第7話 恋愛マスター
あれから数時間がたった
真っ黒なスマホの画面を見つめる
メール・・・したらウザいかな?
って言うか
メールでなんて言ったらいいのかな?
同部屋の幸助がそんな俺に話しかける
「悩みか?」幸助
俺は幸助に目をやって
返事もしないでまたスマホに目をやる
「・・・なんだよ!!言えよ!!
そんな意味あり気にスマホばっかり見てたら
聞くだろ?」幸助
今は幸助の陽気な性格がウザい
俺はベットに転がって布団をかぶる
「奏ちゃんの事だろ?」幸助
布団を蹴り上げ体を起こし
幸助を睨むように見る
「どうして?」愁
幸助は釣り上げた魚を見るように
俺の方をにやりとした不敵な笑みを浮かべながら見た
「サッカーバカの単細胞なお前がそんな顔するなんて
奏ちゃんの事しかないだろ!!」幸助
偉そうな言い方
ムカつくが当たっているだけに・・・
「恋愛マスターの俺に言えって
解決するかもよ~」幸助
恋愛マスターかどうかは良く分からないけど
少なくとも俺よりは女の子の事が分かるだろうし
俺自身も
誰かに話したい
話せばこのムカムカも少しはおさまるのかもしれないと思って
俺は幸助に
先日、先輩と出かけたときに会った子たちから聞いたこと
今日、起こったことを
できるだけ主観を入れないように
忠実に話した
幸助は珍しく
真剣な表情で静かに聞いた
何度も何度もウンウンとうなずきながら
相槌以外の言葉は挟まづに・・・
全てを話し終えると
幸助は少し上を向いて・・・考えているのかな?
しばらくそのままで・・・
そして
話し始めた
「奏ちゃんってさ
俺も一回くらいしか会ってないからよく分からないけど
もしかしたらかなりの天然ちゃんなんじゃないの?
二股とかじゃなくって
両天秤みたいなことでもなくってさ
純粋に
お前の彼女なんだけど・・・
普通
彼氏とかいたら
誤解される行動とかしないし
まさかの
本人(彼氏)目の前に噂の男を連れてこないだろ?
っていうか
まわりが噂しているだけで
彼女はその男の事をそんな風に見てないから
お前の前に連れてきて紹介したんだろうな
しかしあれだな
隙だらけだとも言えるよな・・・スカスカだ
その男もその隙に入り込んでる感もする
奏ちゃんの事
好きなんだろうな・・・
なんで愁が告る前に自分のものにしなかったのかな?
近くに居るから安心してたのかな?
学校では自分たちは付き合ってる感じに見られてたんだろうから・・・
急いでなかったのかもしれないな
ゆっくり時間をかけて
自分のものにしたかったんだろうな・・・
プライド高目なんじゃねーの?
お前の存在は
その男にとっては計算違いだったんだろうな
そう考えると奏ちゃんの天然って
まわりの好いてくれてる男の気持ちが分かってないって言うか・・・
悪女だな
だってさ
穏やかで優しくって静かで
人格に歪みなしだし
容姿端麗じゃん
しかも賢くってさ・・・
そんなのただの美少女じゃん
好きになるって!!近くに居る奴なんていちころなんじゃねーの?
お前だって好きになるくらいだよ
俺はずっと
お前はサッカー以外興味なくって
女の子の事を好きになるなんて
想像もつかなかったんだから!!
だって何人の告白をドライに断ってきたんだよ!
こっちは全くモテないのに
おこぼれでいいから欲しいって!!
そんな愁だよ
お前に恋心を植え付けた子だよ
奏ちゃんっていう子は
それほどの子だからさ
敵は多いよ
しっかりガードしていかないとな
束縛とかじゃなくって
上手く上手くやってかないと
サラッと持っていかれるな・・・」幸助
幸助の流れるような解説に俺は聞き入って
黙り込んでいた
お見事だった
俺が考えもつかない
奏とは?
を的をはずしすぎることも無く
しっかり分析して
こいつ
マジで
恋愛マスターなのかもしれないと
思わせるくらいのコメント力だった
ぼんやり固まる俺に
幸助はやり切ったような自信ありありな表情を見せつけた
少しその顔がイラついたが
今日の所は感謝が上回っていた
奏には明日メールしよう
内容は何でもないような事で・・・
幸助のおかげで今夜はこのまま眠れそうだ
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