第2話

小二のころに告ってきた奴を拾った2


一章、そんなもんか


 スマホを開封したときに、何か重大な雰囲気を出した伊角が急に変なことを言い出した。

「どゆこと?クラスラインに呼ばれなかったって。」

「いや、恥ずかしいんだけどさ...不登校でさ。」

「そりゃ誰も追加できんだろ。」

「そんな冷たいこと言わなくたっていいでしょが~。」

「現にお前行ってないじゃん。」

「...」

「わりぃ」

なんか申し訳ない。

 微妙な雰囲気を出しつつ、こいつのスマホの初期設定は終わったので...何しよう。いつも通り私は学校があるので明日の準備をすることにした。


二章、そうなのか


 こんな私が伊角を拾ってしまうと罰があたるのではないか。てかあいつ学校事情どうするんだろ。とりあえずあいつの親に電話してみようかな。でもなんかいろいろ言われそうだなぁ。

「おいお前」

「何よ急に。」

「お前学校どうするんだ?」

「あーそのことなんだけどさ、父親に電話して話したんだよね。そしたら、通ってた学校より転校して新しくした方がスッキリするよね。とかわけわからないこと言われて、その後もずっと話してたら結局転校することになった。」

あああああくそこの謎理論があああなんでそんなことが許されてんだよマジでよぉ...

「まぁいい。とりあえず転校先はどこ?」

「言ってもわからないわよ。言わないけど」

「なんd...いや、いいや。」

まぁこいつが転校したところで私には関係ないので聞くのも面倒だから遮ったわ。



三章、人生はクソゲーだった


 最近思うことがある。俺に対して起こること全てがクソ過ぎる。何もかも。理不尽。日付的に今日は夏休みに入る三週間前とのことなので、学校では大掃除が始まってる。が、例のウイルスによって役割担当が変である。数日にわたって掃除をするようだ。そんな大掃除の役割を決める日がまさか今日だったとは。てか伊角どうしよ。一応前に勉強道具とかついでに買ったから何とかなるかもしれないけど、とりあえず今日は流すか。

 とは言え、私自身学校というものは行きたくないもので友達に会うために学校に行ってるという感じが強いので毎日毎日気を使ってると精神的にダメになってしまう。ダメにならないように一日一日は気を抜いて温存してるが、それがあだとなったのか最悪な状況下に立たせられることになるとは思わなかった。

 しかし、それ以外に何か嫌な予感がしてきた。朝からどことなく騒がしかった。そのことについて友達に聞いてみたところ、なんか転校生が来るらしいよ、とのこと。まさか...いやそんなわけないよなぁ。

「伊角めぐみです。よろしくお願いします。」

クソが。なんでこいつなんだよ。ラノベで転校生ってどうせ、

じゃあ俺の隣に座ってね、って言うんだろ。

「じゃあ浜野君の隣に座ってね」

はい、テンプレですねいつも通り最悪の三乗くらいだわ。

 休み時間になるといつも通り、帰って勉強したあとに何するか考えていた。マイクラかなぁとか。てか伊角、小学校の時同じだったやつらとめっちゃ話せてるやんけすご。見習いたいわ。まぁいい、人間というものは何故か考えているときに別のことを思い出すのである。今日は大掃除のことを思い出した。いつどこの担当になるか、誰に合わせようか。そんなことを考えて自分の仕事がないか思い出し確認をしたところ、掃除は初日にしか行けなさそうだ。最悪だ。誰が挙げても私はその日にやらないといけない。

「では掃除の分担決めをしますね。日にちは黒板に書いた通りです。じゃあ22日から~。え~浜野君...伊角さん...。」

は、今先生伊角っつった?いやまぁ一番後ろだから聞き間違えるのはしょうがない。一応隣を見てみy((((((わあおマスク越しでもわかるほど満面の笑みでガッツリ手をあげてやがらぁ。明日の朝誰もいないうちに確認しとくか、表。

 その日の夜、あいつに確認しようとしたが聞くタイミングを逃した。え、なんで逃せれるのよ。

 翌朝。

「おい、起きろお前。伊角。朝だぞ七時だぞ。」

「ん~、早くなぁ~い?」

「遅えよバーカ、早く起きないと追い出すぞ。」

「わかったわかった何でもするからあっち行って。」

「お?今、何でもって..」

「ああああわかった起きる。はい、起きたよガッツリ起きたわよ。」

これが毎朝行われている。酷いもんだみのもんた。

「これ飯だ。ササって食って食器は水につけとけよ。行く準備したら、ここにある合鍵を忘れずに持ってカギをかって出ろよ。もう一度言う。カギかけて出ろよ。」

「は~い」

クソこいつ適当に返しやがって。ばかばかしいわもう出よ。

 今何時だろ。八時前か。てことは生徒会はいないな。よし。そんなことをブツブツ言いながら登校すること八分、学校に着いた。やはり教室には誰もいない。おととしは何人かいたんだけどなぁ。俺だけか。悲しいなぁ。あ、そうだそうだ掃除担当は~っと...。んーあーまぁそうなるよなー。あああああああああああああああああああクソが男子俺だけかざけんなよ。どうしよ。もう無計画でやるか。やっぱ伊角ちゃんといるし。

「おはよ~何朝からブツブツ言ってんの?」

「わあああビックリしたなんだ伊角か。」

「あんたそんな驚くすることないでしょうよ。てかなんで大掃除の表なんか見てんの?まさか好きな子と被ってないかなぁとか確認してんじゃないの~?おいおい~w」

「そうだね、十割正解。」

「わ、え、あっ。」

「どうしたお前。お前から聞いてきたんだろが。」

「いやだって素で答えるバカはいないでしょうよ。そもそも女子に向かってそんなことを言っていいの?」

「お前だから言ってんだよ。」

「ん...」

やっぱ弱いわこいつ。これからこいつの面倒を見るとするならやだなぁ。

「まぁ掃除頑張ろうね~。」

「あい。」


四章、意外と悪くないもんなんですね


 さ、掃除問題だ。なんかボーっとしてたらホームルームだったし。え、どうしよ。

「きりーつ、きよつけー...れい。」

ああああクソタイミングずらしやがってほんまあいつ嫌いやわ。あ、そうだ。

「なぁなぁ掃除してくれない掃除してくれない掃除してくれない掃除掃除掃除」

「掃除?ああ、いいよ。先生、掃除ボランティアします。」

勝った。

 男子一人だったから誘ったとか明日の旅行とかその子には色々暴露したわけで人生ってクソだなとか思いながら家に帰る日々。

 ただいま。そう心の中で一人悲しくそう言い、リビングに行ったところおかえりと伊角から言われた。一瞬、家族ってこういうものなのかと思ってしまった。いやだなぁこいつと一緒とかさ~。

 大掃除とかいう高い高い壁を乗り越えた翌日、友達を旅をすることになっている。まぁ詳しく言ったっていいが鉄道旅なので気にする人はいないからあまり言わない。が、帰りの帰りに列車が人身事故を起こして止まって計画が狂ったとだけ言っておく。

 次の日、いつも通り朝早く登校した。が、なんで今日一緒についてきたし。いやまぁ一緒に住んでて同じ学校だったらそうした方が効率がいいかもしれないけど、異性と登校するなんてやめたほうが良いのではないかと思っている。その辺は個人の価値観によって変わってくるからどうでもいいのだが。それはそうとして、前日はトラブルだらけで疲れ切っているのにも関わらず、旅で撮ってきた動画を編集してYouTubeにあげるようのを作っていたため、いつもの二回りくらい疲れている。しかし、そんなこと個人のことに過ぎないので周りの人から見たらどうでもいいとしかいえない。そのためこんなバカは躊躇なく話しかけてくる。

「はまくん」

「今更だけどさ、その呼び方何とかならない?」

「嫌です。」

「くそが。」

やはりいつも通りうざかった。そして今の私には、うざいは邪魔すぎる。まぁ私自身、Mなのでそこが良かったりするが流石に精神的に疲れていると色々矛盾したりするようだ。なんでだろう。

「今度さ~、一緒に遊園地行こ~。」

なんで急に言ったんだよ。ん、一緒に?

「なんで?」

「だって住まわせてもらってるんだもん」

恩返しをしたいのかわからんが、

「仮に行くとして、そのお金はどうするんだ?」

「兄が出してくれる。正確に言うと、定期的に兄からくれる。」

なるほど。仕送りかどうかはわからんが収入があるんだな。どうりでこいつの俺の家なのにどんどん物が増えていってるのか。あとダンボール。Miyazon(Amaz〇nじゃないです)で買いまくりやがって。

「行きたいのか?」

「行きたい!」

ものすごく行きたそうな眼をしてこっちを見ないでくれ陰キャの俺には死んでしまう。

「わかったとりあえず落ち着け。だが、今週は俺いろいろ仕事とかあるからどうしても来週になるけど良いか?」

「今週が良い」

「わかった来週の土曜な」

「今週!」

「追い出すぞ」

「ワーゴメンナサイ」

勝った。てかホントになんで変なことを言い出したんだろう。いや別に起りはしないけども。朝早いから良かったけど他の人に聞かれてたら関係がばれて凄く面倒になるから、それだけは避けたかった。だから怒ってはいない。しかし、不満はある。でもまずは今週の仕事をしないとなぁ。高校生で仕事とか似合わな過ぎてわらうわ。


五章、やっぱ気になるなぁ


 いつもなら午後まで寝れると言ってうれしがってる私だが、今週のに限っては違う。昨日言われたが、朝七時って学校やんけ。早いよ。この私という名の人間には無理です。

「あ、起きた?おはよ~」

「おはよ~じゃねぇんだよ早いわ。」

「何言ってんのよ普通の人はちゃんと午前中に起きてるの、健康のために。」

「ぐうの音も出ねぇわ」

「ほらね」

マジで何も言えねぇ。自分が不健康というのは自覚している。

 そんな朝の会話を流してるが、これよくよく考えると夫婦なんじゃないかとか思ったりする。いや、悪くはないけども良いとも言えないのよ。わからんな。あれ?優子からLINE来た。どうしたんだろ。

(おはよ~朝からごめんね。浜野君って朝弱そうだからこんな時間から送られてきても無理かもしれないけど、話せる時でいいのでいつか時間良いですか?)

なるほど。なるほどなるほど。今書きなさいよあんたよ~、ホント前からためるんだからさ~。だから好きなのよ。凄いやんけ。

「ほら早く準備、した?」

「わりいわりい。あとトイレだけ。」

「あんた準備だけはいいわね。」

もう何も返したくない。だけはとか気にしない気にしない。そうだ今のうちに送っとこ。

(とりあえず今日の夜にでも話しましょうや)

こんなもんでいいか。

 遊園地に行くつったって肝心の場所を聞き忘れたし。

「場所どこなの?」

「舞浜」

察したわ。あの夢のぼったくりランドだろ。ネズミーマウスだろどうせ。

「お前ホントに入場料払えよ?」

「もちろん」

あそこ高くて面倒なんだよなぁ。

「それでさ、そこまでどうやって行くの?」

ざけんなよ良かったな俺が鉄道好きでよぉ。

「はぁ。こっち。」

「ワーカッコイーナー」

クッソ棒読みじゃねぇか。

「帰る」

「わかったごめんごめんちゃんと調べてるから安心して。」

「お前の安心しては安心できないんだよ。」

「どうゆうことよ。」

「過去のお前見てみろよ。」

あきれてきたわ。てかダンマリするなし認めてんじゃねぇよ。

 実を言うと家での仕事があるのであまり貴重な土日を使いたくないのだが、あいつに関しては断ると色々と面倒なことが起きるのが目に見えているので仕方がなく従っている次第。そんなことを湘南新宿ライン宇都宮線直通特別快速籠原行に乗っているときに考えていてもしょうがないので、次の新車がどういうものになるか妄想したり現実味を帯びさせて考えてたり。てか分かる人にはわかるけど、四人席の後ろのドア横の二人掛けに俺と伊角が座ってるからちょっと窮屈で緊張してる。緊張してることがバレたら、なお面倒だ。

「あんた手震えてない?」

緊張は緊張でも発表前みたいな緊張じゃなくても震えるのかよ無意識だわ人間怖いなぁ。

「いつも以上に緊張中。」

「前買ってもらった香水付けてたからかなぁ。ウケる。」

女子のウケるってなんなんだろうマジで。あと、

「俺で実験するなクソが。」

「いいじゃないのよ。」

「帰る。」

「今戸塚出たから五分くらいは帰れないよ。」

んんんああああああああもうなんでお前も詳しいんだよ俺のうつったかのかよその通りだよ面倒だよ。

「ハイ。」

仕方がないのでもうこいつにまかせることにした。てかまてよ、これ湘南新宿ラインに乗っているんだよな。今戸塚出たなら乗換面倒だな。それをこいつが知ってるなら既に乗り換えてるはずだ。なのになんで。まぁ武蔵小杉で乗り換えたろ。地獄を見してやる。

 その後無言が続いた後、横浜を出発した。よくわからんけど、もう疲れたのか横でウトウトしている。は、お前も朝弱いだろ。その瞬間、

「んにゃ...肩貸して...。」

ワーデターネオチシテシュジンコウノカタニノッカルヤツ~。こいつ恥を知らないんですかね。それとももしかしたら...かもしれないな。なさそうだけど。

 新川崎を過ぎてから数分。

「起きろ。お前の馬鹿なところが出て強制的にここで乗り換えることになったぞ。」

「んん...ふぇ?まだでしょううよ...。」

「新宿行きたいなら乗っててもかまわないが。」

「舞浜...デ〇ズニー...。」

「ほら行くぞ。」

「わかった....」

 武蔵小杉で降りた後、後続の横須賀線に乗った。

「なんで降りないといけなかったの?」

「お前が茅ヶ崎から出発してる時点でダメだったんだよ気づけ一本早いことによぉ。」

「あんたホント詳しいわね。」

「鉄道は知っておいて損はないからな。てかお前ちゃんと調べたんじゃないのかよ。」

「いや、移動に関してはそれなりにサポートしてくれると思ったからサラーっと調べただけよ。」

「もういい。その代わりお前痛い目に合うからな。覚悟しとけよ。」

「ふぇ!?」

情けない声出さないでくれ車内でかわいいんだよクソー。

 東京に着いた。なんで地獄か説明しよう。

「ここで乗換?」

「その通り。上るぞ。」

エスカレーターはあるから多少はいいけども、

「なんかずいぶん長くない?」

「地下四階だからな。」

「えーなんでよー。」

お前のせいだぞ。

 上りきると今度は京葉線のホームまで歩くことになる。

「あれ?こっちでいいの?これまたずいぶん長い距離がありそうだけども。」

「一キロ歩くぞ。」

「えええええええ!?なんで!?」

「黙れ仕様だ俺が嘘ついて誘導して帰ってやろうか。」

「やめて電車分かんないからぁ...」

これが日常的に判断できるかできないか、はたまた鉄道に詳しいかどうかの違いだ。

 動く歩道があるため多少は楽だ。その間にLINEでも確認しとこう。あ、返事来てたわ。

(今夜かー。分かったわ。用事があるのかしら?)

用事か。付き合わされてるとかいったらどうなるんだろ。とりま、

(用事があるというか、仕事をせざるを得ないとか。ホントにごめソ。)

にしても何と話したいんだろ。やっぱ気になるなぁ。サッサと行きますか。

 ホームに着いた。やはりこいつはすぐ乗りたいのかそこに止まっていたオレンジのラインが入った電車に乗り込んだ。

「待てこっちだ赤い方お前行ったことないのかよ。」

「ないわよ。」

ごめん意外だったわ。ちなみにオレンジのラインが入ってるのは武蔵野線。


六章、意外と楽しい。


 やっと着いたわ。ここまでで疲れたわもう。てかここに来るのってリア充になったらくらいだろ。最低限良い年した男子が来るところではないと思う。よくわからんからこいつに任せるか。

「入場券はどこなん?」

「んー確かあっち。」

「確かって、お前来たことあるん?」

「あるよ~。」

どっちだよ。まぁでも手慣れた手つきで買ってるからそうなんだろうなぁとは思うが。

「ようこそ夢の国へ~。お二人ですか?」

「そうですよ。今日楽しみにしてたんですよ~、彼氏と初めてなので。」

こいつスタッフといとも簡単に話してやがる。ちょっと待てまだ付き合ってないぞ彼氏じゃないぞおい。と、思ってたら、

「良い彼女さんですね。大切にしてあげてくださいね。」

なにこいつに聞こえないようにこっそり言ってきたんだよそうだよありがとよ

「あ、ありがとうございます。」

手のひらくるっくる過ぎてプロペラだわ。は?

 で、何をすればいいんだ?

「何したい?」

「お前に任せる。今度はお前の番だ。」

「ん~じゃあこっち。」

なんでしょう。ジェットコースターなのか。知らんけど。

 なんだかんだ色々遊んだわけですけども、意外と楽しいもんですね。これ一人は無理だったな。でもどのスタッフからカップルカップル言われるのはツカレタわ。あと疲れているのにもかかわらず人生でいい夕焼けだったのも初めてかもしれない。

「ちょっとこっち来て」

「どこに行くんよ。」

「小田真理。」

「お黙りだろ。誰だよ。」

何をするんだろうか。って、周りカップルだらけじゃねぇか。おいおいまさかやめろよ?

「あのさ、話したいことがあるんだけどさ。」

えーやだ。普通にやだわ。

「ふ。何?」

「私さ、小二の頃に告ったじゃん?」

「おん。」

「でも、送ったきり話せてないしそもそも返事が来てかったのね。」

そういえば返事を返してねぇな。申し訳ねぇ。

「だからさ...あの、その...。」

ここでもじもじするんじゃねぇよ、俺が効率重視なのはわかるだろ。

「お前そんなことも言えねぇのか?ほらサッサと言えよ。」

「分かった。えっと、付き合ってください。」

「ふーん。」

圧倒的分かりきっていた未来。テンプレだ。

「じゃあさ、今この瞬間、お前は何をしたいかやってみろよ。」

そう言った瞬間、

「ムギュッ...」

「答えハグかよ。嬉しいわ。」

「素直ね。」

だってそのまま伝えるのが一番いいじゃん。

「好きになった理由とかあるん?嫌ならいいが。」

「家出した理由話したとき、私のことを優しくしてくれてとても嬉しかった。だから私の気持ちをもう一押ししてくれた。」

何この分かりやすい展開。てか進みすぎじゃない?

「分かった。答え言ってやるよ。」

わぁめっちゃこっち見てくるやんかわいい。

「今後のお前次第だな。」

「...ほぇ?私次第?」

「そう、お前次第だ。はっきり言ってお前は俺の好みだが、まだ好きではない。今後のお前次第で俺の気持ちを揺さぶることが出来たら付き合うことにしてやる。」

「んにゃ、んにゃんにゃんにゃ。」

「謎の効果音で殴るなよ。」

別にかわいいから付き合ってもいいんだけどさ、私があんなことをしていなければ迷わなかったんだけどなぁ。



7章、時は遡って。

 あれから小六になった私。当時私は委員会に入らざるを得なかったため比較的楽そうな図書委員になることにした。小六にして現在の私が完成していたため、どの委員会が効率的にサボれるか、どれが自分と相性がいいのかとか色々考えて決めた。が、そこまで考えていても「運」というものは想像はできない。

「図書委員に入りたい人~。えー男子は浜野君ね。女子は...居る?」

「はい。」

「今野さんね、オッケー。じゃあ次行くわ。」

こん...の?誰だったかな。あー、今野か。家にテレビがないって聞いたことあるけどあいつか。ちょっと嫌やなぁ。

 委員会に入ってから最初のミーティング。誰がいつどの日の担当に入るか決めるのが今回の目的なそうな。嫌ですね。仕事は嫌いなので。何はともあれ、今野さんと考えるか。

「今野さん、どの日にします?」

「そうねぇ、木曜日とか?何でもいいわよ。どうせ居残りとかなんないし。」

「確かに。効率的に考えてますね。」

恐らくこの時から今野さんの圧倒的効率的思考に影響されて馬鹿みたいになったような気がする。あ、いや決して今野さんがおかしいわけではないよ。自分にインストールしたらバグっただけだから。

「じゃあ火曜と木曜でいい?」

「うん。あ、どっちも昼休みにしない?」

あーえっと分からない人に説明しよう。当時の私が通っていた学校は大きな休み時間が二種類あって、一つはさっき言った昼休みで、四時間目の後の給食の時間と五時間目の間の休み時間のことを指していて、もう一つは二時間目と三時間目の間にある20分間の休み時間があって、それを20分休みと呼んでいた。図書委員の仕事が20分休みと昼休みにあって、今野さんは楽そうな昼休みに入りたいからそう私に提案したのかもしれない。まぁそんなことで。

「いいねぇ。ちなみに理由とかあるん?楽ですか?」

「いや、ご飯の後無理やり友達に外連れていかれなくなるし、利用者自体少ないからさ。」

やべぇこの人マジで効率的に動いてやがらぁ。

 人間というものは最初は抵抗感があっても慣れれば躊躇なく実行するものである。つまるところ、最初は委員会の仕事が嫌だったが慣れたと言う事。ただ一つ申し訳ないところがある。ほとんどの仕事を今野さんがやってくれていることである。私がやろうとしたのを、私がやるからと言って代わりにやってくれてる。いや、ありがたいけどこの世の中にはレディーファーストって言葉あるじゃんけ。

「今野さんさ、めっちゃ仕事やってくれてるけど大丈夫?」

「ほぇ?別にいいわよ。意外と暇だったから少しでも動きたいなぁと思ってね。」

んん?少し疑問がある。私の価値観と違うからなのかもしれないけど、効率的になるんであれば動かずに考え事をしていた方が良いような気がする。あ、でも女性だと時折動かないとダメとかあるのかな。いやもう面倒だからいいわ。

 図書室には受付があり、担当の人はそこに座って貸し借りの手続きを行う。とはいえハンコを押したりするだけだが。ただその仕事も先ほど言った通り彼女がやってくれてるのでマジで暇になる。そのため本を読んで過ごしていた。

「それ何の本?」

「あー、言ってもわからんぞ。電車系のです。」

唐突に聞いてきたな。てか自分いい加減人と話すときは目を合わせろし。

「はまくん電車好きそうだもんね。」

これホントにどの人にも言われてたのでちょっとうんざりしてるところがある。ん?なんか違和感があるな。なんだろ。あ、今この人はまくんって言った?

「顔赤いけど、大丈夫すか?なんか俺変なことしました?」

「あ、いや、そのー、さっきの呼び方変かなーとか思ってさ。」

なんかさっきより赤らめてるな。にしても、

「かわいいな。」

本音が漏れた。

「ん?」

「なんでもない気にするな気にした方が負けだ。あと呼び方は何でもいいぞ。逆に私はどう呼べばいいですか?」

「あかりとかで良いわよ。」

何でもいいじゃなくてわざわざ下の名前?いやそこ気にしたらダメだな。

「じゃ、あかりさん。これからもヨロシクです。」

「よろしくね。」

キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。

「あ終わった。」

鐘が鳴ると図書室内に居た人は速やかに出ることになる。みんなが出てる間に椅子をきっちり直して全員が出たのを確認したら図書室の先生に挨拶をして教室に戻る。これが繰り返されるとか頭おかしいわ。

 11月22日、丁度図書室の担当だった。図書室に着くとすぐに彼女は日記を書いた。日記って図書室の管理みたいなもんよ。

「11月の...えーっと22日...。あ、今日ってさ、ねぇねぇ。」

「なんでしょう。」

「今日はいい夫婦の日だね。」

「1122、あ、ホントだ。」

11月も終わりですな。と、こんな平和な日もあれば...。

 ある日、先生が変なことを言い出した。

「今日の日直は、えー高橋君のところね。人間って生きてるうえで何が起こるかわからないよね。皆さんもちゃんと備えていますか?いつどのタイミングで何が起こるかわからないですからね。」

は?急にどうした。このババア50いってるからしょうがないのかもしれないけど、限度というものがあるからな。確かに何が起こるかわからんけども。そんなことを考えていたらいつの間にか教室内がざわついていた。

 朝言っていた先生のことがわからず、今野さんと一緒に図書室に向かう途中聞いてみたところ、

「私もわからないわ。今日何かあるのかしらね。何でもいいけどさ。」

「んーホントになんだろ。」

流石にわからんかったか。どないしよ。

 結局わからず図書室に着いてすぐ日記を書き始めた彼女。書いてる姿なんか良いな。とかまじまじ見てると、

「ん?どうした?私なんか変?」

「いやなんでもない。見とれてただけだ。」

正直に言ったほうが相手にも伝わりやすいよね。てかまた赤らめてる?ホント大丈夫?

「これ借りたいです。」

「あ、はーいちょっとこれ貸してね。」

切り替え早いな。流石今野さん。ハンコをスムーズに押したあと丁寧にカードを返した。黒板の隅を指しながら、

「あの日までに本を返してね。」

「はーい。」

小一にも丁寧に優しく接している。ダメだ凄すぎる。

「んあ、もう五分経ってる。席に座らんと邪魔やんけ俺。」

「ww」

笑われたし。まぁいい。そう思いながら席に座った瞬間、スピーカーから、

「訓練、地震。訓練、地震。強い揺れに警戒してください。生徒の皆さんは速やかに身を守る行動をすること。」

は?俺今座ったんですけど。てかみんな潜るの早いな。

「え?何々?訓練?はまくん早く机の下に...」

「分かってる落ち着け本番でも焦ると死ぬぞ。」

「確かに。」

とりあえず落ち着いてくれ。グチグチ言いながら机の下に隠れた。いやまてよ、これ女子と一緒の机の下に隠れることになるやんけ。ちょっと緊張だわ。

「まだかな。」

「まぁそう焦らずにゆっくり気ままにね。」

なんか不安そうな顔をしてますな。

「揺れが収まりました。今回の地震では津波の来る可能性があります。速やかに校舎四階へ避難してください。」

だる。このパターンだるいんよ。

「はまくん行くよ。」

「待って、先に中の人が行ってから行こ。」

「確かにそうね。」

この人相当焦ってるな。

 みんなが避難し終わったところ、

「はまくん行くよ(n回目)」

オッケ、という前に唐突に手を引っ張られた。この人凄いわ。

「落ち着いて。あと手を繋いでどうするんよ。」

「良いじゃないあなた動きがとろいんだからさ。」

ぐうの音もでねぇ。よく分かるな。

 と、まぁこんなのが起きたり起きなかったり。人間って吊り橋効果っていうのがあるじゃないですか。一つの空間に男女二人でいるのを繰り返すとだんだん好きになるってやつ。当時の私はそんなことは知らなかったものの、人間なので見事に引っかかる。つまるところ、だんだん今野さんのことを好きになった、気がする。気がするだけ。でもなかなかタイミングがなく、告る気配もなかった。



~八章、ちょっと時が進んで。~


 あれから二年が過ぎ、中二になった。担任理科ですか。新人かー。みんなからなめられそうだな。てかこのクラス誰がいるんだ?今日はテキトウに過ごして明日誰もいないうちに座席表見とくか。

 次の朝、いつも通り8時手前。てかここトイレ二階かよ。ちょっとだるい。さて、確認するか。えーっと、タカハシ...サイトウ...あのバスケ部のうざい割にはかわいいやつか。あとは、サトウ...今野...。はい?今野?私はまだ起きていないんか?なんでだろう、変な汗出てきた。えーっと、今野...あかり...?あー、前好きだったやつか。実を言うと、中二の時は二次元に没頭してたため好きな人が自然と消えていった。しかし過去形とは言え意識してしまうのが男というものである。

 




ー初めての初恋ー 

 今野あかり小6委員会一緒だった

 あれは、四年前の事だった。当時小六だった私は、入学式入ってからすぐでいきなり迷った。委員会活動だ。去年はテキトウに入ったから今年もそうしようかな。図書委員とかでいっか。そんな気分で手を挙げてみた。一人の男子が手を挙げた。あれは確か、浜野くんだっけか。名前はそんな感じだったはず。んあ、あの子と塾一緒だったわ。

 最初の活動か。どう話しかけよ。

「よろしく。」

「あ、よろしくです。」

意外と軽いわね。なんかかわいい。

「今野さん、どの日にします?」

あ、そっか、今日は仕事日を決めるだけだったんだ。

「木曜とか。何でもいいわよ。」

流石に適当はダメだったかな。

「じゃあ火曜木曜で。」

「オッケ」

意外と気が合いそう。

 週に二日、男女で担当してるけど、なんか一人でも成り立ちそうだなぁ。ん、この人読むの遅くない?さっきから色のついたページで止まってるような。男子って感じですな。

「どした?さっきからこっちみてるけど。まさかあんた、俺のことをs((((」

「いや別に。さっきから全然読んでないじゃんとか思っただけ。」

「あー、絵を観てるだけ。美術の鑑賞ですよ鑑賞。」

なるほどね。いやいや、

「なんでやねん。」

なんで関西弁出た?でも意外といいかも。

「関西下手ですか?」

ダメだった。

「なんか素で出たわw」

「どーしてw」

「わかんない」

笑ってる姿いいなぁ。おっと、ずっと見てると疑われる。

「てかさっきから今野さん俺から仕事とってるけど、大丈夫?」

あー、聞かれるか。言い訳考えてなかったな。

「別にいいわよ。意外と暇だったからさ。」

まぁ思春期の男子なんて困難で誤魔化せるだろう。そう思いふと彼を見てみたら、遠くをみて考え事をしてるように見えた。あれ?この人もう大人?話通じそうでホントよかったなぁ。

 中学受験をする人はそわそわしてきたこの季節、しかし私は気が付いたら浜野君のことを考えていた。これってもしかして、恋というものなのか。それにしては判断材料が無さすぎる。とはいえ内容が内容で、どう接しようか、何を話そうか、なんなら何を着ていこうとか考えている時点であるのかもしれない。卒業式もあるので今日が最後の仕事となった。

 卒業が迫っているがあまり気にする気配のかけらもない浜野君を呼び止め、図書室に一緒に行った。

「恥ずかしくないんすか?」

「何が?」

「男女二人で行くとか仕事するとかさ。」

「そういう浜野君は?」

「胸に手を当ててもらえれば分かるけど、今でも心臓バクバク言ってるぞ。」

ほぇ!?どゆこと?緊張してるってこと?なんで?私といるから?もしかしてもしかしなくてもまさかな...。

「へっ、へーそうなのね。意外と緊張するんだね、浜野君でも。そういえば今更だけどさ、呼び方ってどうすればよかった?浜野君って呼んでたけれども。」

「えっと、下の名前以外で読んでくれれば結構。てかホントに今更だね。あと俺人間だから緊張します。」

掘り出さないでぇ。ちょっと恥ずかしい...。そうだ前々から思ってたけど、

「浜野君って恥ずかしがることってあるの?」

「んー、99%はないね。ほんの少しはあるよ。」

「例えば?」

「俺いつも思うんだけど、例えばって聞かれても人間すぐ答えれないと思うんだよね。あ、着いたお先どうぞ。」

「どうも。確かに今考えると思いつかないわね。」

この人の言ってることってほとんどあっていて凄い安心感があるのよね。これが浜野君の魅力なのかもしれない。

 いつも通り日記をつけていると、

「前さ、いつだっけな。なんか良い夫婦の話をしたじゃん?」

「んん?あーそうね。」

そういえばそんなことを言ったな。

「あれってなんか言いたい理由とかあったの?」

え?それ聞いちゃいますか。

「語呂合わせってなんか特別を感じるじゃないですか。特別って分け合ったほうが良いと思うんですよ。それでちょっと言ってみただけ。」

「なるほど、無駄な情報をありがとう。」

「凄い辛辣じゃん。」

「ふっはほww」

なんかうまく誤魔化せれたわ。てか無駄じゃないし。あと笑い方よw



ー気づいたら中二じゃんー

 やっと小学生を卒業して中学生になれると思ったらいつの間にか一年過ぎていた。当たり前だけど、みんなとは一緒じゃなくなくなるのか。忘れてたわ。

「とりあえず明日の準備は大丈夫かな。体育館履きとかあるかな。」

部屋だからかもしれないけど、いつも独り言を言ってる。こんな状態だと大丈夫かな。

 次の日、混まないうちに名簿を受け取るためにいつもより早く起きた。

「よし、じゃ行くかぁ。いってきまーす。」

独り言です。親は仕事でいませんがね。

 なんだか歩いてるだけだけど、緊張してきた。なんでか、それは誰と一緒になるか。浜野君と同じクラスになればな。そんなことを考えてたら学校に着いた。

「あぶな。私進級したんだからこっちだ。」

体に染みついたからか一年のところに入りそうになった。年に一回の間違い。

「おはようございまーす。ハイこれどうぞ。」

「ありがとうございまーす。」

えーっと、あおかくこ、こん、こん、あった今野。えっと五組か。他に誰かいるかな、と思ったけどあの先生うるさいから早く入っとこ。

 ここか、これから一年間よろしくする教室は。えっと私は何番だ?12?一番後ろじゃん。今日は荷物が少ないからロッカーはいいかな。横にかけれるし。てか誰か居たな。ん?あの見た目って、もしかして、

「おはよ!」

「お、おはよ。お久しぶりです。」

やはりいつも通りで安心したわ。

「もしかして浜野君?」

「もしかしては酷いな。名簿見たらわかるでしょ。私です、いつもの浜野です。」

「ごめんごめんw」

「てかまさか一緒だったとはな。去年2組でしょ?」

「そうね、よく覚えてるね。」

「私去年一組だったので、まぁお隣さんなら何回かは顔合わせるかもしれないからね。一応覚えておこうと。」

「変なの。いつも変だね、あんた。」

「今年はかずまが居るから良かったわ。」

「私は特にいないかな。いや、仲のいい子はいるけど。」

「あの、第三者の私でも心配になる発言なんですけど。」

「知らんわよ。」

意外と心配してくれてるのかな。ま、

「じゃ、今年よろしく。あ、席となりじゃん。」

「え、今更?バカですか?」

「バカじゃないでしょ。」

肩に突っ込みを入れた。

「ごめ。よろ~。」

「よろよろ。」

一通りの会話が済んだとこで浜野君は教室を出た。戻ったと思ったら本を読みだした。小学校から変わらないなぁ。

 例年通り、混んでる体育館に移動し長ったらい校長の話からの生徒指導の先生からの話で余計長く感じた後、クラスごとに教室に戻る。が、一年と二年は一緒の出口から、三年はもう一つのとこから出るため、一三年が先に出る。そして、二年の中で五組なのに何故か一組と七組が先に出る。はい、五組は最後。えー。

 そんなこんなで、新しい担任が教室に来た。

「あのー、先生凄い緊張してて、今年が初めてなんだよね、教員としているのは。あと科目は理科ですよろしくお願いしまーす。」

「「「よろしくお願いします。」」」

「えっとじゃあよくわかんないけど、何しようか。あ、そうだ、席決めしとく?」

慣れてないな。

「やろー」

「やったー」

みんな嬉しそうにしてるなか、もくもくと本を読み続けている浜野君。そうとう今回の先生はナメてますね。

「今年の担任結構クソに見えてるが優しいぞ。」

「ほぇ?」

いきなり隣から言われたもんで、聞く準備が出来なかった私は情けない返事をしてしまった。

「返事くらいしっかりしたらどうだ。誤解するぞ。」

「あんたが急に話すからでしょ。」

それと、今緊張してるのよ。あなたが隣にいるんだもん...。



ー例のイベントー


 色々あってもう後期のはじめ。早いな、時が立つってもんは。

「ねぇねぇ。」

「いきなりどうした。てか今思うけど、なんで毎回この位置でおまえなんだよ。」

えっとですね、隣浜野君なんですよ。毎回くじで決めてるはずなのに何故か左後ろで隣は浜野君。これ補正とかかかってるのかな。

「仕方ないじゃない、私運だけは持ってるので。」

「いらないな。」

「辛辣ぅ。で、どこにすんの?」

「お前わかるだろ、前回は入ってないから今回も入んないよ。それと、お前は生徒会に入るんだろ。頑張れよ。」

そう、生徒会に入った。なんでか。争わなかったからだ。

「みんなの大切な一票が選んでくれたんだ。大事にやれよ。」

「良い言葉ありがとう。あんたから聞けるなんて意外だったわw」

「自ら地雷に踏みにいかないでくれ()」

いいじゃん、後ろだし。

 次の日。

「じゃあまず代議委員会。これが決まってくれたら凄い嬉しいんだけどなぁ。おっ、ありがとー。」

えー意外と早く決まったな。

「じゃあ二人さ、前に出てきてもらってこのあとの進行をやってもらってもいい?」

「分かりました。あ、じゃあ私書くよ。」

「ありがと。はい、じゃあ生活委員。」

あの二人が次の代議か。悪くないな。

「確かに悪くないかもな。」

「なんでわかったの?以心伝心?」

「お前を長い間考えてたら性格が似たんじゃないのか。合ってるだろ?あの代議二人がお似合いなのを。」

なんか怖いんですけどこの人。

「まぁそうだけど。でもみんなそう思うんじゃない?」

「いいえ。教室全体見てみな。大半が下向いてるだろ。二人の行動言動なんて見る気も聞く気もないだろ。」

「確かに。」

効率的に考えて得られたものをここで使っちゃダメじゃん。



~九章、まぁ中二だし。~

 過去のことは思い出したくない。しかし、今は暇すぎるので思い出してしまう。

 中二の頃の俺は、いつも教室に一番早く着いていた。いや、周りが遅すぎていた。え、予鈴なってからはごみすぎる。早く来るメリット、それは嫌いな人の席を蹴れる。嘘です。朝の準備を早く済ますことが出来、本を読むことが出来る。それと次誰が来るか予想しようゲームが出来る。今日もいつものあいつかな、科学部の。いいえ、違った。

「おはよ。」

「わざわざこっそり気づかないように近づいてのぞき込んでから言うなよ。あと長い突っ込みさせるなおはよう。」

「流れ凄いな。」

「あと静かに歩いてるつもりだったんだろうけど、お前ゆっくり開けてたから普通にばれてるぞ。いつもの速さで開けるなら気づかんが。」

「ほへーバレてたか。ちぇ。」

バカかよ。おかしいな、並の人より優れているはずなんだろうけどな。

「で、今日早いな。八時前って珍しいな。あれか。」

「挨拶ね。」

「眠い目こすって頑張れよ。」

「はーい」

 こんな会話が週に何回かある。しかし、これは私がいつも通り八時前に着いていた場合。人間って、いつも完璧にいられないんですよ。はい、二十分寝過ごした。

 校門前八時超えそうだな。そう思ったら、

「おはよー。」

「お前今日あったのかよ。」

「今日水曜だもん。」

「曜日とか細かい話はあと。おはよ。」

いちいち曜日を覚えれんわ。んなの知らん。




ーもしかしてだけどー


 やっぱあの人はいつも変だな。まいつものことか。

 その日の夜、あの人からLINE来た。

(そういやさ、朝のあれは何曜にやるとかあんの?)

三十分前か、ちょいとおきすぎたか。

(月水金)

(りょ)

返信はや。ビックリしたわ。

(早いわね)

(文句あるのか?)

(いや別に。あとなんで聞いてきたん?)

(挨拶してる日を把握しておいたほうがいいかなと。)

(ほほう)

よくわかんないな。

(そういえばさ、名前どう呼べばいいの?)

(前言ってなかったっけ?

 適当に浜野でいいよ。)

(じゃあはまくんで)

(新しいな。)

(へへーん)

(いや違ったわ)

(なんだよw)

ん?別にはまくんって呼んでる人っているのかな?

(まぁいいや

 おやすみ~)

(良い夢見ろよ(テンプレ))

変だな。

 あれから数か月がたち、

「明日から学校休みになります。詳細はこのプリントを見てください。で、休校中でも何回か学校に来てもらうからね。」

急だ。よく見ると、新型ウイルスが出たようだ。そのせいで休まざるを得なかったようだ。

「おいこれやばいぞ。数か月は出れないな。」

「うん。ちょっと悲しいな。」

「なんで?」

「会えないじゃん。」

「誰に?」

「おしえなーい。」

「俺か」

「ちがーうw」

合ってるけど。

 夜。久しぶりにツイッターを開いてみた。ん、はまくんまた呟いてる。あの人頻繁にしますね。えーっと、

(朝から好きな子を見れた。嬉しかった。)

誰だろ。やば、気になっちゃった。え、どうしよ。めっちゃむやむやするんだが。聞いてみよ。てか好きな子を題材にするのは良いけど、ここ一週間めっちゃ言ってるじゃん。

 LINEを立ち上げた。

(ねーねー

 好きな子って誰?)

(教えません。)

やっぱ早いな。

(教えてください)

(なんで?)

まあそうだろうな。

(あのー、私って気になりだしたら止まらないんですよ)

(理性が働かない人間ってコワイんですけど)

ツッコミが独特。

(じゃあ交換条件で)

(えーやだ)

(何が良い?)

(だから良いとは言ってない。)

(教えて)

(いやだ)

(教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて教えて)

あ、メッチャしつこいやん。大丈夫かな。

(寝ていい?)

飽きられた。

(寝たらスタ連する)

(どうぞ)

嘘だろおい。

(待って待ってそれは想定外w)

(そんな知りたいの?わかったよ)

(いえーい。何聞きたい?)

(好きな人を聞くならあなたの好きな人を教えて。)

やっぱりそうきたか。今は言えないからなぁ、

(じゃあ昔好きだった人で)

(今じゃないの?)

(実を言うと今好きな人いないので。)

(二次元?)

(当たりw)

割とあってる。

(じゃあ私は絶対言うから、はまくん先言って。)

(信じれないんですが)

(人を信じれないほど私ダメだった?)

(ごめんなさい言います)

(やったぜ)

(言うけど引くなよ?)

(別に引きはしないけど)

(おん。えっと、好きな人は...)

ごくり...


~十章、おいマジかよ~


 休校になった。某ウイルスのせいで休校に。人に会うなということで緊急事態宣言か。結構辛いな。ツイッターいじって気を紛らわすか。

 夜。ん?ラインからなんか来てる。

(ねぇねぇ、好きな子って誰?)

は。あんただよ。

(教えない。)

(教えて)

嫌ですあなたです。てかなんでこんなことになったし。

 聞いてみたら気になったからって、そりゃわかるわ。交換条件で先に言えって酷いな。面倒だから手っ取り早く言うか。

(言うけど引くなよ?)

(別に引きはしないけど)

(好きな人は...)

どうしよ。マジで言っていいのかな。こんなパターン面白くていじり倒したいけど、流石にやめておくか。まぁ素直に

(あなたです)

(え?)

(名前で言ったほうが良いですか?今野あかりさん、あなたです。)

(私可愛くないわよ)

(俺から見たほうがかわいいんだよなぁ)

言ってしまった。普段の私なら誰にも言えない裏の顔を見してしまった。ん、返信が帰ってこない。

 一分後、

(よしわかった、期間を設けよう。)

(試験ですか?)

(ザックリ言うとそうだね。正直あなたのことまだそんなにわかってないのでね)

なるほど、その間にあいつを落とせと。

(なるほどねぇ)

((俺から見たほうがかわいいんだよなぁに対して)例をあげなさい。)

(全部)

(具体的に!)

(率先して行動する勇気)

(ほう)

(あとかわいい)

(雑だなw)

 こんな緩い感じで定理上付き合ってる判定になっていいのか。どこ行こうかどう呼べばいいとか話したけど、いいのか。



ーなんで私なんかにー


(あなたです)

え?なんで?あなたそんな素振りなかったじゃん。今まで手を振ってたけど凄い恥ずかしいんだけど。適当に返してると思ったんだけど。え?

 理由聞いてみたらなんかパッとしないんだけど。でも好きには変わりはないんだろうからいいけど。でもなんで私なんかに好きになってくれてんだろ。これ私もはまくんのことが好きってこと言ったほうが良いかな。いやでも持っておいたほうが役に立ちそうだからいいや。

 そして数週間、一回学校に行く日になった。あの事があったから行くのが気まずい。

「おはよ。」

「おはよ、いつも通りだな。」

「こっちのセリフなんですけど。いつも朝早くきて本を呼んでるのに変わりはないあんたの方がいつも通りなんですけど!」

「今日、上で誰かはわからんけどバカ共がわざわざ集まって話してるからあんまでかい声出さないでくれ。」

そういわれると確かに上で騒いでる感じがする。

「ホントだ。てか恥ずかしい?」

「いいえ。」

「うそ。」

「ほんと。」

もういいや。

 いつもより変な感じで朝の準備をして、今日出来るだけ持って帰れるものをカバンに詰めて早く帰れるようにした。ふと隣をみたら、既に同じような準備を済ませてた。早いな。流石。

 朝会があるらしい。が、体育館には集まらずに教室で放送、つまり音声だけで行うということだ。

 例年とは違う感じで始まった。いつもより静かなので、日常に置いて聞こえない音は敏感になってしまう。誰だ本読んでる人は、紙がめくれる落としたぞ。あ。

 やはり隣だ。はまくんだ。ジーッと見てたらやっと気づいた。なんか見してきた。カラーページ?どれどれ。なんかちょっとアレですな。なんか嫌だから目をそらした。

「フッ」

なんか鼻で笑われたんですけど。なんでよ。試した感じだな?

 今日は二時間で終わった。いつもはまくんは帰る準備を入念にやってるため、最後の方に帰る人だった。ちなみに私も同じタイプ。

「一緒に帰るか?」

「なんで今聞くの?」

「いやか?」

「嫌ではないけれども、周り人いるじゃん。」

「嫌い?」

「...」

「どうせ帰り道一緒だから帰ろ。」

「はーいわかりました。」

 仕方がないように返事しているが、実は嬉しかったりする。この時期はマスクをしてるから少しくらい笑っても大丈夫かなとか安心してたら、

「お前何ニヤニヤしてんだよ。」

「え?なんのこと?」

「いや、なんでもない。」

この人そこまで気づいてんの?本読んでるだけだと思ったら意外と秘めた能力ある系男子?

 だいたいの人が帰った辺りにこっそり私たちは変えることになった。てかさ、

「あんたなんで隣に越してきたの?」

「知らねぇよ流石に隣だったとは知らなかったもん。」

そう。彼は引っ越しをまぁまぁな頻度で引っ越しする家庭らしいので、こんなことがあるかもしれないなが具現化するのもないことはない。が、よりにもよって私の隣とか。

「で、あんたから誘ったんだから話すこととかあるんじゃないの?」

「手提げ持とうか?」

「あ、ありがとう。じゃなくて、要件は?」

「特にないが。」

「はい?」

「良いだろ付き合ってるんだし。」

「そういえばそうだったわね。」

普通に忘れてたけど、

「いや、付き合ってても一緒には帰らないような気がするんだが。」

「じゃあ一人で帰るか?」

「んーもう、わかった一緒に帰る。」

負けた。ちくしょー。

「勝った。」

うっざ。

 それから何か話があるのかなと思ってたけど、一つ二つで終わった。まぁ普通に疲れたからいいけど。

 着いた。マイホーム。

「ほいこれ。いらねぇのか?」

「そうだありがと。重くなかった?」

「いや、重い。」

「やっぱりか。」

じゃあ手提げなんか持つんじゃないのよ。

「良い夢見ろよ。」

「昼なんですが。」

「ノシ」

ほんと謎だな。ん?はまくんに向かって誰か走ってる。見たことあるけど、まぁいいか。



~十一章、いつでもこいつは邪魔だった。~


 今野さんの手提げを返したあと、適当にさよならでも言って家に帰ることになる。が、なんでこのタイミングなんだよ。

「オッスオッス★」

「邪魔だからどいてくれる?」

「嫌ですねー。良いじゃんあんたモテないんだからサー。はら、唯一の私がいるでしょ?」

「分かった、私についてきたいならこれ持て。」

「やっt、って重すぎ。なにこれ何が入ってんの?」

「全教科。」

「バカじゃないの?カバンは?」

「手紙等。」

「くっそー騙された。」

ほんとバカって扱いやすいな。荷物屋でもしとくんだな。無能は動け。

 家に着いた後、隣の家を見てみたら、まだ今野さんがいた。早く入りなさいよ。ま、

「ただいまー誰もいないけど。」

「お邪魔しまーす。」

「邪魔するなら帰れ。」

いつものことなんだがな。ホント帰ってくれないか。

「伊角さ、よく平然とした態度で俺んちに入れるよな。」

「だって暇なんだもん。あなたも暇でしょ。」

「今日はな。」

なんで暇かどうか把握してんだよ。事実今日塾ないし。

 いつも通り二階に上がって伊角に手を洗わせたり準備したら、自室に籠る。一緒に。親仕事でいないからいいけどさ、てか許可得てるから大丈夫だけど、他のとこだと追い出されるだろ。でも。こいつには特別な事情があるからしょうがないんだよな。事実その事情がなければ許可なんてなかったに等しい。

「いつもありがとねー。色々練習できるから。」

「人に対しての感謝だけは忘れるなよ。でないと生きれないからな。」

「ほへー。」

こいつ。でも、こいつの親が怒りっぽいのが原因なのか知らないけど、こいつが何もできないのは事実だ。聞いた話だと親が芸能人だったが、なんらかの原因で芸能界をやめたとか。スランプなりなんなりあるのかもしれないけど、芸能界から離れたいためにテレビとかスマホとかだめって、中学生の中でもひどすぎる。だが、親が理由でこいつの相手をしているのではない。じゃあなんなのか。それは、こいつには秘めた才能を持っているからだ。


あとがき

お久しぶりです。何人か初の登場人物出てきたけど、大丈夫かな。実体験だったり妄想だったりするので、特に実体験ってこれ読まれたら怒られそうなんですよね。前回、次は絶対書かないと言っておきながら今回続編を出したわけだけど、この感じだと次も書くのかなと。そうではなくて、今回は特別に暇だったから書いたわけであって別に進んでやったとかではない。私動画を投稿してるんですけど、それを書き出す作業をする間に小説を書いてるので、はっきり言って暇つぶしのためにやってます、はい。なので動画投稿が進んだら必然的にこっちも続編がどんどんでるのかなくらい。えっと話すことがないので修学旅行の話でもしましょうか。私ね、中三のときの修学旅行を休んだんですよ。学年主任には風邪だからっつって休んだんですけど、まぁ事実なんですけど、前々から休もうと思っていて、でも事前に参加するかどうかみたいなアンケート的なものには行くと書いたんですよ。だって親が勝手に書いたんだもん。でもその時は楽しみだなぁくらいだったんだけど、いざ時がたつにつれてしおりとか貰ったりすると、あれ?朝七時ちょっとって早すぎやしないか、とか、当日は雨予報だからとか、旅行先が山梨県にある富士急ハイランドってとこなんですけど、私自身テーマパークが大嫌いなんですよ。なのでディズニーは行ったことないし、特に有名な遊園地とか行ったことないんですよ。ていうとうそになるんですけど、読売ランド行ったことあるんですけど、すげー詰まんなかったんですよね。だって友達と遊具に乗って何が楽しいの、家に居て勉強しようよっていう当時から効率的に動いていた私なので、今回は同じような理由で休んだってわけ。はい、なので遊園地は彼女とか仕事とか、必然的に行くときにしか行きません、行きたいから行く時は私にはないので大人になったら当分ないでしょう。でもテーマパークに行くメリットがないわけでもないんですよね。じゃあなにかというと、友達との思い出をつくれるってことなんですよ。ただ、その友達は本当に仲が良くなければ楽しめないわけであって、質のいい思い出をつくれるならメリットだよねってことです。

 まぁそんな文法がめちゃくちゃな私の思ったことをそのまま書いた長い長いあらすじを読んだあなたたち、時間の無駄ですよ。他の人の書いた質のいいものを読んで有意義な時間を過ごしてください。宣伝ですが、青髪な浜野くんって調べると、多分Twitterでそんな名前が出てくると思うんですけど、それ私なのでぜひフォローをよろしくお願いします。貪欲とか言わないで。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

小二の頃に告ってきた奴を拾った はまみん @MegumiHamano429

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る