第1話 アルテネ学園

20XX年秋 アルテネ学園中等部食堂





「早く移動教室行くよ!話してたらもうこんなに時間経っちゃたじゃんかー!」


「次は合同授業だから2人とも同じなんだもんねー!!」


「ほら、エクトとフォン!行くよー!」


「うん!フフッ、カノンはいつも元気だね。」


「もう4限もやったつーのに、こんな元気なやつはこのカノンとかいうバカしかいねーよな。」


「フォン!!なんてこと言うのよーー!!!」



*ここはアルテネ帝国。世界の4分の1程の領土を持つ強国である。南に位置するこの国は土地、気候に恵まれ国民は何不自由なく暮らすことができる、比較的裕福な国である。産業や科学、魔法も発達しており、アルテネ帝国からは沢山の才溢れる者達を輩出し世界の歴史に名を刻んでいる。




「こんな美少女に向かってバカなんて酷いわ!」


「うわーん、エクトォー、フォンがいじめるぅー」


「美少女でもおバカでもカノンはいい人だから大丈夫だよ。」


「エクト、、やっぱエクトなのよねー!」


「全肯定マシーンエクトの名は健在ね!!」


「な、!僕ってそんな名前がついてるの??!」


「フフ、そうよ女子の噂は凄いんだから!」


「ハハ!!なんだお前そんな名前ついてたのかよw女子ってやっぱこえーなw」


「うーん、まぁ悪気はなさそうだし、もう広まってしまったのなら、ならしょうがないね」


「お前は、、天然というか、他のことに興味がないというか、なんか淡白なんだよなぁ」


「エクトはこの天然なのがいいんじゃない!!」


「他のことにあまり興味が湧かないのはほんとだけど、少なくともカノンとフォンにはとっても興味はあるよ。」


「ジーーン、、」

「ジーーン、、」


「もうこのやろう!!感動させてんじゃねーよ、、」


「もうエクト大好きよ!!!!」




(キーンコーン、カーンコーン、)




「鳴っちゃったね。」

「あ、やべ。」

「ああああーーーーー!!!!!!!!」






ーーーー放課後ーーーー





「もーーーう!!」


「遅刻した罰で3人共学園の教室全部掃除なんていくらなんでもひーどーすーぎーるー!!!」

(教官室にて)

「カノン・ノープ、

 フォン・ベレーロ、

 エクト・ニスイン!

あなた達はこの大事な時期だってのに。……」


「いいですかこの学園の進級は受験は無くとも進級試験というものがあるのです!!その進級試験対策である授業を20分も遅刻してくるとは、、。

意識が全く足りてませんね??!!」


「このアルテネ学園はアルテネ帝国一の学校とされているエリート校です。進級試験はいくら魔術学科、実技学科、特別学科の内容は同じといえども合格はとても難しいのです。」


「その事を忘れないように、そして毎日の積み重ねを怠らないようにとどれほど言ったことか。」


「だってフォンが喉乾いたから飲み物買おうぜって言うから…」


「ちょ、お前それは反則だろ!あれは2人の同意を得てだな、、……」


「お黙り!!!!」


「ひぃ、」

「ひぇ、、」


「貴方達3人にはこの学園の全教室の掃除を罰とします!このアルテネ学園の生徒はみな優秀が当たり前。しっかり反省をし意識改善をしなさい!!」


「ええええぇぇ!!!!」


「お説教は長いし、掃除は大変だし。!!!」


「しょうがねーだろ、早く手動かせほら、ほら」


「まぁ僕たちが100%悪いしね。」



「あー!!」


「なんだよ次から次へと」


「見てみて!あの人特別学科の人じゃない??だって6つ星のブローチ付けてるよ!」


「どれどれ……お、ほんとだめっちゃ可愛いじゃん。」


「確かに!凄く美人、、私初めてみたよ〜!!特別学科の人。」


「特別学科の奴は魔術学科の授業なら参加可になってたよな?でもカノンも見たこと無いって、少なくとも俺んとこの実技学科には来ねーしな。どんだけ秘密主義なんだか。やっぱ俺らみたいな一般人さんには関わりたくねーってか?」


「特別学科つったらうちの学園で才能を認められて相当の魔力量と技術がないと入れねーし、人数も何人いるか知らねーが10人とかそこらだって聞いたことあるぞ。」


「ほっんとに謎だらけだよね!!噂でもなかなか上がってこないし。」


「あんな目立つ金髪の美少女なんて見逃すはずないんだけどなぁ〜今まで見たこともないなんて、ちょっと不思議〜。」


「エクトも見なよー!通り過ぎちゃうよ?」


「うん。」


「………うわぁ凄い綺麗な人だね!」


「・・・」

「・・・」


「それをお前が言うのか、、?」


「もう!!エクトの方が顔が整っていて綺麗よ!!!」


「そ、そうなのかなぁ」


「これは私が、いえ学園が言ってるわ!!

エクトは学園TOP10の中に入るイケメンだと。」


「それは俺も同感だ。」


「エクトあなたに届くラブレターの量といったら、、。もう毎日の日常過ぎて慣れたけど本当に噂で聞かない日はないのよ?。」


「その綺麗に日光に照らされて輝く白髪と儚げでも凛とした面差し、、、。」


「こんな美少年狙わないはずがないよねぇ?」


「うん。うん。その通りだ。!」


「…珍しくフォンとカノンの息が合ってるね。」


「合ってない」

「合ってない」


「もーー!!ちょっと揃えないでよー」


「それは俺のセリフだぞ」


2人が睨み合う


…………………。


…………………。


「プッ、。アハハ、ハハハハ」


「プッ、何笑ってんのよー!!もう!エクトったら////」



ーーーー3人で笑い合うーーーー



「ッハー笑った笑ったー!!!」


「というか、あの特別学科生は何処に行ったんだろう??」


「さぁな。」


「あ!」


「何だ?忙しいやつだな。」


「私、美術部の先生に遅れるって言ってない!!!!!」


「俺とエクトはもう言って来たぞ。」


「えええーー!!!」


「何で言ってくれなかったのよ!!」


「カノン、友達とトイレに行ってたから。先に行っちゃおうってことになっちゃったんだ。」


「流石に女子トイレに行くのは

ま・ず・い・か・ら・な!」


「なにフォンにやにやしてんのよ!!」


「乙女の社交場なのよあそこは。」


「あそこで繰り広げられる話、いや言葉を使ったあれは争い合戦ね、それぞれ女子には派閥があってね、そこの関係といったら一言で表せないわ!!!特に勢力が強いのはやっぱり貴族とかの令嬢とかでねぇ〜ペラぺラ………………………」


「お、おうカノンも大変そうだな、」


「僕たちには全然わからない話だね、、。」


ーーーー数分後ーーーー


「俺達って今中等部3年だけど、エクトとカノンはこのまま進級して高等部行くよな?」


「もっちろん!!私はこのまま進級して将来は王宮勤務の大魔術師になるんだから!!」


「…エクトは?」


「僕は中等部2年の後半から転校して来たから、」


「そういえばエクトは隣の国のエレテュイア皇国から来たんだったよな。」


「なぁ?夢とかはないのか?小さい頃のとか、カノンみたいにさ。」


「夢、かぁ、、僕小さい頃の記憶とか曖昧だからあまり覚えていないんだ、でも両親は僕が小さい頃に他界したって聞いてる。」


「すまん、嫌なこと思い出させちまって。」


「いいよ全然。両親の顔も覚えていないんだし」


「、、、。」

「、、、。」


ーーーーーーーー



そう、僕エクト・ニスインはここアルテネ帝国のアルテネ学園に中等部2年後半から転校して来た。

しかし前に住んでいたエレテュイア皇国での記憶は親戚であるニスイン夫妻に引き取られ暮らしていたという断片的な記憶しかない。

思い出そうとしても靄みたいなものがかかってしまう。本当に夫妻と暮らして来たのだろうかという不安が僕を襲っている。


アルテネ学園は寮生活だから長期の休みでないと帰省はできないし、国をまたいでとなると長期休養の期間だけでは足りない、、、。

進級はエレテュイア皇国に戻ってニスイン夫妻と会ってからでもいいのではないかと思う反面フォンとカノンに遅れをとりたくないという気持ちが押し留めてしまう。

何より今の生活がとても気に入ってるし楽しい。


「居心地はいい?」


居心地ってどうゆうこと?


…………


……………


……………… ?


今誰が喋ったの、、?


「今誰か喋ったりした?」


「あー?喋ってるも何もカノンのアホさについて俺がわかりやすく説明してるところだろうが。」


「いい度胸よ!!!私もフォンのアホさについて言ってあげる!!!!」


「そうゆうところがアホなんだろw?」


「むーーっ!!!!」


今カノンとフォンは僕に喋りかけていなかった。

じゃぁ誰が僕に質問したの、、?


…………。


まぁただの空耳だと思うし気にしなくていいよね、。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る