骨格5) ドラマと達成感

ある日、浮かんだ「こんなヤツ」を書きたい。

から始まって、それをビジュアル化。

楽曲がごとく鼻歌気分であらすじをざっくり仕立て、

そこに現れたパーツを用立てたなら、

あらすじを各話へ分離しつつ、

各話を繋ぐため、こなさなければならない「フラグ」を立てることで理路整然とした物語に仕上げてきた。

(順番はこのような並びだが、パーツ、分離、フラグは混然一体で、手がける順番は常に因果の関係に従い前後するものとする)


全体はあくまで物語の進行、段取りベースだ。

ここでその段取りに沿って、どう登場人物の感情が流れゆくのかを

それこそ音楽のように強弱、アップダウン、滑らかにつなげて、

これまたざくっと把握しなおしておきたい。


さて、この感情はベースとして

視点当事者がひとつと、

物語の主人公がひとつ。

相手あっての感情だから次点として、

そんな主人公が対峙する敵だか、憧れを抱く相手だか、ライバルだか、の感情の推移も。

余裕があれば、読者に抱かせたい感情も意識できたら最高の指揮者だろう。


にんげんだもの。

あいだみつを。

そんなこんなで登場人物の気持ちが右往左往することは問題はないと思っている。

好きなだけすればいい。

ただひとつ、その果てに「どう落ち着く」か「着地点はなんだ」だけは

なるべく早い段階ではっきりと決めておくことが大事と考える。


なぜならこれがいわゆる達成感、「カタルシス」につながるわけで、

物語のクライマックスにも符号する箇所となるはずだからだ。


なら「演出」という意識的操作は必須なわけで、

計画性は求められる。

全部をぎっちり決め込むことが億劫ならば、

せめて右往左往できる余白がどれくらいかを把握しておくことは必須で、

切り上げるタイミングを逃さないよう気を配ることだけは忘れないようにしておきたい。


そうすることで

急転直下で結末やら、

段取りとちぐはぐやら、

やきもきし続けたわりに盛り上がらず不完全燃焼でおしまいやら、

盛り上がりが延々続いて中だるみやら、

が回避できる。


慣れてくると小クライマックス、もう一段シフトアップの大クライマックスみたく、感情と人間関係をタイミングよく小刻みに、かつドラマチックに更新できたり、

読者をじらせるとか(おこがましいですが)できたりする。

いや、しようとできる。

実際、読者がそう感じているかはまた別の話。

フラグが立っているせいで作中、盛り上がってつい余計なことを書いたり、先走ったりすることもなく、うっかりミスもしづらい。


それはオイラだけか。


ということで

素材、段取り、感情。

最低限の準備は整った。

次回から実際に書いてゆく「実作」編へ。

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