23話
本日公開分の3話目、最後になります。明日からは18時に1話公開になります。
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「いきなり5階層に行って大丈夫ですか...?」
ミカがセレスに不安そうに聞いた。初めてのダンジョン攻略でボスがいる階層まで行く。それはかなり不安なことだ。カイもいきなり5階層まで行って大丈夫か考えていた。
「大丈夫よ。私たちが先に来て確かめたから。あなた達の実力だったら5階層なら大丈夫よ。」
「...それでも不安です。」
「危なくなったら私が助けに入るから大丈夫よ。それに危険だと判断したらすぐに引き返すから。」
「わかりました。」
今度は、カイとミカが前衛で進むことになった。
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1階層ではゴブリンとスライムが出て来たが、どれも1体ずつだったため、カイもミカも簡単に倒すことが出来た。
1階層を歩いていると下につながる階段を見つけた。
「セレスさん、これって...。」
「そうよ。この階段は2階層につながる階段よ。」
3人は2階層に下りて行った。
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2階層で出てくるモンスターは1階層と変わらなかったが、集団で出てくるようになっていた。
「...さすがに多いね。」
「あの数はちょっと重いね。」
カイとミカの前にはスライムが10体いた。まだ気づかれていないため、ここを無視して先に進むのも考えたが、万が一の時のため退路を確保しときたいとなったため倒すことにした。
「カイ、ここは私に任してもらって良い?」
「何か手があるの?」
「ちょっとね。試してみる。失敗したらカバーしてね?」
そう言うとミカは右手に雷の塊を作り、地面に右手を付けた。カイが魔力感知すると微量の魔力が木の枝が枝分かれするのと同じ様に、魔力がスライム達に向かっていた。スライムに魔力が届いた瞬間、スライム達が帯電して動かなくなった。その状態が5秒ほど続くとスライムは溶けていなくなった。
「お疲れ様。今の魔法便利だね。」
「でしょ?この前アルドレッドさんが使った魔法を参考にしてみたの。」
「王国では魔法に対してどう教えられてるのかしら?」
セレスが単なる興味本位で聞いた。
「えーと、魔法は、「ボール・バレット・キャノン・サークル・ウォール・シールド」が無属性以外にあって、それを巧みに使い戦うことって教えられました。」
「...それは本当?」
「本当だと思います。俺は師匠に「魔法は想像次第」って教えられましたが、家にあった本を読んだら魔法名とそれぞれの属性の特徴しか書いてませんでした。帝国ではどのように教えられるんですか?」
「カイが言ったのと同じよ。魔法は想像次第。自分の属性の長所・短所を考えて使うように教えられるわ。」
「...王国は魔法文明が遅れてるんですね。」
「そうね。でも、ミカは凄いわよ。アルドレッドが模擬戦で見せた魔法は誰にも教えられずに自分で見つけたんだから」
その後は、モンスターがいない時はセレスが王国のことを2人に聞いていた。
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3階層に続く階段を見つけ、3人で下りて行った。下りた先はさっきと変わらず洞窟だったが、先ほどよりも少し広くなっていた。
「ミカ、さっきよりも気を付けて。」
「うん。さっきと空気が違うってわかるよ。」
2人が歩いていく中、セレスは後ろで嬉しそうにしていた。
(この空気の違いを感じ取れるのは良いことね。)
嬉しそうにセレスはついて行った。
3階層を歩いていると、モンスターがいた。そのモンスターは豚の顔をしていて、全長2m半はあった。いわゆるオークだった。
「ミカ、オークが1体。さっきまでのモンスターと防御力が桁違いだから気を付けて。今回は一緒にやろう。」
「分かったよ。」
カイはアイアンソードを構え、ミカは槍を構えた。お互いが頷きあって一斉に出た。オークは近づかれていることに気づいていなかったため、カイとミカは簡単に接近することが出来た。ミカは足に雷を纏わせてため、カイよりも早く接近しオークの腹を斬りつけた。
「プギィィィィイイイ!!」
「カイ!お願い!」
カイもオークに接近してオークのこん棒を持っている方の手を斬りつけた。
カイに手を斬りつけられたため、オークはこん棒を落とした。
「ミカ!とどめお願い!」
カイに言われミカはオークの心臓を槍で一突きし、事切れたことを確認して槍を抜いた。
「最初のって模擬戦で使ってたやつ?」
「雷を足に纏わせてみたら、速くなったの。これ出来るようになってから重宝してるんだ~。」
ミカがカイに向かって自慢しているとセレスが口を開いた。
「今の連携はとっても良かったわよ。ミカのその魔法は本当に速いわね。」
「ありがとうございます。」
オークの素材を回収し攻略を再開しようとしたが、カイが奥にモンスターがいることに気づいた。
「ミカ、奥にいる。」
ミカはそれを聞き槍を構えた。
奥からコウモリが4匹飛んできた。これに気づいたミカはとっさに雷を放った。その結果、雷が当たり感電したコウモリが体勢を崩し、隣のコウモリに当たる。その当たったコウモリが感電しながら今度は違うコウモリに当たり感電する。最後のコウモリも同じ末路をたどり、4匹のコウモリが地面に落ちた。そのコウモリ達は最初はピクピクと動いていたが、少ししたら動かなくなった。
「ありがとうミカ。これはジャイアントバット?思ってたより小さい。」
「本当だ。小さいね。」
「これは、ジャイアントバットの子供ね。親が近くにいるかもしれないわね。」
オークからは素材を回収したが、ジャイアントバットの子供からは回収しなかった。
「なんでジャイアントバットから素材を回収しなかったの?」
「ジャイアントバットの素材は羽だけど、あれじゃ小さくて素材にならないからよ。」
「そんなに大きいコウモリなんですか!?」
「えぇ、さっきのコウモリの2倍はあるわ。」
「キキィ」
ミカとセレスが話していると甲高い音が前から聞こえた。
「2人とも、ジャイアントバットの親よ。」
「「はい!」」
先ほどのコウモリより2~3倍も大きいコウモリが現れた。
ジャイアントバットを見た瞬間、ミカが雷を放ったが、ジャイアントバットは少し怯んだがすぐに飛んできた。
「カイ!雷があんまり効かない。斬りつけたほうが速いと思う。」
「分かった。俺が先に出るよ。」
カイが斬りつけるが、ジャイアントバットは高く飛び避ける。ミカも斬りつけるが同じ様に避けられてしまった。カイは魔力を纏わせて戦うか考えたが、違う手段を思いついたためやめた。
「ミカ!羽を狙って撃って!」
「分かった!」
ミカは言われた通りに右の羽を撃ち始めた。ジャイアントバットは羽を狙われているのに気づき、魔法を撃っているミカに攻撃しようとしたが、息を潜めて後ろに回っていたカイが右の羽を切り裂いた。そのためジャイアントバットは地面に落ちてしまった。地面に落ちたジャイアントバットは抵抗する術もなく、カイとミカに斬りつけられた。
「指示ありがとね。息を殺すのが上手いね。」
「師匠にさんざん鍛えられたから。」
カイは過去のラウラとの修業を思い出し身震いしてしまった。
「大丈夫?寒い?」
「だ、大丈夫。」
カイとミカは、周りにモンスターがいないことを確認し、ジャイアントバットから傷ついていない方の羽を回収した。
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ここまで読んでくださりありがとうございます。
次回は、何か起きるかも...?
明日からは18時に1話分公開になります。
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