第04話 人生、何が役に立つか分からないよね

 僕が異世界に転移してきてから三日が経過した。


 三日というのは朝が来た回数をカウントしていたから、正確な時間が向こうと一緒かどうかは分からない。けど、体感的にはそこまで変わってはいないと思う。

 最初の夜以降、僕は森中のいたる所を探し続けた。そして昨日、ついに湧き水を発見することができたのだ!

 正直、湧き水を見たときは泣きそうになったよ。

 けどまさか、サバイバルモノのエロゲの知識がこんな所で役に立つとは思わなかった。

 たしかタイトルは「そこはらめぇ~! 無人島でアノ娘と一週間性活♡」だったっけ?

 人生何事も、学んでいて損なことはないんだね。うんうん。


「これで一番の不安材料だった水は確保できたか。次は寝床だけど、どこから手を付けていいやら……」


 この場にナイフの一つでもあれば別だけど、手持ちの装備では植物を切ることすら危険を伴う。エロゲで培った、葉っぱでハンモックを作る技術を披露したいところだがそれも現状では難しい。

 もう、野宿は嫌だからできれば早めに見つけたいところだ。

 ……体力的には回復するけど、いつ襲われてもいいように薄目を開けなきゃいけないのは精神的にはかなり疲れるんだよね、あれ。

 あぁ、とりあえず安心して眠りたい。

 できれば、心ゆくまでオナニーをした後で。

 でも、都合よくそんな場所があるわけないし……


「いや、待てよ?」


 ふと、頭にアイディアが閃く。

 僕の視線の先には水が滴り落ちる岩が映っていた。

 これはもしかしたら、見つかるんじゃないか?

 岩の周りには明らかに削り取られた跡がある。

 これらは自然にできたわけじゃない。

 ということは、これは何物かによって採掘されたわけだ。

 昨日からずっとこの場にいるが、人間は誰もきていない。

 恐らくだが、ここはモンスターによって掘られた場所なのだろう。そう考えれば納得がいく。

 捜索している三日の間に僕は何度もモンスターを見てきた。それらは、いずれも巨大でこの程度の岩なら人間のように道具を使わなくても簡単に掘ることができるだろう。


「ってことは、この辺りに洞窟なんてのもあったりするんじゃ?」


 前の世界でも土を掘って生活をする動物はたくさんいた。

 なら、この世界にもそういう習性をもったモンスターがいても不思議ではないだろう。

 上手いこと使われていない元巣を見つけることが出来れば、労せずに寝床を確保できたりして。

 でも、そんなに上手くはいくかな?


「ま、とにかく止まっていてもしょうがない。探すだけ探してみるか」


 弱音を吐いても寝床が探せるわけじゃないよね。

 とにかく、可能性があるなら立ち止まらないこと。

 オナニーと睡眠のためなら、その程度の苦など苦じゃないのだ。


 僕は立ち上がると、近くの土の中を一つずつ探してみることにした。

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