5-5


 いつもの操舵室で船長椅子に腰かけて、クローゼは満足げに鼻歌を歌っていた。肘掛に頬杖をつきながら、ポケットからシャドーエメラルドを取り出す。


「ああ、もう最っ高。今回の仕事めっちゃスッキリした」


 シャドーエメラルドにうっとりとした視線を送るクローゼの隣には、相も変わらずヴァレリーが立っている。


「こりゃあれだね。リフレッシュ休暇いらないね」

「と言って、申請するんでしょう?」

「まーね」


 そんな会話をしていると、コンソールの前に座っていた航空士の一人が告げた。


「クローゼ主幹。給油完了しました。離陸準備が整い次第、出発可能です」

「よーし。すぐ準備初めて。さっさと本社帰ろう」


 だがその時、別の航空士が声を上げた。


「主幹。未確認の飛行物体を検知しました」


 報告を上げた航空士に、クローゼがむきやると、コンソールにあるレーダーに輝点が表示されているのが見えた。


「どうせ民間の飛空船だろ」

「いえ、それにしては速度が――」


 その航空士の言葉を遮るように、侵入者を知らせる警報がドックに鳴り響いた。

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