21話
本日公開分の1話目です。18時と19時にも最新話を公開します。
------------------------------------------------------------------------------------------------
生徒たちはアルドレッド達「守り人の牙」がAランク冒険者と聞き驚いていた。しかしカイだけは、さっきよりもワクワクしていた。
カイが舞台に上がり、2人とも武器を構えた。
「最後の模擬戦よ。始め!!」
カイがアルドレッドに向かって走った。その速度は少年が走るのには少し速い程度だった。魔力を纏っていないのならだが。魔力を纏っている他の少年よりもカイの走りは圧倒的に遅かった。
一部の生徒達はカイの速度に疑問に思ったが、入学試験でCグループだった者が、カイが適性魔法が無いことを周りの生徒に教えたため、その疑問は解消された。
カイがアルドレッドを斬りつけた。しかし、それは簡単受け止められてしまう。他の生徒達はこれで終わると思ったが、3人ほど終わらないと分かっていた者がいた。それは、相手をしているアルドレッド。審判をしているセレス。そして、ミカの3人だった。
カイは木剣から手離し、アルドレッドの懐に入った。そして思い切り腹に拳を叩き込んだ。並大抵の冒険者だったら、この不意打ちで体勢を崩していただろう。だが、カイの攻撃はアルドレッドには効かなかった。カイはアルドレッドがよろけていないことに気づき、すぐに後ろに跳んだ。
「今のは危ないな。魔力を纏えないことを逆手にとって、木剣を叩き込んだ瞬間に加速するとはな。戦闘慣れしてるな。魔力を纏ってなかったら体勢を崩してたぞ。」
「やっぱりダメですか...。体勢崩してる間に決めようとしたんですが...。」
「ハッハー、相手はカイだからな、油断などせん。それと、この木剣は貰うぞ?」
アルドレッドが落ちている木剣を広い構えた。カイは武器が無いため、入学試験同様に半身を前に出して拳を構えた。
「今度は俺から行くぞ!」
アルドレッドがカイに向かって走り出した。カイは体勢を低くしアルドレッドに向かって走り出す。アルドレッドが振り下ろした木剣を避けて腕を殴ろうとするが、アルドレッドはもう一方の木剣でカイのことを斬りつける。カイは当たらないために横に跳ぶ。アルドレッドはカイに暇を与えないために、休み無しに斬りつけ続ける。しかし、カイに木剣が当たることは無かった。
「魔力を纏っていない状況でここまで動けるとはな!ここからは魔法も使うぞ!」
木剣で斬りつけられ、カイがバックステップで避けたら、アルドレッドも後ろに跳んだ。そして、左手を地面につけた。その瞬間ツタが舞台から出てカイを捕まえようとし始めた。カイは魔力を感知し何とか避け続けるが、避けるので精一杯だった。カイがバックステップでツタを避けた瞬間、後ろからツタが出てカイを捕まえようとする。それを感知していたカイは少し横に移動してツタを避ける。避けた瞬間にアルドレッドに向かって走り出す。しかし、アルドレッドはツタが避けられることを予想していたのか、カイに向かって走り出していた。カイとアルドレッドがぶつかる寸前で止まった。
「俺の勝ちだな。」
「...そうですね。俺の負けです。」
カイはアルドレッドの鳩尾に殴りかかる寸前で止まっていて、アルドレッドはカイの首に片方の木剣を当てていた。
「勝者、アルドレッド!」
カイとアルドレッドの模擬戦はアルドレッドの勝利で終わった。
------------------------------------------------------------------------------------------------
「さて、お前らの実力はだいたい分かった。明日はダンジョンを潜るからな。明日は昨日説明をした教室に集合だ。今日は帰って休め。冒険者登録が終わってないやつはして来いよ~。」
そう言うとアルドレッドとセレスは演習場から出て行ってしまった。
カイも出ていこうとしたが止められてしまった。
「カイってとても強いんだね。」
「君はミカ=アルゲーノス。何か用?」
「ミカで良いよ。ねぇ、私と模擬戦しない?」
「...明日に響くんじゃない?」
「確かに。なら2日後にやらない?」
「分かった。2日後に模擬戦しよう。」
カイとミカが模擬戦を2日後にやることになった。
------------------------------------------------------------------------------------------------
次の日の朝、冒険者体験の授業を受けている人は教室に集まっていた。
「さて、グループ分けするぞ。9人と8人と2人のグループに分ける。今から名前言うからしっかり聞いとけよ。」
そう言うとアルドレッドは生徒たちの名前を言い始めた。
「最後に、セレスが同行するグループはカイとミカ=アルゲーノスの2人だ。以上3つのグループだ。これからダンジョンに向かうぞ。ついてこい。」
生徒達がアルドレッドについて行った。
------------------------------------------------------------------------------------------------
今から行くダンジョンは王都から出て少ししたところにあるため、生徒たちは馬車に乗って移動していた。その間、少しでも仲が良くなるようにグループごとに乗っていた。
「カイはどんな生活をしてきたの?」
「何でそんなことを聞くの?」
「強さの秘密を知れるかもしれないから!!」
「...俺のことを知っても強くはなれないと思うけど...。わかったよ、俺は...。」
カイは自分が元貴族のこと、家であったことを話した。
「...元貴族だったのね。だから丁寧な言葉使いなのかしら?」
「酷い扱い受けてたんだね...。」
「俺が教えたんだからミカも教えてよ。」
「私のこと?私はね...私とお母さんは普通の家に住んでるの。たまに用事があって父上のいる屋敷に行くと姉上たちに文句言われるくらい。私は貴族の父上と平民のお母さんの間に生まれた子なの。だから、兄上たちと姉上たちには嫌われてるの...。」
周りの空気が悪くならないようにミカは笑って答えるが、全く笑っているように見えなかった。
「でもね、お母さんに冒険者になりたいって言ったら『あなたがしたいことをしなさい。』って言ってくれて。だから私はいつか絶対にAランク冒険者になる。」
「ミカならなれるわよ。あの速さは驚異だから。」
「本当になれるでしょうか?」
「現役のAランク冒険者が言うのよ?なれるわよ。さて、ここで先輩冒険者として大事なことを教えるわ。常に慎重に行動すること。周りに気を付けて油断をしない。これが出来ないと冒険者として長く生きていくことは出来ないわ。」
「単純で大事なことですね。」
「肝に銘じておきます。」
その後は楽しく話していると馬車が止まった。ダンジョンに着いた。
------------------------------------------------------------------------------------------------
改めてですが、この後18時と19時に最新話を公開します。
22話では、ダンジョンで初めてモンスターを倒します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます