第19話 消費レベル150で300万ムル稼げちゃいます!
馬車の持ち主はマーシャという名前で行商人をやっているらしい。
背は小さいけど、ちゃんと大人みたいだ。
俺達も自己紹介をして、名前と冒険者をやっていることを伝えた。
「では荷台に乗ってください! ちょっと色々と商品を運んでいますが、なんとか乗るだけのスペースはあると思うっす!」
マーシャがそう言うので、荷台に上がってみると、座る空きが全く無いぐらいに荷物が入っていた。
「いや、乗れねーよ」
「ええっ!? じゃ、じゃあどうしましょうかねぇ? 私も商品を結構抱えているもんでして……」
「……一番面積を取っている商品は?」
「ルンベルクは冒険者が結構多いんで装備品が多いっすね〜。そいつらで結構場所取ってるかもしれないっす」
「よし分かった」
俺は《アイテムボックス》から食材を取り出し、バックパックの空いてるところに詰め込んだ。
「今どこからその食材を出したっすか……?」
マーシャは不思議そうにこちらを見る。
説明するのはたっぷりとある移動時間のときで良いだろう。
俺は無視して荷台に乗り込んで、邪魔そうな装備を《アイテムボックス》に入れていく。
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【アイテムボックス】
[MP回復薬] ×85
[鉄の鎧] ×5
[鉄の盾] ×7
[鉄の剣] ×10
[鉄の槍] ×8
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しかし《アイテムボックス》はマジで便利だな。
【魔法創造】でどんな魔法があるか調べたとき(極小)以外に(小)(中)ってあったから、こいつらを取れば収納できるブロック数が多くなるんだろうな。
(小)は確か消費レベル100だったから、余裕があるときに是非取得しておきたいもんだ。
てか、収納した装備品、全部鉄だな。
なんでこんなに鉄が多いんだ?
きっと、ルンベルクに住む冒険者達が鉄の装備をよく買うのだろう。
俺は自問自答した。
「き、き、消えたっす……!? 魔法使いってそんなことまで出来るんすか……?」
マーシャが腰を抜かして驚いていた。
そんなに驚くことか?
「ロアさん、ちょっと」
「ん?」
ソニアが俺の肩をトントン、と軽く叩いた。
「マーシャさん、もしかして装備品が無くなってショックを受けてるんじゃないですか?」
耳元でソニアが話しかけてきた。
なるほど、確かに説明していないとそう思われても仕方ないな。
「あの装備品はルンベルクに着いたらちゃんと返すから安心してくれ」
「あ、は、はいっ。ありがとうございます! それで装備品はどこにしまったんすか?」
「《アイテムボックス》って魔法を使ったんだ。まぁ詳しいことは移動中に話すよ。とっとと出ようぜ」
「分かりましたっす! それじゃあお二人さん、荷台に乗ってください!」
俺とソニアは座るスペースが出来た荷台に乗り込み、場者は出発した。
「それで《アイテムボックス》ってなんなんすか? もっと教えてほしいっす!」
「異空間にアイテムを収納出来るスペースを5ブロック作成する。1ブロックにつき、1種類のアイテムを収納でき、上限は100個」
「なんかいきなり説明文っすね」
「《アイテムボックス》の効果を読み上げたんだ。これで理解できたか?」
「まぁ、なんとなく理解できたっす! つまり[マジックバッグ]の魔法版って感じっすね! うぅ~! 羨ましいっすなぁ!」
「なんだその[マジックバッグ]ってやつは」
「魔導具っすね! 商人なら誰もが欲しがる憧れの魔導具っす!」
「ふ~ん、なるほどね」
【アイテム作成】で作れたりするのかな。
暇だから俺は【アイテム作成】で作れないか調べてみた。
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[マジックバッグ]
消費レベル:150
効果:異空間にアイテムを収納出来るスペースを30ブロック作成する。1ブロックにつき、1種類のアイテムを収納でき、上限は100個。
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……ああ、作れるわ。
でもこれ、アイテムとして使っていくなら壊れる可能性もあるし、[マジックバッグ]を持ち運ばなきゃいけないんだろ?
ちょっと使い勝手が悪いな。
うーん、作るとしたらお金稼ぎ用かな?
相場がどれぐらいかマーシャに聞いてみるか。
「その[マジックバッグ]の相場って大体どれぐらいなんだ?」
「そうっすね~、大体300万ムルぐらいじゃないっすかね。作れる魔導技師が結構限られてたりするっぽいんであまり出回らないらしいんすよね~」
「300万ムル!?」
「まぁ妥当な価格っすよ。あんな便利なもの中々ありませんし」
おいおい……300万ムルって結構な額だぞ?
これはちょっと150レベルになったら[マジックバッグ]作るか?
……いや、別に作らなくていいわ。
金の使い道分からないし、それよりも強い魔法覚えた方が絶対いいわ。
俺は冷静になった。
「……あの、凄い話戻って申し訳ないんですけど、マーシャさんはどうしてグリズリーに襲われていたんですか?」
「あー、そうえいばここは温厚な魔物しかいないんだったよな」
「なんかいたっすね、グリズリー。初めて遭遇したっすよ。ロアさんいなかったら今頃私はグリズリーの胃の中っす」
「まぁそうだろうな」
「世の中は弱肉強食っす……! 残酷っす!」
この子明るいな。
「それならたぶん魔素溜まりが出来たのかもしれませんね。魔物が出現しないことが続くと、魔素が溜まっていって、その地域に住む魔物よりも強力な魔物が出現することがあるんですよ」
「へー、さすがソニア。博識だ」
「あ、いえ。そんな……。さっきロアさんにここら辺は温厚な魔物しかいないと言ったので、ちょっと弁明したくて……」
「うん。なんか俺もそうなんじゃないかと少し思った」
「あはは……」
「災難だったっす! ロアさんにはほんと感謝しかないっす!」
「おう。俺も馬車に乗せて貰えて感謝してるぜ」
Dランクの魔物も倒せて、馬車にも乗せてもらえたからな。
めちゃめちゃ美味しい話だ。
このあと馬車は問題なく走り続けた。
今日は野宿で夜を過ごした。
そして翌日、俺たちはルンベルクに到着するのだった。
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