番外 カラスもあそぶ

 自室のベッドに横になってると、朝ごろに外から、金具に引っ掛けた物干し竿をゴロンと転がすような、音がするようになって数年たった。カラスだ。

 カラスがウチの軒先で遊んでいるのだ。

 カラスが遊ぶことを知ったのはここ数年前で、外で遊んでいるカラスを観察したから知ったのである。

 何をして遊んでいるかというと、蹴爪でトタンの音を楽しんでいるほか、狭い隙間を何度も通り抜け、最近では物干し竿の上に止まり、前後に動きバランスとりをしたり、獲物をとる訓練のようなダンスを繰り返している。

 ただ不思議なのは、このカラスのみのユニークな行動なのかわからない。

 カラスの一人遊びなのか、カラス同士の遊びの一環なのか。

 いやそもそもカラスの寿命がわからないので、おなじカラスが毎年遊んでいるのかも知れないなあ。

 遊びをカラスAからBへ教えるなんて事がありえるのかな。

 というわけで、秋から冬にかけて、ウチの軒先で週一ペースでカラスがいるので大変わずらわしい。そんな光景というか音と若干の振動がまた今年もやってきたのであった。

 カラスが遊ぶなんて、最初は考えもしなかったが、何度か観察するとウチの軒先をお気に入りのようで、何度追い払ってもしつこく遊ぶ姿は、まるで近所の悪ガキか何かに見える。こっちがまるで漫画に出てくるかみなり親父みたいなもんだ。

 雑な検索でカラスも遊ぶようだし、その姿を動画にしたモノが確認できる。

 へえ、滑り台でもカラスが遊ぶのか。ならウチでも遊ぶのは仕方ない。

 とはいえ、ごとごとかつかつうるさいので退治したいのだが、特定の個体をという訳にはいくまいなと思ったりしている。

 遊びもエスカレートして物干し竿をぐわんぐわんいわせるようになったので、困っているのだけど。

 と、カーテンをあけてじっとみつめていると「何かようですか?」とばかり、すっとぼけた表情でかたまり、やおら羽ばたいてにげだしていく。

 ずいぶんと身勝手なやつだ。

 追記。二〇二〇年年末のある日、朝から用事のため外出せなばならない時に、たまたま自室を外から眺めたら、遊んでいる二羽のカラスが目に入った。

 ああ、一羽ぼっちで遊んでいるのではなく、片方が見張りをしつつ遊びの伝承もできているのかと納得したのであった。迷惑なので退治も考えているがそれは別の話だ。

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