24話
カイとミカは3階層の攻略を進めていた。
3階層はオークとジャイアントバットしか出ないのか、順調に進んでいた。
オークが出たときは、先にミカが出て斬りつけた後、カイがこん棒を持っている手を斬りつけ、とどめをミカが決める。その流れが出来ていた。
ジャイアントバットの時は、ミカが雷を放ち続け、ミカを狙った瞬間にカイが羽を切り裂き、地面に落ちたジャイアントバットを2人でとどめを決める流れになっていた。
オークの時は、2人の役割を交換しながら進んでいると、4階層に続く階段を見つけたため3人で下りた。
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4階層は3階層に出てくるモンスター達が集団になっていた。オークが持つ武器はこん棒もあったが、剣や斧を持つ場合もあった。
「オークが持つ武器が増えたけど、動きは変わらないね。」
「変わらないけど油断したら危ないよ。セレスさんが言ってたじゃん。「周りに気を付けて油断をしない。」って。」
「...そうだね。変わらないから油断してた。気を付ける。」
カイがミカに注意をしてから、ミカは気を引き締めて警戒していた。そのおかげか横の道からする音にいち早く気づいた。
「カイ、右から音がする。音的にたぶんオークだけど、オークにしては重い気がする。」
「確かに、音がでかい。(それに普通のオークよりも魔力が強い。)」
「どうする?戦う?」
「もしも、挟み撃ちになったら危ないから倒しに行こう。まず、偵察をして奇襲をかけよう。」
ミカはカイの提案に頷き、カイがセレスの方を見たら、セレスも頷いた。
3人は音をたてない様に歩き進んでいった。
カイが手をミカの前に出し止まるように促した。
「いた。あれが音の原因。」ヒソヒソ
「オークだけど、一回り位大きくない?」ヒソヒソ
「うん、セレスさんあれって...オークファイターじゃないですか...?」
「そうね、あれはオークファイターで間違いないわ。2人はどうする?」
「俺はミカの判断に任せるよ?」
「...やろう。良い機会になると思う。」
ミカがオークファイターを倒すと判断したため、カイとミカは武器を構えた。念のためにセレスも杖を構えた。
「作戦はミカが魔法で急接近して手を斬りつけて。俺がその後にオークファイターを斬りつけて気を逸らすから、ミカは俺が相手してる間に魔法を撃って。」
「分かったわ。でも、カイ1人だけで大丈夫?」
「大丈夫、俺が抑えるからミカは安心して魔法を撃って。」
ミカが雷を足に纏わせて準備万端なのを確認して2人が一斉に飛び出た。ミカが接近して腕を斬りつけた後、オークファイターが叫んだ。
「プギィィィィイイイイイイ!!!」
オークとは非にならない大きさで叫んだため、ミカが怯んで動けなくなってしまった。オークファイターはその隙を見逃さず、持っていた剣で斬りつけようとした。カイがミカと剣の間に滑り込んだため、ミカが斬られることは無かったが、カイは無理に剣を受け止めてしまったため持っていたアイアンソードが半分に折れてしまった。カイは一瞬で魔力を纏いミカを抱え、セレスがいるところまで数回跳んで退避した。
「ミカ!大丈夫!?」
「わ、私は大丈夫。カイは?」
「俺も大丈夫。剣が折れただけだから。(こんなことなら、予備を持ってきたほうが良かったかな...。)」
カイはミカをおろし、折れた剣を構えた。オークは笑っていた。オークから見たら、自分の雄叫びに怯んだ少女と、折れた剣を構える少年、それと杖を構える女にしか見えなかった。そのため、余裕で倒せると油断していた。カイが後ろにいるセレスに話しかけた。
「セレスさん。俺たちはまだ大丈夫です。」
「カイ。なにか手があるの?」
「ミカは魔法を撃って。出来るだけ胴体を狙って。」
それだけ言うとカイはオークファイターに向かって走り出した。
オークファイターは走ってくるカイに対して剣を薙ぎ払ったが、カイは跳躍してオークの顔に飛びついた。オークファイターがカイを顔からはがそうとしたが、ミカが魔法でそれを邪魔した。その隙にカイが折れた剣をオークファイターの目に突き刺した。
「プギィィィィィイイイ!!プギィ!プギィ!!」
さっきの非にならないほどの叫び声を出したが、カイは気にすることなく剣をより深くに刺しこんだ。
「プギィィィィ!!...プギィ...イ...。」
剣が脳まで達したのか、オークファイターは背中から倒れこんだ。
「念のために槍を心臓に刺してもらって良い?」
「うん。」
ミカがオークファイターの心臓に槍を突き立て、死んでいることを確認できたため、カイはオークファイターから少しだけ離れた。
「ふぅ~、何とかなったぁ。」
「助けてくれてありがとう。」
「2人とも大丈夫??」
ミカの後ろからセレスが話しかけた。
「...大丈夫そうね。ミカは雄叫びに怯んでしまったけど、その後の魔法のタイミングはとっても良かったわ。カイは折れた剣で倒すために顔に飛びついて突き刺したのは素晴らしい判断だったわ。」
「今度から、怯まないように気をつけます。」
「ありがとうございます。でも、この剣はもう使えないですね...。」
カイは突き刺した剣を抜いて持っていた。しかし、その剣は半分から折れ、残っている部分は、無理に刺したせいかボロボロで使い物にならなかった。
「ボスには心細いですが、このナイフを代用に使います。」
カイは腰にさしてある解体用に使っていたナイフを出した。
「それに、あとはボス戦だけのようなんで。」
そうして、カイが指さした先には5階層につながる階段があった。
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オークファイターの解体を終え素材を回収した後に、カイ達は階段を下りた。
下りた先には、大きな扉しかなかった。
「この扉の先にボスがいるわ。開ける前に一休みしましょう。」
カイ達は腰をおろして休憩し始めた。
「ボス部屋の前は安全な場所だから、ほとんどの冒険者がここで休憩してからボスに挑むのよ。いろいろなダンジョンがあるけどここは変わらないわ。」
「セレスさん、あのオークファイターは普通にいる者なんですか?」
カイは先ほど戦ったオークファイターが普通にダンジョン内を徘徊しているとは考えられなかったためセレスに聞いた。
「...ありえないわ。私たち「守り人の牙」はあなたたちにもしものことが無いように事前に5階層まで攻略しているわ。その時にオークファイターは4階層にはいなかったわ。」
ミカは驚いた顔をして、カイは少し考えるような顔をしていた。
「この後のボス部屋に異変が起きてる可能性はありますか?」
「分からないわ。こんなイレギュラーは私も体験したことが無いから。ただ聞いた話だと、ボスモンスターが強いのに変わることはあるそうよ。だから、次の戦闘は私も参加するわ。」
このあと、3人で作戦会議をした。作戦内容は、カイが前衛で敵を引き付けて、ミカとセレスが後ろから魔法で攻撃することになった。
ミカは最初、カイが前衛を担当することに反対したが、先ほどの戦闘のことを言われ渋々了承した。
十分に休憩したためカイがナイフを構えながら扉を開けた。
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ここまで読んでくださりありがとうございます。
次回ボス戦です!
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