第8話
ラウラがカイに近づく。カイは声をかけられたため、閉じていた目を開けて声がした方に顔を向けた。
「お姉さん誰…?森の中に一人でいたら危ないよ…?」
「私はラウラ。森に住んでる。それに君のほうが危なかった」
「森に住んでるの?なら魔女のこと知ってる…?」
「魔女を探してるの?」
「うん!魔女に魔法のことを教えてもらうんだ!」
ラウラは少し考えていたが、決めたように頷きカイに言った。
「私が魔女」
「…お姉さん嘘つき」
しかし、カイはラウラが魔女だということは信じなかった。
「ならこれ見て」
そう言うとラウラは右の手のひらの上で氷の塊を作り出した。
「どうやったの!?」
「魔法で作った。これで分かった?」
「うん!お姉さんが魔女なんだね!僕に魔法を教えて!」
ラウラは悩んだ。
教えてもいいが適性検査を受けていない前に魔力を感じることは難しい。魔力をしっかりと感じ取っていない状況で魔法を使おうとすると、魔法が発動しないか、発動してもうまく制御ができず危ない。
ラウラは少し悩んだが、氷の魔力が共鳴していることもあり教えることにした。
「わかった。教える」
「ありがとう、お姉さん!!」
(氷の魔力をこの子に渡せば、魔力を感じ取ることは出来るようになると思う。それから教えればこの子も喜ぶ?)
ラウラはカイの手を引きながら自分の家に向かっていた。
その間、ラウラはカイのことを聞いた。名前を聞いただけのつもりだったが、カイは家でのこと。兄弟たちは自分より優秀だということ。そのため家族や執事たちから冷遇されていること。レイと言う兄がいてすごく頭がいいこと。家で読んでいる本のこと。いろいろなことを話した。
だが、カイは昨夜に部屋で炎を出したことは言い忘れていた。もしこの時カイがそのことを話していれば、この後の出来事が起きることは無かったであろう。
ラウラの家に着き、カイは椅子に座って待っていると、ラウラは水の入ったコップと長方形の形をした紙を持ってきた。コップをカイの前に出したが、カイの興味はその紙にいっていた。
「ラウラお姉さん、その紙はなんなの?」
「これは
「
「
「へぇ~、小物とか杖だけだと思ってた。他にもあるの?」
「あるけど今はこっち。カイに話しがある」
カイはラウラが魔法を教えてくれると思いワクワクした。
「私には目的がある。カイは適性魔法の種類について知ってる?」
「知ってるよ」
「私は適性魔法を2種類持ってる。でも、片方の適性魔法は親友から貰ったもの。だけど、私とは相性が悪かった。」
「悪かったの?」
「使えるけど親友ほど使えない。私はそれが嫌。だから私より使える人を探してた」
「うん」
「そこでカイに会った。カイなら私よりうまく使いこなすことができる」
「え、なんでそう思ったの…?」
「それは…」
ラウラはここで魔力が共鳴したとカイに伝えても、カイに疑われるだけで、魔力を受け取ってくれないと思った。だから嘘をつくことにした。
「それは、その…その適性魔法と相性の良い人がわかる
「そんなのもあるの!?見せて!!」
「ん!?も、持ってくる…」
ラウラはカイの興味深々の目に負けてしまい、
(これは…たしか記憶を入れておく箱…。これを相性の良い人がわかる
ラウラは小箱を持ちながら部屋に戻りカイに見せた。
「これが相性の良い人がわかる
「そう。でも使うには魔力の操作がしっかりできないと危ないからカイは触っちゃダメ」
「えー、良いじゃん。よく見せてよ~」
「ダメ!危ないから!」
さっきまで声を荒げることが無かったラウラが大きな声を出したことにカイは驚いた。しかし、それほど危ないことだと思いラウラの言うとおりにすることにした。
「声上げてごめん…。でもそれほど危ないの」
「…わかった。触らない」
「ん。カイは良い子。話し戻す。私はカイに適性魔法を渡したい」
「どうやって渡すの…?」
「この紙を使う。これを使えばカイに魔力を渡すことでカイは適正魔法を習得できる」
ラウラはカイの前にコップと一緒に持ってきた紙を出した。
その紙の長方形の形をしていて、真ん中には魔法陣が書いてあった。
カイは本当に受け取っていいのか考えていた。受け取って何が待っているのか想像もできない。そもそもそんなことができると聞いたことが無かった。カイはどうするか考えていたが、カイには1つだけ絶対に叶えたい夢があった。
「…もしラウラお姉さんから魔力を受けっとたら僕は強くなれる…?僕は強くなって冒険者になりたい!」
カイから意外な質問が来たことにライラは驚いたが、自信を持って答えた。
「君が努力すれば強くなれる。最強にだってなれる。それほどの力が渡す物にはある」
「…わかった。お姉さんから魔力受け取る!」
カイはラウラから魔力を受け取ることを決めた。
読んでいただきありがとうございます。
次回、一波乱起きる…?
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