記憶喪失な殺人鬼は人を救う
派手なたんぽぽ
第一章 第0話 プロローグ
ザク…………ザク…………ザク………。
足音を立てずに仕事をこなす。
刺す音しか響かない薄暗い夜の路地裏。
ザク………ザク………。
私はそれが正しいと思っていた、音を立てるな、けっして相手に姿は見せるな、素早く任務を遂行しろ。
習った通りに仕事を素早くこなす。もう既に5人、かかった時間は4分程度。
「上出来ね。」
しかし6人目はどこに行った?
この任務は秘密裏に人身売買をしていた組織を壊滅させること。このアルテネ帝国の首都圏から拡大していった組織がついに首都アルテネにまで手を出そうとしていた矢先証拠を掴まれたという。
何故今まで捕まえられなかったのかというと、なんでもこの組織のボスは帝国の賢いお偉いさんらしく裏取引やら何やらまで徹底的に裏でコソコソしていたらしい。なので王直々の依頼とのこと、、。
この時にも私と同じ仲間は他の地区で戦っている。失敗は許されない。
私が任された地区はもう1人の仲間である男性、、いや、、少年との作戦だったのだけど。
「どこへ行ったのかしら。?」
彼は腕が立つらしく今回のターゲット20人のうちの14人を担当するんだとか。この少年はなんだか不思議な雰囲気をまとっていて、顔はとても整っていた。
「彼は14人って私より人数が倍多いじゃない!!!!」
「多少腕は良いみたいだけど、、。」
「どこかの貴族かしら、?」
「ここは実力主義のはず。だけどもしかしたら親のツテでも使って入ってきたのかもしれない。」
「私と同い年か、年下か、どちらにせよ不愉快だわ、!」
私はこう見えてもプライドが高い。
最年少は私だけで良いのよ。だってここでの私の存在価値がなくなってしまうもの。
「…………。」
「集中!集中!!」
私はこのブロックにいる6人を担当していた、、、だけど見当るのは私が倒した5人だけ。
「もしかして、逃げられた??」
仕方ない、この任務は痕跡を残さないためなるべく魔法の使用はするなと教官に言われていたけど、まだまだ私も未熟だわ、負けてられない。
「この仕事って楽しい?」
って聞かれたら私は何も言えない、ただ流れるまま才能が認められ、流れるまま訓練させられて、今ここにたっている。私には断ることも出来た。だけどどうでもいいの、何もかもが、大人達の権力争い、差別、序列、誰が死のうと私は何も感じない。それでも生きなければいけない、誰よりも優れていなければならない。それが私を縛っている。
「索敵魔法は私の分野じゃないのだけど、やるしかないわね、」
「風、土のニンフ達よ。我、シテア・プラーク・アルテネの名の下に集え、ディテk……
「うわーー!!!助けてくれ、殺される!!!」
「!?」
その時だった、私の運命が始まったのは。
私は人身売買の残党が叫びながらこちらに来るのを察知しナイフを構えて戦闘態勢に入った。
……ザク。
一瞬の僅かな動きで残党の息は無くなっていた。
……ザク……ザクザクザックザクザク…
「ハハハ!!痛い?痛いよね?」
――――――――。
「だってこんなに真っ赤だもん。」
――――――――。
「でももう死んじゃってるから反応ないや!アハハ!!。」
「……でもこの赤全然綺麗じゃ無いなぁ〜」
「……あ、……あ……。」
震えて声が出ない、、。
この子は一体、、、、。
精一杯の声量で尋ねる。
「な、なにをしているの、、?」
残党を切ったのは、私では無い。
彼は満面の笑みを浮かべながらまるで小さな子が遊ぶように無邪気にそして楽しそうに何度も残党を刺す、、
私の常識なんか関係なしに……。
私達は任務で人を殺す。たとえそれが良い行いである殺しだとしても、罪なことに変わりはない。だから習う。一瞬で殺す方法を。痛くない苦しまない方法を。罪を生まないように。
そう、彼が殺したのだ。
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