20話
冒険者体験の授業を受ける人は、入学試験が行われた演習場に来ていた。ここで模擬戦を行うようだ。人数は昨日から減って19人になっていた。
「これで全員か。よし、それぞれ準備運動をしてくれ。」
それだけ言うとアルドレッドは準備運動を始めた。皆もそれを見て準備運動を始めた。カイも体を軽く伸ばした後、木剣を振っていた。
(アルさんはどう動くかな?楽しみだなぁ。)
カイは内心すごくワクワクしていた。そのワクワクしてる様子は他の人から見ても明らかだったため、セレスが話しかけた。
「カイとても楽しそうね。」
「それはそうですよ!アルさんと戦えますから!」
それを聞いてセレスは苦笑いするしかなかった。他の生徒にもこの会話は聞こえていて、他のものは何が楽しいのかと思っていたが、ミカだけは同類を見つけたように思っていた。
「さて、模擬戦を始めるぞ。最初に戦いたいやついるか?」
アルドレッドの呼びかけに2人反応した。カイとミカだった。
「先に良いよ?」
「さっきからすごく楽しそうにしてたからあなたが先で良いよ?」
「女子生徒が先だ。カイは最後で良いな?」
「「わかりました。」」
先にミカがやることになった。
「名前を聞いても良い?」
「私はミカ=アルゲーノスよ。あなたは?」
「カイ、よろしく。」
「よろしくね。」
ミカとアルドレッドが舞台に上がった。
------------------------------------------------------------------------------------------------
お互いが武器を構えた。2人が使う武器は、アルドレッドが木剣、ミカが木製でできた槍だった。
「この模擬戦は魔法もありだ。全力で来ると言い。」
「わかりました。よろしくお願いします。」
「では、模擬戦開始!」
開始の合図と同時にミカが走り出した。しかし、それは魔力を纏わせただけで出せる速度を超えていた。ミカが槍を突き出した。アルドレッドが木剣で受け流した。
「速いな!何か魔法を使っているな?」
「これだけでいつも終わっていたんですが...。先生強いですね。胸をお借りする気持ちで行かせてもらいます!」
演習場にいる生徒にはミカの攻撃は見えていなかった。だが、セレスにはミカが何をしたか分かっていて、カイにはさっきの攻撃が見えていた。
魔力は意思で動くものである。そのため、魔力感知者は魔力の動きでその人が何をしようとしているのか分かる。
カイはその能力がとてつもなく強い。そのため、今の速い攻撃もカイには視認したように感じ取れていた。
(魔法を使って足を強化したのかな?すごい速さ。あれを初見で避けるには、俺やラウラ並みに魔力を感じ取れないと無理かな?できて受け流すまで...。魔力を感じることが出来ないのに受け流すとか...。アルさん化け物じゃん。)
アルドレッドは魔力を感じ取ることが出来ないのに受け流した。それは彼の冒険者として培ってきた経験と勘が、攻撃が来ると予想し行動した結果だった。
先ほどの攻撃は、高ランクの冒険者でも受けるのが怪しいほどの速度を持っていた。速度だけは脅威だった。
「驚異的な速さだが、攻撃が軽いな!!」
「そんなことを言われたのは初めてです!!」
ミカが高速で接近して突いたり斬りつけたりするが、アルドレッドは全てを受け流すか避けた。この状況が続くかと思われたが、ミカが距離を置いた瞬間に今度はアルドレッドが動いた。
「その速さは驚異的だからな。捕まえさせてもらうぞ!!」
アルドレッドが左手を舞台につけた瞬間、ミカに緑色のツタが伸びていった。
「これは!?無詠唱でこの威力!!避けるので精一杯です!!」
「さて、これでおしまいだ。」
「後ろから!?しまった!!」
ミカはツタが足に絡み動けなくなってしまった。アルドレッドが左手を地面につけたまま右手をミカに向けた。
「私の負けですね。降参です。」
「勝者、アルドレッド!」
セレスがそう言うとミカに絡んでいたツタは解け地面に消えてった。
「先生ありがとうございました。良い経験になりました。」
「その速度は十分脅威になる。だが、一直線だから読みやすかった。もっとフェイントを入れて、複雑にするようにイメージして練習すると良い。あと、速さに頼りすぎだから、もっと魔法を撃ったりして手数を増やせると良いだろう。」
「はい。」
「よし、舞台戻して次やるぞ。」
アルドレッドがそう言うと、セレスが演習場の入り口近くにある水晶に触れた。そして、少し経つと舞台は何もなかったかのように元通りになった。
「よしやるぞ。次は誰だ?」
それだけ言うとアルドレッドは舞台に戻って行った。
------------------------------------------------------------------------------------------------
カイ以外の全員の模擬戦が終わった。アルドレッドは模擬戦が終わった後、それぞれ生徒に今後の課題を言い、また次の生徒、と言うように模擬戦をしていった。しかし、それでも疲れた様子はなく、ミカと模擬戦をする前と変わらない状態だった。
「よし、次で最後だな。カイお前の番だぞ。」
「はい。アルさん、やる前に1つ聞いていいですか?」
「いいぞ。なんだ?」
「アルさん達って、ランクいくつですか?」
カイが舞台に上がりながら聞いた。アルフレッドは笑いながら答えた。
「言ってなかったか?俺たち「守り人の牙」はAランク冒険者だ。」
------------------------------------------------------------------------------------------------
次回、カイ対アルドレッドです!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます