第3話
ああ、今日は卒業遠足だったのに、と思った。
きっと不合格だから、遠足に行きたいってあれほど言ったのに。やっぱり、遠足に行けば良かった。
なっちゃんと久しぶりに会えたのに。なっちゃんはお母さんと2人で暮らしてるから、お母さんが入院することになって施設に入って学校を休んでいたけど、遠足には行くって言ってた。
入試に落ちたショックよりも、何の手続きもしないから遠足に行けたのに行かなかった後悔の方が余程大きかった。
家に帰ったら、高校が入試のために休みに入っている
「大那中から電話あったよ。この番号に折り返し電話くれって」
とメモをママに渡した。
ママが電話してる間、
「柚子……ダメだったの?」
と聞かれた。
「うん、番号なかった。でも、和凪の高校と違ってレベル高い学校だから、しょうがないよ」
と答えた。和凪はその時まだ高1で、前の年に高校受験に合格してるけど、偏差値の低い公立高校に通っている。
でも、和凪は頭は悪いけどすごい。小学校に入学した時、4つ上の和凪を知ってる子が多くて、上級生に和凪の妹? って聞かれたり、私お兄ちゃん知ってるよ、とか声掛けてもらって、和凪有名人なんだ! って、びっくりした。
有名ならいいってものでもなさそうだって後から分かったけど、超人見知りの私にはものすごく顔の広い和凪は十分すごかった。
妹の実夏は私を上回る人見知りなのに、和凪のこともバカだってバカにしてるけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます