第4話
二学期、それは地獄のように行事がある学期である。多いとは入学前から聞いていたがここまでとは。体育祭(9月下旬)、校内文化祭(十月下旬)、球技大会中期(十一月中旬)、三つである。準備と片付けで二学期が終わる。
「体育祭の係を決めま〜す。やりたい係に手をあげてください」
無論、やりたい訳無い。むしろ、やりたくない。めんどくさいのが相場だ。しかし、この学校は一人一つ係を割り振るらしい。周りのヤツもやりたそうなのは内部生のやつばっかりだ。言い忘れていたが、ここは中高一貫で俺は高校から入った外部生だ。神崎さんは、多分内部生。
「招集係は楽だよ」
こそっと教えてくれる神崎さん。確かに人数多めに設定されてるし楽なのかもしれない。なにかやらないといけないなら楽なのを選ばせてもらおうか。
いや、待てよ絶対競争率おかしくなるやろ。それはそれで嫌だ。それなら会場係が仕事の内容的に楽なのではなかろうか。協調性などを考慮しなくていいぶん気が楽だ。
「会場係をやってくれる人〜」
「……!」
無言でしれっとかつ主張はしっかりと手をあげる。隣からは驚きのオーラがひしひしと伝わる。
「えーっと、川井くんだっけ? ありがとう〜」
司会の……名前分からん。司会さんがとんとんと進めるため係決めはそこからもスっと二週目に入った。一周では決まらないのがお決まりだ。
「会場〜」
と、司会さんが二回目の募集をかけた時、隣からスっと手が上がる気配がした。ギョッとしてみると案の定神崎さんが手をあげている。
「神崎さんね〜 ありがとう〜 じゃあ、次は〜」
男子諸君。枠は二つしか無かったんだ。そんなに睨まないでくれ。痛いんだよ。
その後、サクッと決まって残った時間は自習になった。
★★★★★
「良かったのか?」
放課後、部活に行く準備をしている神崎さんに問う。神崎さんはこちらを見て、
「ぷぅ〜」
頬を膨らまして睨んだ。全然怖くない。むしろ可愛い。しかし、俺はなにかしたのだろうか。
「楽だよって教えてあげたのに……」
あぁ、そこか……
「楽なら競争率高そうじゃん」
「……そうだね」
忘れてたって顔している。夕日が照りつけてなんとも言えないアホな顔をしてる。
「それで、良かったのか?」
俺は再び問う。楽だよって教えてくれたのだ。そっちを選ぶものだと思ってた。
「いいんだよ! ツーン」
「いいんならいいんだけど……なんで、会場にしたんだよ?」
「川井くんは外部生でしょ? わかんないことがあったら私だと話しかけやすくない?」
完全に俺のためじゃないか……なぜここまでしてくれるのだろうか? 惚れてしまうじゃないか。
「いや、話しかけやすいわけないんだが」
「え……」
「え……」
訳が分からないって顔をしている。が、ハッとした表情をした。部活だろうか。
「じ、じゃ、部活行くね。またね〜」
「ん。がんば」
正解だった。
★★★★★
「むぅ〜……なんで気づかないかなぁ……」
そう呟きながら体育館の更衣室で着替えていく。お腹が痛かったってことにするつもりだ。みんなには悪いとは思ってるけどそんなに全力で部活する〜みたいな学校ではないし……
「もぅ!」
ペシッ
服を畳んで投げつける。誰もいないので咎められたりはしない。まぁ、そんなことしてもモヤモヤした気持ちが収まる訳では無いのだが……
「む〜……いいもん! 攻め続けるんだから」
と、心に決めてサポーターをつけてさっさと行く。
明日からも頑張るぞ!
〜あとがき〜
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これからもよろしくお願いします! ではまた次回会いましょう!
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