36話
Aクラスはダンジョンの前に着いた。このダンジョンは前に冒険者体験で来たところだった。着いたところで教師が話し始めた。
「これからダンジョンに入るぞ。それぞれ教師がついてるからって油断しないように。」
そう言われ気を引き締める生徒もいれば、『ダンジョンなんて楽勝だろう。』と気を緩めている者がいた。気を緩めているのは主にヒースとヒースの取り巻き達だった。
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ミカの班がダンジョン探索を初めて1時間ほど経った。ミカは、ヒースやヒースの取り巻き達5人、取り巻きでない生徒3人、担任の11人と一緒にいた。
しかし、ダンジョンに入ってからミカは戦闘をしていない。主に戦闘していたのはヒースやその取り巻き達だった。ヒースと取り巻き達がモンスターを見た瞬間に魔法を放ち倒していくのだ。
取り巻き達はヒースにいいところを見せ、より気に入られようとして、ヒースはミカにカッコいいところを見せようとしていた。
担任は褒めているばかりで、他の生徒はどうしたらいいのかとおろおろしてばっかだった。
しかし、ミカから見ると、モンスターを倒すときの魔法が無駄に高威力でいつ魔力が切れるのかと思っていた。どうして高威力なのかと言うと、良いところを見せようとしているのと、ダンジョンなんて楽勝と言う考えからだった。
そのことが後々自分たちの首を絞めるとはミカ以外誰も思っていなかった。
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ミカたちは2階層を探索していた。ミカはずっと戦闘が出来ず、退屈に思っていた。相変わらずヒースと取り巻き達ばかりが戦闘しているのだ。
「どうですかミカさん!これからも守るので安心してください!」
ヒースが自慢げにミカに言うと取り巻き達は「さすがヒース様!」と言い、担任は嬉しそうに頷いている。他の生徒は相変わらずどうしたらいいのか分からずおどおどしていた。ミカはうんざりしような顔をしていたが誰も気づいていなかった。
「だが、これでは私の本領発揮が出来ませんね。もっと深くに行きましょう!」
取り巻き達は相変わらず「さすが!」や「良いですね!」など言っているが、教師はすぐに止めた。
「待て、これより深くは危ない。もっと準備をしてから来るべきだ。」
「大丈夫ですよ!私がいるんですから!」
「だがさすがに...」
「大丈夫ですよ。さぁ行きましょう。」
ヒースと取り巻き達はそのまま奥に向かって行く。担任は仕方ないと言った顔をしつつもヒースがいるなら大丈夫だろうと安心していた。他の生徒は自分たちがこのままここにいるわけにもいかないためついて行くしかなかった。ミカはこの後戦うことになるかもしれないと思いながらついて行った。
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3階層に来てからもヒースたちはモンスターと会った瞬間に高威力の魔法を放っていた。しかし、ジャイアントバットにはなかなか魔法が当たらず、2、3発撃つことでやっと当てることが出来ていた。取り巻き達は少し不安に思い始めていたが、ヒースはそんなことお構いなしに進んでいく。担任と取り巻きがヒースについて行ってしまうためミカたちもついて行くしかなかった。
進んでいくと4階層への階段を見つけたため、そのまま進んでいった。
しかし、それが間違いだった。
4階層に着いた。ヒースたちは相変わらず進んでいく。ミカたちも後ろをついて行くが、ミカは先程よりもヒースたちに近いところにいた。
オークが目の前にいたためヒースが魔法を放った。取り巻き達も魔法を撃とうとしたが、目の前の光景に驚き撃てなかった。目の前には魔法をくらったオークを含め4体、ジャイアントバット2体がいたのである。オークとジャイアントバットは縄張り争いをしていた様だが、ヒースたちが来たことにより、標的をヒースたちに切り替えた。ヒースと取り巻き、担任は急いで魔法を撃ち応戦し始めるが、モンスター達はかまわず進んでくる。
さすがに、マズイと思ったミカは手に雷を集め、先に接近していたジャイアントバット達に向かって放った。雷を受けたジャイアントバットはそのまま落ちてしまい、後ろから来ていたオークに踏みつぶさて死骸となった。ヒースたちはこの状況にパニックになっていたため、そのことに気づいていなかった。ミカはその後も必要最低限の威力で魔法を放ちオークを倒していった。ヒースたちは無我夢中で魔法を撃っていたため、誰がオークたちを倒したか気づいていなかった。
戦闘が終わり、ヒースたちは息が上がっていた。
ミカはこの状況を冷静に分析していた。ヒースたちはこれ以上戦えず、担任も先程の戦闘を見る限りそこまで強くない。ヒースよりもほんの少し強い程度だった。他の生徒は萎縮してしまい戦闘することは出来ない。(戦えるのは自分しかいない。)と考えていた。
その時、地響きが鳴り響いた。
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