30話


 医師は仕事が終わり一息ついたため、カイに近づいた。


「さて、待たせてしまいましたね。それでは教えましょう今の国々の関係性を。」


 医師がそう言いながら、カイがいるベッドの近くの椅子に座った。


「始めに、王国と他国の関係性を言う前にそれぞれの国のことを知りましょう。」


「まずは公国です。公国は基本的に他国との関係は良好です。」

「公国はどの国とも敵対してないんですか?」

「無いと思います。聖国とは貿易をするなど良い関係を維持しています。私も公国は良い国だと思います。ただ、公国の情報は非常に少ないです。彼らは秘密主義なんです。なので公国の情報はほとんど出回っていません。」


「次に聖国です。聖国は神を信仰しています。そして、各国にその教えを教えるため、各国に教会を設置しています。教会の設置を許して貰っているのは、適性検査を教会でしか行えないからですね。」

(実際は違うはずだけど、これには深い訳があるのかな?)


 カイは適性検査が教会でなくても出来ることを知っていたが、今はこのことを深く考えないことにした。


「そして、帝国と王国ですが、この2つはほとんど同じです。違うところは王が違う。こんなところですね。ここまではよろしいですか?」

「はい。」


 ここまではカイもある程度知っていることだったため、特に気にすることは無かった。


「ここからが重要です。それぞれの国には目的があります。聖国ならば先程話したように、『神を信仰する』この教えを広めることなど。公国は秘密主義のためよくわかっていませんが、帝国と王国は態度から見てもまるわかりの部分があります。」


「帝国は、他国と友好的になりたいと思っているようです。聖国にもたびたび来てはいろいろなやり取りをしているようです。」


「最後に王国です。王国は自分たちの国こそ至高だと考えています。そのため、他国とのやり取りはほとんどありません。目的はわかっていませんが、もしかしたら他国を支配したいと考えているかもしれません。そのため、聖国は教会に教徒を派遣すること以外は王国とやり取りはしていません。」

「そんな関係になっていたんですか...。聖国と王国はだいぶ仲が悪いんですね...。」

「いえ、これでもまだ良いほうです。」


「実は、王国と帝国は数年に一度小さいいざこざが起きているそうです。」

「そんなこと聞いたことありませんよ?」

「それはそうですよ。王国は国民にバレないようにしていますから。」

「何で隠しているんですか?」

「おそらくですが、王国は帝国に負けたことを知られたくないのでしょう。」

「そうなんですか...。と言うより、王国は帝国に負けてたんですね。」

「あまりショックじゃなさそうですね。」

「知り合いに帝国よりも魔法技術が低いと聞いてましたから。」

「カイ君には帝国の知り合いがいるんですね。もしかして、傷を覆っていた氷の魔法をかけた人ですか?」

「そうです。帝国で冒険者をしてるって言ってました。」

「帝国は聖国から見ても魔法技術が高いですからね。それだったら先程の氷も納得がいきます。」

「そもそも、なんで王国は帝国に喧嘩を売ってるんですか?」

「理由は主に2つだと思います。1つは帝国の領土を占領したい。もう1つはあまり知られていませんが、王国の国民が数十人、多い時には数百人単位で帝国に移住しているんです。」

「...それは王国での生活が苦しいからですか?」

「その通りです。基本は貴族の横暴な態度に我慢が出来なくなり移住するそうです。そして帝国はそういう人たちを受け入れています。公国はこのような人達を受け入れておらず、聖国は受け入れていますが教会だけとは言え王国と繋がりがある国には来づらいんでしょう。王国は移民をわざと逃がし、帝国が不正に民を受け入れてると言って攻め入る口実を手に入れてるんですね。」

「そんなことが起きてたんですか...。」

「聖国と公国は、数年のうちに王国と帝国の戦争が起こることを予想していますね。」


 カイは医師と話していて、ふと疑問に思ったことがあった。


「冒険者がお互いの国のことを教えることは無いんですか?」

「それはほぼ無いと思っていいですね。どの国も程度は違いますが、他国に行くなら審査が要ります。その審査で許可が下りなければ国を出ることは出来ませんから。」

「それなら先生はどうやって王国に来たんですか?」

「...それは厳正な審査を受けてですよ。それ以外に方法は無いですから。」

「先生嘘つきましたね。密入国ですか?」


 瞬きをする程の間だったが、医師はカイに聞かれたことで動揺してしまった。カイはその一瞬を見逃さなかった。


「...はぁー、その通りです。君は何者ですか?」

「ただの学生ですよ。先生はなぜ密入国なんてしたんですか?」

「それは言えませんよ。」

「バラしても良いんですか?」

「脅しですか...?わかりました。取引をしましょう。カイ君はこのことを誰にも話さないでください。私は、カイ君が聞きたいようなことを出来るだけ教えます。どうですか?」

「...分かりました。誰にも言わないようにします。」


ここでこの医師を王国に報告をしても良いが、話していればもっと情報が得られると思ったためカイは報告しないことにした。


「それは良かった。」

「じゃあ、さっそく聞きたいんですが、冒険者体験の授業は冒険者が先生をしてるのを知ってますか?」

「はい、知ってますよ。今回の担当になった先生はAランク冒険者と聞きました。先程の話しの通りなら帝国の人ですよね?」

「はい、そうなんです。それって大丈夫なんですかね?」

「どうですかね?冒険者ギルドは唯一国に属さない組織ですから。私は詳しく知りません。」

「さっそく知らないことじゃないですか...。」

「分かりました。少し調べてみましょう。時間をくださいそうすればわかるかもしれません。」

「お願いします。」

「さて、そろそろ寝てください。これ以上は体に障りますよ」


 そういわれカイは寝ることにした。


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 ここまで読んでくださりありがとうございます。

 今回は医師とカイの会話でほとんど終わりました。

 読みずらかったら申し訳ございません。

 また、ここがわかりずらいなどありましたらコメントで聞いてくださると幸いです。


 次回を楽しみにしていただけたら有難いです。

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