25話
扉を開けた先は、先程まで探索していたダンジョン内のどこよりも広い部屋で、障害物が全くなかった。3人が中に入った後、扉が音をたてて閉まった。
入った先には崩れ落ちた銀色の甲冑と黒色の大剣と大盾しかなかった。ミカから見たらそれしかなかったが、カイとセレスは膨大な魔力を感知していた。その魔力量はカイ達が戦ったオークファイターとは比較できないほどだった。
落ちていた甲冑が浮き始め、ヒト型になろうとしていた。
「2人とも!!あれはイモータルジェネラルよ!!」
セレスが大きな声で2人に言った。甲冑が完全に人型になり、兜の目の部分が光った。イモータルジェネラルは左手に大盾を、右手には大剣を装備した。
カイは相手に接近されたら危ないと思い、魔力を纏いイモータルジェネラルに向かって跳びかかった。イモータルジェネラルは簡単に大盾でナイフを受け止め、薙ぎ払いカイを元の位置まで飛ばした。カイは片膝をつきながら着地した。
「大丈夫!?」
「無理して前に出ちゃダメよ!あの甲冑は壊しても復元されるし、中は霊体だからナイフじゃ本体にダメージ与えられないわよ!」
「分かりました。作戦通り俺がアイツの注意を引きます。その間に2人で魔法を撃ってください」
作戦を伝え終わり、カイが飛び出そうとした瞬間に、カイはイモータルジェネラルが魔法を使うのを感知した。その魔法は闇の魔法で、イモータルジェネラルが自身の横に4つの黒い渦を作り出した。その渦からカシャンカシャンと音がし始めると、渦から鎧を着た頭の無い騎士が4体現れ始めた。
「セレスさんあれってアンデッドナイトですよね…?」
「えぇ、そうね。この状況はマズイわね…」
「アンデットナイトを何体まで相手できますか?」
「4体なんて全く問題ないわ」
「じゃあ、アンデッドナイトをお願いします。ミカはイモータルジェネラルに魔法を撃って」
「わかったわ。任せて。すぐに終わらせて援護に行くわ」
「分かったよ。援護は任せて!」
イモータルジェネラル達との戦闘が始まった。
「分断は私に任せて」
セレスはイモータルジェネラルとアンデッドナイト達の間に大きな氷の壁を作り出した。それは、アイスウォールと呼ばれる魔法よりも厚く、強固な壁だった。
「2人とも、イモータルジェネラルの弱点はあの光る目よ」
そう言い、セレスはアンデッドナイトの前に出た。
サレスは接近していたアンデッドナイトと対峙した瞬間に地面を凍らせたが、奥にいた2体は足が凍らないように後ろに跳んだ。セレスは足が凍り付いて動けないでいるアンデッドナイトに氷の塊を放った。その氷の塊の先はレイピアのように鋭くなっていたため、容易に貫いた。
仲間がやられたことを気にすることなくアンデッドナイトはセレスに接近した。そのため、2体のアンデッドナイトとの近接戦になった。セレスは持っている杖を氷で覆い強度を高めた。セレスは一体のアンデッドナイトの剣を受け止め、もう一体のアンデッドナイトが剣を振り下ろしてくる前に蹴飛ばした。剣を受け止めているアンデッドナイトに向かって杖で殴りかかったが、アンデッドナイトは剣を持っていない右腕で受け止めた。接近戦をしていると、蹴り飛ばしたアンデッドナイトが起き上がり始めているのが見えたため、セレスは杖を振りかぶり、対峙しているアンデッドナイトを殴り飛ばした。アンデッドナイトが来る間にセレスは無数の氷の塊をアンデッドナイト達に向かって放った。先程殴り飛ばしたアンデッドナイトは氷の塊が胸に命中し動かなくなった。
今度はセレスがアンデッドナイトに接近した。セレスが杖を横から当てようとする。アンデッドナイトは剣で受け止める。杖と剣がぶつかり合う。この後もセレスは杖で殴りかかり、アンデッドナイトは剣で斬りつけるやり取りが続いた。セレスは流れを変えるために、勢いよくアンデッドナイトの胸部分を杖で突いた。アンデッドナイトの体制が崩れた瞬間に至近距離で氷の塊を胸に撃ち込んだ。
4体のアンデッドナイトを倒し切り、カイとミカの援護をするためにセレスは走ったが現状を見た瞬間に叫んだ。
「ミカ!」
地面に座っているミカをイモータルジェネラルが斬りつけようとしていた。
時はカイとミカがイモータルジェネラルと対峙し始めたときに戻る。
「あまり撃ちすぎないように気を付けて」
「分かったよ。気を付けてね」
カイはミカの返事を聞いた瞬間に走り出した。カイがすることは、ミカに攻撃が行かないために、イモータルジェネラルの目の前で邪魔をすること。
カイがイモータルジェネラル顔を斬りつけるために跳躍するが、ナイフは盾によって防がれてしまった。しかし、その隙にミカがイモータルジェネラルの胴体に雷を撃ち込んだ。だが、効き目が低いのかイモータルジェネラルがダメージを受けた様子はなかった。イモータルジェネラルが盾でナイフを受け止めたままカイを斬りつけようとする。カイはバックステップで避け、また接近して斬りつけようとするが、また盾に防がれた。その隙にミカがイモータルジェネラルに雷を放つが全く効き目が無かった。
(このナイフじゃ威力が低すぎる…。かと言ってミカから槍を受け取っても使えないし、ミカの防衛手段が無くなる…。セレスさんもまだ時間がかかりそうだし、どうすれば…)
カイがセレスのいる方を魔力感知で調べると、セレスはアンデッドナイトを3体倒したところだった。
カイがイモータルジェネラルに斬りかかり、イモータルジェネラルが盾で防ぐ。カイを斬りつけようとした隙にミカが雷をイモータルジェネラルに放つ。そして、カイがまたイモータルジェネラルに斬りつけようとする。カイ達が逼迫する状況が続いた。
カイは動きながら考えていたが、これ以上続けても状況は変わらないと考え、ミカの所まで数回跳んで接近した。
「もっと威力のあるやつ出せる?」
「出せるけど巻き添えになるよ!?」
「当たらないようにするから大丈夫」
それだけ言いカイはイモータルジェネラルにまた向かって行った。カイがイモータルジェネラルに斬りかかるが、ナイフは盾によって防がれる。カイのことをイモータルジェネラルが斬ろうとするが、カイはそれをバックステップで避ける。そして、カイがまた斬りつける。先程と違ってミカの魔法が無かった。カイとイモータルジェネラルの斬り合いが数回続いた。
「準備できたよ!避けて!」
ミカから合図が来たため、カイは後ろに退く。先ほどまで撃っていた雷と違い、ミカの手には雷で出来た槍があった。その槍はミカの身長よりも長い槍だった。ミカは振りかぶりイモータルジェネラルに向けて槍を投げた。その槍は肉眼で見ることが出来ず、ミカが投げたと同時にイモータルジェネラルの胸に刺さっていた。カイが刺さっていることを確認した瞬間にその槍は無くなった。
しかし、それは無くなったように見えただけだった。イモータルジェネラルが痙攣し始め、体から雷を出し始めた。その隙にカイはミカに近づいた。
「魔力は?」
「も、もう空っぽ…」
カイはミカを抱え少し後ろに跳んだ。
「あとは任せて」
ミカをゆっくりと地面におろし、ナイフを逆手で構え直した。イモータルジェネラルは甲冑から雷が出なくなり、再度大剣を構えた。
甲冑は無傷だったが、動きに少しぎこちなさがあった。イモータルジェネラルには確実にダメージが入っていた。カイは魔力感知でセレスがアンデットナイトを倒したのを確認できたため、時間稼ぎをしようとした。だが、イモータルジェネラルは自分が傷つけられたことに激情し、さっきまで使っていなかった魔法を発動させた。魔法により、カイの目の前に黒色の騎士が3体現れた。
カイがその3体の攻撃を避けて攻撃しようとしたとき、イモータルジェネラルがカイに向けて勢いよく盾を投げた。カイはその盾を避けることが出来ずに当たるかと思われた。だが、カイの目の前に風の盾が現れた。その風の盾はレイがカイを守るために渡した
だが、イモータルジェネラルはカイのことを無視してミカに向かって走っていた。
イモータルジェネラルは自分を傷つけたミカに向かって大剣を振り下ろそうとしていた。
「ミカ!」
カイとセレスが駆けつけようとしたが、まだ距離がある。
ミカは魔力が無く動けない状態のため避けられず斬り殺されそうになっていた。
ここまでありがとうございます。
ミカはどうなってしまうのか…。
次回に続きます。
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