第4話 【アイテム作成】の有効活用
『フォイルのダンジョン』にやってきた。
ここで出現する魔物は最低でもEランクのモンスターだ。
以前の俺なら一体を相手にしても倒す時間が長引くので、その間に他の魔物も襲ってきて、まともに戦うことが出来なかった。
さて《火槍》はどれぐらい通用するかな。
ダンジョン内を探索していると、早速コボルトファイターを発見した。
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【コボルトファイター】
討伐推奨レベル:32
ランク:E
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物陰に隠れながら探索したおかげでコボルトファイターは、こちらに気付いていない。
これはチャンスだ。
「《火槍》」
詠唱すると、足元に魔法陣が展開された。
なんかカッコいい。
それにコボルトファイターは気付くが、襲いかかってきたときにはもう遅い。
詠唱時間の4秒が過ぎて、炎で出来た槍がコボルトファイターに向けて発射された。
「キャウン!」
《火槍》はコボルトファイターを貫き、一撃で倒した。
「おおおおお! 魔法すげえ!」
俺は興奮のあまり、大きな声を出した。
『自身よりも強い敵を倒ししたため、経験値が加算されました』
『レベルが10上がりました』
聞き慣れないメッセージが頭の中で響いた。
自身よりも強い敵を倒すと経験値が増えるのか……。
てか、そんなことよりも10レベル上がったって言ってなかったか!?
マジ?
聞き間違えとかじゃないよな!?
俺は半信半疑でステータスを開いた。
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ロア・フォイル 19歳 男
レベル:11
HP:90/90 MP:116/116
攻撃力:24
防御力:17
ユニークスキル:【アイテム作成】【魔法創造】
魔法:《生活魔法》《火槍》
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うわ、本当に10レベルも上がってるよ……。
今までこれだけ上げるのにだいぶ時間がかかってたけど、魔法使えば一発じゃん……。
俺は地味にガッカリした。
だけど、これは凄いぞ。
自分より強い敵と戦えば、経験値は加算されるなら俺はとても有利だ。
何故なら、消費レベルが多い魔法を取得すればするほど、強い敵を倒せるようになる。
面白い。
成長するってこんなにも面白いものだったんだな。
俺は今、人生で一番充実している。
この面白さにかなうものはないだろう。
生活を良くするとか、金持ちになりたいとか、そんなことよりも優先してしまいそうだ。
──俺は【魔法創造】で魔法を極めよう。
「ふっふっふ、俺の人生もやっと楽しくなってきたな」
よし、この調子で魔物を倒していって50レベルの《豪火球》を取得するぞ!
……いや、ちょっと待てよ。
レベルが上がればMPは回復するが、高くなっていけばレベルを上げるのに必要な敵の数も増えて来る。
MPを使い切る前にレベルを上げられない状況も当たり前のように起きるだろう。
だったら、MPを回復する手段が無いと困るな。
「……あ、そうだ」
良いことを思いついた。
俺は【アイテム作成】を発動して、あるアイテムを探す。
よし、これだ。
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[MP回復薬]
消費レベル:10
効果:使用すると、MPを300回復する。
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消費レベル10でMPを回復する手段を作ることが出来るのだ。
つまり、Eランクの魔物を倒しただけ[MP回復薬]を作成することが出来る。
ふふふ、これは良いぞ。
バックパックが一杯になるまで[MP回復薬]を作るのは良い作戦かもしれない。
売ればそれなりの額にもなる。
「よし、これは迷わず[MP回復薬]を作成だ!」
『【アイテム作成】の効果により[MP回復薬]を1つ作成しました』
手元に青色の液体が入った小さな瓶が現れた。
これが[MP回復薬]だ。
俺は作成した[MP回復薬]をバックパックにしまう。
よし、この調子でドンドン[MP回復薬]を作成していこう。
使う機会が無いと思っていた【アイテム作成】だが、【魔法創造】を手にした今、かなり使い勝手のいいスキルかもしれないな。
「おっと、コボルトファイターの魔石と素材も回収しないとな」
でもこれでバックパックの容量が埋まっていくなら、[MP回復薬]の確保を優先した方がいいな。
まぁ入り切らなくなってきたら素材は捨てていこう。
そして俺は時間の許す限り、Eランクの魔物達を狩るのだった。
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【今日の戦果】
[MP回復薬]×10
[魔石(Eランク)]×10
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魔物の素材を剥ぎ取る時間よりをレベル上げにあてたかったので、最低限、他よりも価値の高い魔石だけ取って次の魔物を探した。
Eランクの魔石はFランクの魔石の5倍の値段で売ることが出来る。
Fランクの魔石は1個につき、400ムル。
Eランクの魔石は1個につき、2000ムルだ。
ちなみにMP回復薬は1個につき、10000ムルだ。
高いね。
そして今日の反省点は、魔物に見つかって逃げる場面がいくつかあったことだ。
欲を出さずにしっかりと隠れた方が良いな。
バックパックはまだ空きがあるので、明日も[MP回復薬]の作成に励みたいと思う。
この日、冒険者ギルドで素材の換金は魔石だけにした。
魔石だけでも今までの何倍もの収入だ。
しかし、換金をした際に俺は驚かれると同時に窃盗の疑いがかけられてしまった。
魔法を覚えたと言って切り抜けることが出来たが、明日、ギルドで魔法が使えることを証明しなければいけなくなった。
魔法使いのカーターがめちゃくちゃ「泥棒だ!」と、騒いだせいだろう。
ギルドの職員も普通に信じちゃうし。
どうやら俺の信用は何も無いようだ。
この無能のレッテルが剥がれるのはいつのことやら。
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