを守るんですか?」
ミカの言葉に担任は言い返せなかった。
「...分かった。」
担任は動けない生徒達を何とか動かしヒースの近くに移動した。
担任はすぐさま血を流している生徒の傷を焼くことで止血し始めた。
担任と話している間に、先程まで雷により動けなかったオークファイターが動けるようになり、ファイアボールが当たったときに落とした武器を拾い、先程まで戦っていた担任に向かって走り出した。
しかし、走っているオークファイターを横からミカが斬りつけた。
足に雷を纏わせているミカの速度に反応できなかったオークファイターはそのまま腹が切れたが、脂肪が厚かったため致命傷にはならなかった。
「プギィィィィィイイイイイイ!!」
オークファイターは今まで余裕だと思っていたが、自分を切り付けた存在がいたため、気合を入れるためか、相手を萎縮させるためか分からないが、雄叫びを上げた。その雄叫びに、ミカと担任以外は腰を抜かした。しかし、担任も聞いたことがあったのか、ミカと同じで怯むことなくオークファイターを見ていた。
ミカがチラッと担任の方を見てみると、止血が終わったのか、ヒースを守った生徒は包帯が巻かれていた。
ミカは槍を構え直しオークファイターを注視する。
オークファイターは変わらず突進してくる。ミカは再度足に雷を纏わせ、高速で移動する。オークファイターはまた腹を切られると思ったのか、持っている大剣を横に振り払ったが、ミカに当たることは無かった。当たらなかったことに焦ったオークファイターは大剣を振り回し始めた。
ミカはその隙に後ろに回り背中を浅く切った。それに気づいたオークファイターは素早く振り向き、大剣を高く振り上げた。当たったら簡単に頭から体が半分に分かれる一撃をオークファイターは躊躇うことなく振り下ろした。オークファイターが振り下ろした一撃は地響きを起こした。
これには、担任も驚いた。しかも、先程の一撃により砂埃が起こりミカの安否が分からなかった。
生徒達はミカが負けたことで、次は自分たちの番ということに絶望し、担任はすぐさま生徒を守るように立ち上がる。
------------------------------------------------------------------------------------------------
勝負の最後は一瞬だった。オークファイターが大剣を振り下ろし始めた瞬間、ミカはオークファイターの後ろにいた。ミカは何が起きても良いように、まだ足に雷を纏わせていたのである。後ろに移動したミカは最後の一撃と言わんばかりに槍を深く突き刺した。
突き刺したのがただの槍だったらオークファイターはまだ生きていたかもしれなかった。「プギィィイイ!」と悲鳴を上げることで、生徒達が次は自分たちと絶望することは無かったかもしれない。
ミカはオークファイターに槍を突き刺す前に槍に雷を纏わせていた。移動した後に雷を纏わせたが、この纏わせる行動は特訓する前のミカならば攻撃するまでに間に合わなかっただろう。カイの厳しい特訓のおかげだった。
オークファイターは雷と深くまで刺さった槍により断末魔を上げることもなく絶命した。
少しして砂埃が晴れた。そこには、倒れているオークファイターとその近くに、槍の石突を地面につけて立っているミカがいた。
生徒たちはオークファイターの死体を見た瞬間喜び出した。その中には涙を流している者もいた。
「アルゲーノス、助かった。」
「同じグループですから。」
その後、ここにいてはまたモンスターと遭遇する可能性があるため、移動を開始した。
担任と取り巻きの1人がそれぞれ、ヒースとヒースを守るためにオークファイターに切られた生徒を背負った。
ミカを先頭にダンジョンから出るために移動し始めた。
この時、ミカ達を見ている者がいたが、誰も気づくことは無かった。
------------------------------------------------------------------------------------------------
ここまで読んでくださりありがとうございます。
コメントをくださった方、ありがとうございます。
すべて読ませていただきました。
質問など、5月中旬までに返信で回答します。
これからもコメントをしていただけると幸いです。
今後は近況ノートなどを積極的に使っていく予定ですので、そちらの方を確認していただけたら幸いです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます