第27話 《稲妻雷轟》
「レベル1になったけど、これで《稲妻雷轟》を使えるようになったな」
「一度どんな感じか見てみたいですね」
「そうだな。とりあえずパーティ組み直すか」
そう言って俺はソニアにパーティ申請を送ろうとしたが、送れない。
あれ?
なんでだ?
「……あ、多分今はパーティ組めませんね。私とロアさんでレベル差が100以上あるので」
「レベル差が100以上あるとパーティを組めないのか」
「はい。理由は私も知りませんが……」
「不便だなぁ。まぁ神様もそこまで楽はさせないってことだろうか」
レベル差が大きい人とパーティが組めたら、高ランクの魔物を倒し放題とかになっちゃうわけだ。
「《稲妻雷轟》の試し撃ちでもすれば、多分一瞬で50レベルぐらいは上がりますよ」
「そうだな」
50レベルって【魔法創造】を取得する前に1年かけてあげたレベルだなぁ……。
それをもう一瞬で上げられるようになるとは。
「1体や2体に撃つのはつまらないと思うので、何体か私が引き連れて来ますね」
「あんまり多くなくていいぞ。3~4体いれば十分だ。安全を一番に優先しろよ」
「はい。お気遣いありがとうございます」
……と、言ったのだが。
「ロアさーん、すみません! 助けてくださーい!」
ソニアはなんと8体もの魔物を引き連れて走っていた。
最初の2体を引き連れるところは良かった。
だが、そこからが問題だった。
ソニアはどんどんいろんな場所に向かっていき、走れば走るほど引き連れる魔物の数は多くなっていった。
たぶんこういう場面では、一度行った場所を行き来して魔物との距離を保つのだと思っていた。
俺は斬新な方法だな~、と思っていたら、珍しくソニアがドジをしたのだ。
まぁちょうどいい。
これだけの魔物を一気に倒せるのは中々爽快感がありそうだ。
「ソニア、こっちに向かって走ってこい!
「は、はいっ!」
「──《稲妻雷轟》」
魔法陣を展開する。
詠唱時間は7秒。
範囲攻撃ということもあり、使い方を間違えればソニアにも直撃してしまう恐れがある。
だから《稲妻雷轟》を使うタイミングは正確でなければいけない。
詠唱を開始してから7秒後にソニアが俺の横を過ぎ去る瞬間。
それを逆算して俺は《稲妻雷轟》の詠唱を開始した。
なに、俺もただボーっとソニアが走っていたのを見たわけではない。
ちゃんと7秒でソニアが走れる距離を目算していたのだ。
「はぁ……はぁ……」
ソニアの息が切れてきた。
スタミナが不足してきたのだろう。
……あれ? 走るスピードも落ちてる。
これはちょっとヤバいかもしれない。
「ダッシュ! ダッシュ! 魔物に追い付かれるぞ!」
俺はエールを送る。
もう少しで攻撃範囲外に出れそうだが、そろそろ7秒が経過してしまう。
「ソニア! 飛べ!」
「──はいっ!」
ソニアが身体を伸ばして、前に飛んだところで、7秒が経過した。
《稲妻雷轟》が放たれた。
幾多もの稲妻が空間をジグザグに裂いた。
その閃光が眩しく、俺は右腕を顔の前に持っていく。
ビリビリビリビリビリビリッ!!!!
ドカーンッ!!!!
『自身よりも強い敵を倒したため、経験値が加算されました』
『レベルが50上がりました』
『自身よりも強い敵を倒したため、経験値が加算されました』
『レベルが25上がりました』
『自身よりも強い敵を倒したため、経験値が加算されました』
『レベルが15上がりました』
『自身よりも強い敵を倒したため、経験値が加算されました』
『レベルが8上がりました』
『自身よりも強い敵を倒したため、経験値が加算されました』
『レベルが4上がりました』
『自身よりも強い敵を倒したため、経験値が加算されました』
『レベルが3上がりました』
『自身よりも強い敵を倒したため、経験値が加算されました』
『レベルが2上がりました』
『自身よりも強い敵を倒したため、経験値が加算されました』
『レベルが2上がりました』
……めちゃくちゃレベル上がったな。
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ロア・フォイル 19歳 男
称号:[フォイルのダンジョン踏破者]
レベル:110
HP:690/690 MP:1110/1110
攻撃力:119
防御力:102
ユニークスキル:【アイテム作成】【魔法創造】
魔法:《生活魔法》《火槍》《アイテムボックス(極小)》《豪火球》《投雷》《稲妻雷轟》
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一気に110レベルまで上がっただと……!?
き、気持ちいい……っ!
なんて爽快なんだ!
……と、そんなことよりソニア大丈夫か?
「立てるか?」
俺は地面に倒れたままのソニアに手を差し伸べる。
ソニアはその手を握り、立ち上がった。
「……まさか、あんなに魔物を引き連れることになるとは予想していませんでした」
「もうちょっと走る場所考えような……」
「うっ……返す言葉がありませんね……。助けて頂き、ありがとうございます」
「気にするなよ。おかげで俺もめちゃくちゃレベルが上がった」
「何レベルになったんですか?」
「110レベルだ」
「結構上がりましたね」
「ああ、《稲妻雷轟》をモンスターハウスでぶっ放せばとんでもないことになるぜ」
「ふふっ、楽しみですね」
「だな」
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