第3話 《生活魔法》

 どうやら《火槍》を無事に取得できたようだ。

 メッセージは創造しました、って言ってるから取得っていうより創造か?

 まぁそんなこと拘らなくてもいいか。

 取得の方が分かりやすい。


 25レベル消費されて、現在25レベルな訳だが、ここまで来たら全部使ってしまおう。

 レベルは低いときの方が上げやすい。

 使えるときにレベルを使う方が効率は良いだろう。


 何を取ろうか。

 《火槍》以外の25レベルで取得できる他属性の魔法に使うのも有りだ。

 しかし、消費レベルが1とか2の魔法が割とあるんだよな。

 結構便利そうだし、こいつら取得してしまっても損はしないと思う。

 んー、取得してしまおう。



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『【魔法創造】の効果により《発光》を創造しました』

『【魔法創造】の効果により《着火》を創造しました』

『【魔法創造】の効果により《飲水》を創造しました』

『【魔法創造】の効果により《記述》を創造しました』

『【魔法創造】の効果により《清潔》を創造しました』


 ……etc


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 低レベルの魔法を取得していったら丁度レベルが1になった。

 多分、これが《魔法創造》の効率の良い使い方なはずだ。



『全ての生活魔法を創造したため、それらの魔法を統合し《生活魔法》となりました』



 ん? 一体どういうことだ?

 ステータスを開いてみる。



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 ロア・フォイル 19歳 男 

 レベル:1

 HP:60/60 MP:80/80

 攻撃力:15

 防御力:10

 ユニークスキル:【アイテム作成】【魔法創造】

 魔法:《生活魔法》《火槍》


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 なるほど、こういうことか。

 そのカテゴリーに属する魔法を全て入手すると、このように《生活魔法》として一括りにされるのだろう。

 便利だ。


 ……あっ、MPの値結構下がってしまったな。

 ステータスが下がることすっかり忘れていた。

 これは《豪火球》取らなくて本当によかったな。

 取っていたら宝の持ち腐れだった。

 《火槍》をギリギリ2回打てるのが不幸中の幸いといったところか。


「まぁレベルが上がればMPの最大値も増えていくし、なんとかなるだろう」


 俺はそう前向きに考えて、眠ることにした。



 ◇



「朝か……」


 目を覚めると、陽はすっかりと昇っていた。

 久しぶりに幸せな気分で寝たから、どうやら寝過ぎてしまったようだ。


「とりあえず、ギルドに行くか」


 俺は宿から出て、ふわぁ、とあくびをしながらギルドへの道を歩く。

 村の人達はせっせと仕事に明け暮れている。

 ご苦労なことだ。


 そして俺はギルドに到着し、軽い食事を済ませた。


「さて、行くか。本当の『フォイルのダンジョン』へ」


 ここフォイル村にはダンジョンが2つある。

 FランクのダンジョンとEランクのダンジョン。

 どちらも同じ名称なのだが、冒険者の間では、Fランクの『フォイルのダンジョン』に行くのは駆け出しの冒険者ぐらいなので、基本的に『フォイルのダンジョン』と言えばEランクの方なのだ。


 だから1年間もFランクの『フォイルのダンジョン』に通っている俺は、誰が見ても間抜けにしか見えないのだ。

 これが俺が『無能』と呼ばれる一番の理由だ。

 まぁパーティを組めれば俺もEランクの方に行けたはずなんだけどな……!

 ぼっちは辛いね、まったく。


『火槍』のダメージは結構高かったので、Eランクの魔物相手も大丈夫だと思う。

 まぁ、一撃で倒せなかったときは引き返してくればいいさ。

 Eランクの魔物と普通に対峙するのは1レベルの俺には無理だからな。


 そう心に決めて、俺はEランクの『フォイルのダンジョン』に向かうのだった。

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