報復の相手
爆発した衝撃で瓦礫などが食事をしていた生徒を襲うが、私は瓦礫を防ぐために『聖壁』を発動して生徒たちを守ったが、突然のことで動きを止める生徒が多数いた。
それは、長くは続かない。 襲撃されたわかるや否や生徒たちを支配したのは混乱。 私と冬、澪ちゃんは逃げようとする生徒の波に襲われていた。
「三人か……」
生徒の波にのまれながらそう呟く、その言葉に反応する者はいない。 冬と澪ちゃんでさえ、流されないように壁の手すりに捕まっておくことが限界なのだから。
けれども、反応されなくてもいい。 近藤が言っていた、ここに居ろという意味も理解できたし、何をすればいいかもわかる。
だから、私は私のやるべきことをやる。
爆発した衝撃で生じた砂塵が収まるとそこには三人、人が立っていた。
私には関係がない。 何人人が来たとしても私は、私がやるべきことをやる。
そのつもりで、私は魔法を放つ。 もし、これで倒すことができたのならラッキーだ。 でも、この世の中そこまでうまくいくようにはできていない。
『聖絶』
そう呟きに近かった声が耳に届いた。 それと同時にカッ!と何かが地面に叩きつけられる音が聞こえる。
そして、地面に巨大な魔方陣が展開された。 その魔方陣に私の魔法が触れると私の魔法がかき消された。
「はぁ!?」
結界魔法を使う相手なら何度も戦ったことはあるだけれども、今のは違った。
本来の結界魔法は魔法を跳ね返すことに特化した魔法のはずだ。 それが、魔法を消すことを目的にした魔法、それを見ると興奮する。
私の知らない魔法、この結界の性質を知りたいと思ってしまった。
「ウオオオォォ!!」
突然叫びに近い大声が結界の中から聞こえた。
その声に圧倒されて少しだけ止まってしまう。 すぐに大声を出した、巨漢の男を警戒する。 しかし、男は泣いているようだった。
「なんでだよぉ! なんで死んじまったんだよぉ! クレアぁ!」
泣いていた、男は泣いていた。 なぜ泣いているのかは分かっている。
私がクレアを殺したから、ハッ! 近藤の奴、これをわかっていて私をここに置いていったな、私という最高の囮、私という最悪の敵を置いてこの三人が攻めてくるように。
「あぁ~あ、俄然やる気が出てきた。 近藤の掌の上クルクル踊ってあげる、でも、近藤の予想を上回る踊り方で」
ニィと弧を描くような笑みを浮かべる。 相手にとっては狂気でしかない笑み。
今の私には関係ない、ただ、目の前にいるのは敵ではなく近藤の想像の上を行くためだけの踏み台でしかない。
私の顔を見て恐怖に染まる三人に向かって走り出す、それと同時に魔法を同時に展開する。 結界に触れそうになる一歩手前で同時に展開していた魔法を一点に集中させて放つ。
同時に展開している魔法の数は数十を超える数になる。 その魔法を一点に集中させられれば、魔法を消す結界だとしても無傷にはいられないはずだ。
魔法を食らって私の狙い道理に人一人だけ通れるか通れないかの穴が開いた。
そこに無理やり入り込み私は中の三人に強襲を仕掛けた。
中の三人の魔力量は見たところクレアと同等かそれ以下ぐらいの魔力量をもっている。 何が言いたいかというと、今の私からしたら相手にすらない。
だから、この三人にはすぐに倒れてもらう。
『エクスプロージョン』
最大火力の爆裂魔法で結界内で放つ。 私はダメージを受けないように結界魔法を自分に張っている。
だから、私はダメージを受けずに爆裂魔法を放つ。 結界という狭い範囲での爆裂魔法をもろに受けた相手は塵すら残らず死ぬ。
「じゃあね」
エクスプロージョンが発動されるときに三人に向かって笑顔でそう言った。
その時の三人の顔は絶望に染まっていた。 そして、目の前が真っ白に染まった。
それに続くのは爆音。 音が消えた。
「これで終わりだね」
何も見えなくなった視界、何も聞こえなくなった耳で私はそう言った。
視界が元に戻る。 ちょうど私を中心として結界があった範囲にクレーターができていた。
そこには三人の姿はなく、何も残っていない。
「案外何も感じないものだね」
前までの私なら、悪人だろうが善人だろうが殺しには忌避感があったけれども、今の私にはそれがない。 私自身も何かが壊れてしまった感覚はあるけれども、それを何かしようとは思わない。
私はクレーターができた場所から冬と澪ちゃんのもとへと歩き始めたときに私の後ろに何かが着地した音が聞こえ、ドサドサと何かが地面に落ちる音が聞こえた。
後ろを振り返れば刀と呼ばれる武器を腰に下げたスラっとした黒髪ロン毛の男が立っていた。
その男が地面に落としたものは、先ほど爆裂魔法で吹き飛ばしたはずの三人組だった。
「こいつらをこんな目に合わせたのはおまえか?」
「もしそうならどうする?」
「斬るだけだ」
そう平坦で抑揚のない声で男は呟いた。 それと同じように男の魔力は凪いでいた。
どこか掴みどころのない男は見ているだけで相手のペースに持っていかれそうになってしまう。
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