JKと交換
朝、寝不足でありながらも仕事があるのでいつもと同じような時間に家を出る。
昨日はいろいろなことがあった。 特に、人生で初めて遭った行き倒れが異世界人だったということ。 もうね、本当に疲れた。
二度と遭うことのない体験をした。
「しっかし、あいつ何で突然泣き出したんだろ」
昨日、突然ぶっ倒れたノアの介抱をしている時に、目を覚まし泣いたのだ。
なぜ泣いたのかわからないけど、大丈夫と言って寝たのでよかった。
まぁ、俺の部屋1Rだったけど、ロフトがあるから俺はそこで寝た。
「慣れないところで寝ると体が凝るんだよな……」
信号を待っている時に腕を少しグルグルとコリをほぐすように回しているとその横をスマホ片手に前見ていない女子高生が歩いていた。
信号は赤信号、今出ていけば間違いなく轢かれてしまうそう思ってしまうと自然と手が出ていた。 スマホを持っている右手を掴んで思いっきり自分の方に引っ張った。
「イタッ」
そう声が聞こえたが気にすることなく黄色い点字ブロックまで引っ張った。
「何すんのよ!」
「いや、お前が引かれそうだったから」
ものすごく怒っているけど、俺は別に間違ったことはしていないから冷静に赤信号を指している信号を指さす。 それを見ると怒りが沈んでいき少し恥ずかしさを覚えたのか頬が少し赤くなる。
「あ、ありがとうございます。 助けていただいて」
まさかお礼を言われると思っていなかった俺は鳩が豆鉄砲を喰らったようになってしまった。
「いいや、別にいいよ。 俺がやりたいようにやっただけだし」
どこかで聞いたことのあるようなキザなセリフを言ったことは自分でもわかった。
「ねぇ、助けてくれたお礼に連絡先交換しません?」
何を言っているのだと思った。 どんなバカなやつでも出会ってすぐのおっさんから電話番号を交換するなんてないだろと俺は思ってしまったけど、身体は素直だ。 いつの間にか俺はスマホを出していた。
そして、女子高生の連絡先を手に入れてしまった。 仕方がないだろ! こんなモデルやっててもおかしくないほどの美人から連絡先をくれって、女に運がない童貞君には抗えって言う方がおかしいだろ。
そう現実逃避を繰り返しているとふと視界に現在の時間が目に入った。 時間は8時を少し過ぎたぐらいだった。 もし、8時半の電車に乗ってしまえば会社に間に合わなくなってしまうことが明白だった。
俺は、とりあえず自己紹介を受けてから急いで駅に向かって走り出した。
♦
《
冬に生まれてその場が和んだからという理由で冬和。 安直だと思われるかもしれないけど私は気に入っている。
それでも、今の私は嬉しさがこみあげている。 今日の占いで運命的な出会いがあるかもとあった占い通りに運命的な出会いがあった。 轢かれそうになったところを助けてくれるなんてんて運命的な出会いなんだろうと感じてしまった。
これが吊り橋効果だの私がバカだの言われても特に何も思わない。
「それにしても急いで行ってどうしたんだろう」
そう言いながらついさっき登録したばかりの電話番号を見ようとスマホをつけたときだった。
「やばっ」
時間が8時10分手前、ここから走っていって学校に間に合うかどうかだった。
「あぁ~、もう少しでゴールデンウィークなのに何で学校行かなきゃいけないんだろ」
今日は5月20日あと1週間もすれば大型連休が来る。 だから声に出して愚痴る。 ただ、学校に行く気分じゃなくなったことをただ誰かに認めさせたくないだけだけど。
「そうだ、前に見つけた近道に行ってみようかな!」
ただ、好奇心でそう思ったことを口にしてみた。 それは、とてもしっくりきてそうした方が良いとまで思ってきた。
だから私は、近道を使って学校に向かうことにした。
♦
《丹内一郎》
ギリギリ電車に間に合い少し余裕が出来た。 自分のスマホを見るほどには余裕が出来ている。
冬和という子から連絡先と通話アプリで友達なった。 その通話アプリでよろしくのメッセージと共にかわいいスタンプが送られていた。
俺はこちらこそよろしくと送り返してスマホの画面を消した。
「さてと、今日も1日頑張りますか」
かわいい女の子から連絡先を貰って俺の仕事に対するモチベーションは爆上がりしていて今ならどんな仕事でも今ならできそうな気がする。 本当に気がするだけであってできるわけではない。
なんというか、ただただ女の子からの通話先を貰ったことによって俺は調子に乗っているだけだと俺は分かっている。 だから、俺は自分を抑制できるし、他人に迷惑をかけることをしない。
「まぁ、ノアの事をユメに話さないといけないから今日も定時で帰らないといけないんだけどな」
家にいる魔法使いの事を考えると頭が痛くなるけど、ユメに相談すれば大丈夫だろう。
「ん? 俺っていつも何か困ったことがあったらユメに相談してたっけ?」
ふとそう疑問に思ってしまった。 でもすぐに、気のせいだろと切り捨てた。
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