第25話 [魔法の指輪]
《稲妻雷轟》は基本ダメージが高く、範囲攻撃な代わりに詠唱時間とクールタイムが他の魔法よりも長いな。
それに消費MPも多い。
レベルを消費した直後だと《稲妻雷轟》は使えない。
まぁレベルが上がってMPが増えるまで《投雷》で代用すればいいか。
……でも、低レベルから範囲攻撃で一気にDランクの魔物を倒してレベルアップするところを俺は見たい。
低レベルのときは1体で30レベルぐらいどーんっ! と、上がる。
パーティを解消して経験値を分散させずに俺だけに集めれば……めちゃくちゃ気持ち良さそう。
爽快感が半端じゃないだろうな。
うん。
味わいたい。
そのために俺は【アイテム作成】で何かいい装備がないか調べることにした。
んー、何かないかなぁ。
MPが上がるような装備とかあってくれればいいんだけど。
普通の鎧とか兜とか盾とか……そこらへんは冒険者がよく装備してるけど、MPが上がりそうなイメージは全くないな。
装備の一覧をずらーっと見ていく。
そしてアクセサリーの指輪の欄に俺は注目した。
なんかMPが上がるようなものあっても良さそうな雰囲気がある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[魔法の指輪]
消費レベル:50
効果:MP+400
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おお!
MPがちょうど400も上がる指輪を発見した。
もうこれ作ったほうがいいんじゃないか?
消費レベル50だし、それぐらいならすぐ稼げるだろう。
『【アイテム作成】の効果により[魔法の指輪]を1つ作成しました』
……作りました!
早速出来た指輪を右手の人差し指につける。
どうやらこの指輪は魔石を加工して作られたもののようだ。
これだけでMPが上がるのか。
不思議だな。
なんか魔法効果がかかってたりするのかね。
よく知らないけど。
明日になったらソニアに《稲妻雷轟》を使った俺の作戦を教えてあげないとな。
……作戦というよりもただの願いな気がしたけど、まぁ気にしなくていいだろう。
◇
翌日、冒険者ギルドで食事中に俺は昨日の考えをソニアに伝えた。
「なるほど、範囲攻撃の魔法ですか。私が魔物を何体も引き連れてロアさんがそれを一気に倒す……。うーん、これ私結構危険じゃないですか?」
「問題はそこだな。ソニアはダンジョン内の魔物からの攻撃をどれだけ耐えられるんだ?」
「戦う魔物の数にも寄りますが、何体も魔物を引き連れていた場合、袋叩きにされるとひとたまりも無いですね」
「……うーん、じゃあ無理だな」
「……いえ、私やります」
「お、なんか策でも思いついたか?」
「気合……ですね」
「そっか、気合かぁ……じゃあやめておこう」
「ロアさんがしたいことなら私なんでもやりますよ」
「ありがたいけど、リスクあるしな。それに冷静に考えてみれば、魔物を連れて集めてる時間があるなら《投雷》で倒せばいいんだよな」
「そうなんですよね……」
……いや、待てよ。
あるじゃないか。
《稲妻雷轟》を有効活用出来る場所が。
「──ソニア! モンスターハウスだ!」
「あっ、なるほど! 確かにモンスターハウスなら範囲攻撃の魔法が有用ですね」
モンスターハウスとはダンジョン内の魔物が大量に出現した空間のことである。
Dランク以上のダンジョンから発生する仕掛けだ。
「見たことないけど、聞こえてくる話は結構な数の魔物がいるそうだからな」
モンスターハウスについて喋っている冒険者がいたのだ。
逃げて帰ってきたことを武勇伝のように語っていたから何故か凄い印象に残っていた。
「ギルドでの依頼に貼り出されるぐらいですもんね」
「そう。それがデカい気がするんだよ。見つける手間も省けるし、ギルドにも貢献できるし、経験値もおいしい。一石三鳥じゃないか?」
「その用途以外でも魔物達に囲まれたときとかに便利そうですね。《稲妻雷轟》は取得しても無駄にはならないと思います」
「よし、じゃあしばらくは《稲妻雷轟》の取得を目指してレベルを上げようか」
「はい。取得するのが楽しみですね」
「だな」
「……それはそうと、その指輪、ロアさんに似合ってますね」
「お、そうか?」
ソニアに指輪をつけた右手を見せつける。
「……ロアさんって綺麗な手してますね」
「ふ、まあな」
「節高で細くて長い指です。指輪が映えますね」
「うん。説明ありがとう」
「いえいえ」
飯を食ったあと、俺達はいつものように『ルンベルクのダンジョン』に向かうのだった。
さて、《稲妻雷轟》の取得を目指して頑張りますか。
ロア:51レベル。
《稲妻雷轟》取得まであと100レベル。
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