第7話
1時間もしないうちに卒業式が終わり、運動場で保護者の方々が花道を作ってくれる。同居家族すら親以外は参列できないから、大人しかいなかった。和凪と実夏もガッカリしてたけど、仕方ない。
正門の前で、それぞれ親子で卒業式の看板と写真を撮るべく列に並んでいた。
「柚子! 柚子も並んで!」
友達と話していたら、ママに言われた。
「嫌だよ、恥ずかしいからいいよ」
「ダメよ! 記念なんだから!」
「そうそう、こういう記念写真は親も楽しみにしてんだぞ。あー、柚子も小学校卒業するくらい大きくなったんだなーって」
「そうよ! 親孝行よ! 順番来たら呼ぶからね!」
両親に押し切られてしまった。写真を撮ると、親は早く帰ろうとしていた。
でも、友達たちは帰る気配はなかった。まだ帰りたくないなあ……せっかく久しぶりに会えたのに。強くそう思った。
ダメ元でお願いしてみたら、心配そうな顔をしつつも、
「マスクは外しちゃダメだよ」
と条件付きでまだ学校に残ることを許してくれた。パパとママは帰って行った。
しばらく外でしゃべっていたら、校舎から出て来た男子が
「教室のカギ開いてるよ!」
と教えてくれた。
「ほんと?! 教室入りたい!」
朝、少しだけ教室に入った。けれど、すぐに講堂に移動してしまったから、教室にお別れができていない。
教室に入って、自分の席に座ってみる。最後に授業を受けた日を思い出した。あれが最後になるだなんて、思ってもみなかった。教室の窓は全て全開で違和感があった。こんなに寒いのに、窓が開いてるなんて。
教室にいた生徒たちで、卒業アルバムにメッセージを書きあった。ああ、卒業式っぽい! まるでらしさのない卒業式だったけど、今卒業式っぽい! とにかく早く終わらせるんだ、と急かされるような卒業式だったもの。
綾香ちゃんがみんなの好きなキャラクターのイラストを描いてくれていた。私はすとぷりメンバー全員のイラストだった。すごくかわいくて、とっても嬉しかった。
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