第2話 進級試験

ーーーー数ヶ月後ーーーー


20XX年冬 アルテネ学園中等部

カノン、エクト魔術学科教室




「皆さん進級試験まであと10日となりました。

今まで沢山の努力を重ねてきた事でしょう。」


「あとは気持ちさえ持っていれば、私はここにいる全員が合格できる。そう思っています。」


「貴方達中等部からの生徒は高等部から入ってくる生徒とは経験が違います。きっと高等部での生活に役立つ事でしょう。」


ーーーーーーーー


僕達が今通っっているこの学校は、

「世界共生計画・国立共通育成学園アルテネ支部」通称「アルテネ学園」。

世界共生計画っていうのは、昔戦争だらけだった世界を終わらせるための終戦の条約に条件の一つとしてそれぞれの国がこの条約に合意したという象徴である学園を創るという事があってこれはその出来事の総称だと学園長が言っていた。


その名の通りこの強国アルテネ帝国だけでなく東の隣国エレテュイア皇国や西のヘラール王国など世界各国にこの学園が設立されている。


魔術学科、実技学科、特別学科と3つの学科があって魔術学科では魔法及びそれを使った研究や戦闘などを学び

実技学科は絵画や彫刻、剣術、武術、などジャンル問わず様々な才能を持つ生徒を集め、力を伸ばすために学ぶ。


特別学科は謎に包まれた学科で普段何を学んでいるのかは全く見当がつかない。目印は特別学科生だけが付けられる、6つ星のブローチだけ。(その他の生徒は5つ星のブローチを付ける)


そんなアルテネ学園には最大の魅力がある。


それはどんな種族、身分であっても入学試験を受けられ、入学できること。

才能さえ認められればお金も気にせず入ることが出来る。


そしてフォンやカノン、僕が今いる中等部は選ばれた生徒しか入学する事ができず、試験などは無く手紙などで入学招待される。

才能がある子は成長期が終わる前までに小さい頃から学ばさせる必要があったり、

小さい頃から魔力量が多いと魔法が制御できずに危険というのが主な理由らしい。


フォンは絵画の才能があって学園に来ていて、僕とカノンは魔法の才能があってこの学園に来た。

カノンは魔法の制御が上手いけど、僕はまだ魔力が覚醒していないたまご生だから高等部では覚醒したいな。



*たまご生とは魔法自体は発動させることが出来るが、魔力が覚醒状態になっていない生徒の事を指す。(魔力量は基本的に生まれた時の量が限界値となっている。しかし稀に成長に伴って急激に魔力量が増える者が生まれてくる、その者のことを覚醒者という。)


ーーーーーーーー


「ねぇエクト?私って試験合格出来ると思う?」


「カノン不安なの?」


「うん。エクトとフォンに勉強手伝ってもらったけど、もし、、もしもよ?

試験に合格出来なくて落ちたらもうエクトとフォンとは一緒に居られないから嫌だなって、。

そう思うと不安になってきたの。」


「カノンは絶対合格出来るよ。」


「何でそんな自信を持って言えるの?」


「カノン自身は気づいていないのかもしれないけど、カノンってとても努力家なんだ。」


「僕達が放課後教えいたのとプラスして夜遅くまで勉強していた事、僕は知ってるよ。」


「そんな努力家なカノンだから、僕も絶対合格して一緒に高等部に行くんだって思ったし、負けたく無いとも思った。」


「多分フォンも同じこと思ってる。こんなに頑張っているカノンの前で不合格なんて恥ずかしいしね///。」


「だから、僕達をここまで本気にさせたカノンが合格出来ないなんてこと、あり得ないよ。」



「……ッス……ッグス……。」


カノンに抱きつかれる。


「!?、カ、カノン泣いてるの??」


「カノンごめん!。」


「合格出来るよなんて言って、そんな簡単な事じゃ無いんだもんね、、。」


「そんなんじゃ無い!!!!!」


「ええ、違うの?!じゃぁどうしてカノンは泣いて……。」


「…ッス……ッグス…わ、私は嬉しくて泣いてるの!!!」


「そんな事も分からないなんて、、。エクトのバカァ!!」


「…好き。」


「え、カノン今なんて?ごめんカノンが泣く事なんて珍しいから動揺してて、、。」


「……。ありがとうって言ったのよ!!!!!」




ーーーーーーーー



そして僕達3人は進級試験を受け無事、合格する事が出来た。

合格発表をカノンが見た時は大号泣で、それを見た僕とフォンは沢山笑い合いながら僕はこれからの高校生活が絶対、最高の宝物になると確信した。

カノン、フォン、そしてこれから出会う仲間達との物語全てに期待を寄せて。



アルテネ学園高等部の入学式を迎えた。



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