第26話 睡眠>やる気

 《稲妻雷轟》の取得を目指してレベル上げが始まった。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【1日目】


 [魔石(Dランク)] ×25 (10万ムル)


 ロア 51→112レベル


 ソニア 115レベル→138レベル



 ソニアが130レベルになってから討伐推奨レベルが150ぐらいの魔物ではボーナスが貰えなくなった。

 下の階層にいけば討伐推奨レベルは上がるため、そいつらを倒せばボーナスは獲得できる。

 なので、明日からは積極的に下の階層を目指していこうと思う。

 まぁ安全が第一なのは間違いない。

 しかし、1日で112レベルまで上げることが出来たので150レベルは案外すぐかもしれない。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【2日目】


 [魔石(Dランク)] ×18 (7万2千ムル)


 ロア 112レベル→150レベル


 ソニア 138レベル→150レベル


 ソニアが150になった後、パーティを解散した。

 早くレベルを上げるため、俺だけに経験値を集める作戦だ。

 おかげで2日で目的だった150レベルに到達することが出来た。


 そして魔物を倒しているところを他の冒険者によく見られるのだが、どうしてだろうか。

 なんか変な部分でもあるのか、少し気になった。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 換金、食事を済ませ、宿屋に帰ってきた。

 俺の部屋にはソニアがいて、なんでも寝るまでこちらの部屋にいたいとのこと。

 まぁ一人でいても暇なだけだし、親睦を深めるという意味でも断る理由がなかった。

 パーティの連携をよりよくしていくには、仲良くなることも必要になってくるだろうからな。

 それにソニアといるのは普通に楽しいし、居心地がいい。


「よし、それじゃあ《稲妻雷轟》を取得しちゃいましょうかね」

「いよいよですね」

「ああ、まさか2日で150レベルになるとは思わなかったな」

「ほんとですよ。ロアさんと出会ってからレベルの上がり方が尋常じゃなくて感覚が狂いそうです」

「それは何よりだ。もっと感覚を狂わせてやる」

「ふふっ、期待していますね。私も頑張ります」

「ま、ソニアがいないとこんな順調にレベル上げは出来ていなさそうだけどな。まだフォイルにいたかもしれない」

「そんなことないですよ。ロアさんは多分一人で何でも出来る人です」

「早起きは?」

「いきなり反例を出されてしまいましたね……」


 会話に意識がいってしまったが、とりあえず《稲妻雷轟》を取得しよう。


『必要なレベルが足りていません』


 ……。

 あ、もしかして消費レベル150って151レベルじゃないとダメですか?

 ははは、そりゃそうだよなぁ。

 レベル0なんて見たことないもん。

 ちょっといけるかな〜、なんて思ってたけど、やっぱりダメか。


「ソニア、《稲妻雷轟》の取得は明日にお預けだ」

「……やっぱり、150レベル丁度じゃ取得できませんでしたか」

「うむ」

「まぁ1レベルぐらいすぐに上がりますよ」

「そうだな。よし、明日は早起きしてダンジョンに行くぞ!」

「お、おお。ロアさんから早起きすると言い出すなんて……よっぽど楽しみにしていたんですね」

「ああ、新しい魔法を使うのはワクワクするからな。と、いうことでもう寝よう」

「はい。じゃあ私も部屋に戻りますね。おやすみなさい」

「おやすみ」



 ◇



 翌朝。


「ロアさん、起きてください。昨日、早起きするって言ってましたよね?」


 部屋に入ってきたソニアが俺の布団を奪い、強引に起こしてきた。

 俺は意地でも目を開けない。


「……睡眠欲には勝てなかったよ。もう少し寝かせて……」

「昨日あれだけやる気だったじゃないですか」

「人って簡単に変わってしまうんだ。いい勉強になったな」

「変わらないでください。ほら、起きますよ」

「うううう〜〜〜〜〜〜〜〜! ……しゃーない、起きるか」

「あの、言ってることとやってることが逆なんですけど」


 気づけば俺は布団を身体にグルグルに巻きつけていた。


「これが布団の魔力ってやつか。恐ろしいな」

「もう、バカやってないで早く起きましょうよ」


 布団を引っ張られ、俺は床をぐるんぐるん転がった。


「……はい」


 もう俺に『寝る』という選択肢は残されていないらしい。


 そして『ルンベルク』のダンジョンに行き、『レッドアーマークラブ』を倒して151レベル。



『【魔法創造】の効果により《稲妻雷轟》を創造しました』



 決行3日目にして、《稲妻雷轟》を取得するのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る