2章 総合第一学園
第13話
カイは王都の防壁で検問の列に並んでいた。
(この防壁でかいなぁ~)
そんなことを思いながら、王都に来るまでの3日間を思い出していた。
(街道沿いを歩いてたからモンスターにはほとんど遭遇しなかったな…。出てきても簡単に倒せるゴブリンかスライムだけだったし…。はぁ~、こんなんじゃ体が鈍っちゃうよ…)
そんなことを思っているとカイの順番が回ってきた。
「次の人どうぞ」
「学生証でいいですか?」
「うん?君学生かい?王都に1人で来るなんて珍しいな」
「あ、あはは~、そうですかね~」
そんなことを話しながらカイはポケットにしまってある袋から学生証を取り出した。
「へぇ~。ん?貴族なのに1人でなんてとっても珍しいな…」
「父が厳しいもので」
(あれ?これ怪しまれてる…?)
カイがそんなことを思っていると後ろから声をかけられた。
「兵士さんよ。後ろが詰まってるぜ~」
「うん?本当だ。少年、これは盗んでないな?」
「はい、盗んでません」
「…嘘はついてないと。よし、通っていいぞ」
「ありがとうございます」
カイは兵士の魔力が動くのを見落とさなかった。兵士は嘘をついたかわかる
カイはそのまま検問所を通り過ぎて行った。
(すごい。ここが王都)
人の往来。たくさんの店。そこから発せられる店主たちの声。
カイが王都の熱気に驚き棒立ちのままでいると後ろから声をかけられた。
「坊主。王都は初めてか?」
「あ、あなたはさっきの…」
声をかけて来たのは門でカイの後ろに並んでいた男だった。
「さっきはありがとうございます」
「おいおい、俺は何もしてないぜ?それより学生で1人ってことは冒険者志望か?」
「よくわかりましたね」
「そりゃ、王都の周りは安全って言ってもモンスターは普通にいるからな。学生で1人。しかも、持ってるのは腰に下げた剣一本。もう冒険者志望しかないだろ?」
「それもそうですね。学園を卒業したら冒険者になる予定です」
「そうかそうか、がんばれよ!俺はアルドレッドだ。よろしくな!」
「カイです。よろしくお願いします」
2人は硬い握手を交わした。
「で、カイ。王都は初めてで間違いないか?」
「はい。初めてで驚いてました」
「なら先輩としてアドバイスだ。王都はいろんな店がある。それこそ数えられないくらいにな。だから粗悪品を売ってる店も少なからずある」
「これだけ店があったらそうなりますよね…」
「そこでだ!武器と防具に関しては冒険者ギルドで聞きな。良い店を紹介してくれる」
「ギルドですか…?」
「ああ。ギルドは情報も取り扱ってるからな。良い店を教えてくれる」
「へぇ~。便利ですね」
「だろ?他にも困ったことがあったら聞いてみな。たぶん教えてくれるぞ」
「教えていただきありがとうございます」
「礼なんていらねぇーよ。これはただのお節介だ」
他にも少し話してからカイはアルドレッドから総合第一学園の場所を聞き、お礼を言って別れた。
その後学園に着いたカイは、名前から「クノス」の部分を消すのに時間がかかったが、それ以外は特に問題なく、寮の自室に来ていた。
(ここが俺の部屋か。とりあえずクラス分けテストについておさらいしておこう)
総合第一学園のクラス分けテストは10日間かけて行われる。
1日目に全員で筆記試験を行い、2日目からはA・B・Cの3グループに分かれる。
Aグループが2日目に魔法の威力を見てから、試験官と模擬戦を行う。3日目・4日目に、受験生でトーナメント戦を行う。5日目からはBグループが、8日目からCグループが、Aグループと同じことを行う。と言う内容だった。受験生が受けるのは実質4日間である。
(テストまで1週間で俺のグループはCグループ)
確認を終えたカイは特にすることが無かったため、晩御飯の時間までゆっくりすることにした。
カイは晩御飯を食べるため寮にある食堂にいた。この食堂は学生は無料で食べれるため、寮にいる学生の大半はここで食事をしていた。カイが日替わり定食を食べていると大声で話している集団が来た。
「ヒース様はAグループですか。ヒース様と戦う者は可哀そうですね」
「そう言うな。確かに私以上に強いものはいないだろう。しかし、私だって手加減ぐらいはするさ。ん?あれは…」
(うるさいな。食堂でくらいは静かにしてよ…)
カイは心の中で文句を言いながら呑気に食べていると、その集団はカイの前で止まった。
「おい、お前」
「…俺ですか?」
さっそく面倒ごとが起きた。
読んでくださりありがとうございます。
今回より、2章 総合第一学園 が開始しました。今後、カイはどんな学生生活を過ごしていくのか。
楽しみにしていただけると幸いです。
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