37話


 戦闘が終わり、ヒースと取り巻き達が腰を地に着け休憩しようとしたとき、地響きが鳴り響いた。ミカはこの地響きを聞いた瞬間にカイとダンジョンに潜ったときのことを思い出した。


(オークファイターかも...。)


 ミカだけはすぐさま戦闘が出来るように身構えた。


「せ、先生!この地響き何ですか!?」

「わ、わからん。だが、急いで移動するぞ。」


 ミカ以外が慌てている中、ヒースは教師に質問していた。担任にも原因がわかっていなかったが、ここにいては危ないと判断したため移動することにした。

 だがここで問題が起きた。


「せ、先生...。気分が悪くて動けないです...。」


 取り巻き達が体調不良だと言い始めた。

 先程の戦闘はもちろんのこと、今までの戦闘で無駄に高威力の魔法ばかり使っていたため、魔力が底を尽きようとしていた。

 その時、地響きが止んだ。


「ここで休憩してはどうですか?幸いにも地響きは止んだようですし。」

「そうだな。ここで休憩としよう。」


 ヒースが担任に休憩することを提案した。ヒースも魔力が少なくなり戦闘したくないと思っていたからだ。担任は動けない生徒がたくさんいる中で戦いたくないと思ったのか、休憩するのに賛成した。


「やめた方が良いと思います。無理してでも上層に戻るべきです。」


 休憩を始める寸前にミカが止めに入った。何が起きてるか分からない状態で休憩するのは危険でしかないと考えたからだ。


「ですがミカさん、5人も動けない状況で戦闘になる方が危ないのではないですか?」

「今の地響きから考えて近くに強力なモンスターがいるのは一目瞭然です。今の状態で遭遇したら手に負えません。」

「移動している中で遭遇する可能性の方が高いのでは?」

「2人ともやめろ。ここは休憩することにする。わかったな、アルゲーノス。」

「...分かりました。」


 これ以上言っても無駄だと判断したミカは反対することを止めた。

 担任とヒース、取り巻き達は固まって休憩しており、他の生徒もその後ろで固まって休憩していた。

 ミカは他の生徒の近くで休憩することにした。


(ここで魔力を感知出来れば何が近くにいるか分かったのに...。)


 ミカはそんなことを思いながら休憩し始めた。


------------------------------------------------------------------------------------------------


 休憩を始めてから5分もしないでまた地響きがなり始めた。

 ミカはすぐに立ち上がった。


「すぐに移動してください!」

「大丈夫ですよ。また鳴ってるだけですよ。こっちに来ませんって。」


 ヒースは腰をつけて休憩してみたら自分が予想しているよりも疲労していたため立つことが出来なかった。そのことを隠すためまだ休憩しても大丈夫だと言い張った。

 しかし、地響きはどんどん大きくなっていく。


「もう移動しないと危ないです!」

「ま、まだ大丈夫ですよ!こっちに来ませんって。」

「バーシィもう移動するぞ!ここは危ない!」


「プギィィィイィイィイイイイ!!」


 皆が音がした方を見た。そこにはオークがいた。


「う、うわぁぁぁああああ!!」

「に、逃げろ!!」


 取り巻き達は慌てて逃げ出した。ヒースも立ち上がり逃げ出したが、その時ミカに勢いよく当たったためミカは尻餅ついてしまった。他にも走り出した取り巻きにぶつかったのか1人の女生徒が横になって倒れていた。担任もヒース達を追いかけて逃げ出した。その場にミカと女生徒が取り残された。

 オークは女生徒の方に向かって走り出した。女生徒は立ち上がろうとしていたが、恐怖でその場に座り込んでしまった。

 しかし、オークが急に止まった。


「大丈夫?」


 いつ近くに寄っていたのか、ミカが倒れてる生徒に手を伸ばした。


「あ、ありがとう。」

「ちょっと後ろに下がってて。あれは私が倒すから。」


 ミカは槍を構えオークと対峙した。


 オークは痙攣してその場にとどまっていた。オークが生徒に襲い掛かろうとした瞬間にミカがオークに雷を放ったからだった。

 ミカはその隙に足に雷を纏わせオークに急接近して首を斬りつけた。頭と胴体を離すことは出来なかったが深く切りつけることは出来たため、オークを倒すことが出来た。

 ミカはオークの死骸を見ていた。


(やっぱり普通のオークだよね...。じゃあ、地響きは他のモンスターのせい?)


 地響きがして出て来たため、ミカはオークファイターだと思ったが、対峙した時にオークだと分かっていた。


「す、すごいね。1人でこんなにデカいオークを1人で倒せるなんて...。」


 後ろに下がっていた生徒がミカに話しかけた。ミカはオークから素材を回収することはせずに生徒の方に近づいた。


「冒険者体験の授業でもっと強いのと戦ったから。」

「はは、私なんて腰が抜けて立てないよ。」


 言葉の通り、その生徒は立てそうになかった。ミカはその生徒と話しながら立てるのを待つことにした。


------------------------------------------------------------------------------------------------


 ここまで読んでくださりありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る