第7話 いざ!洞窟探検!

勇者は王城へと戻るため今朝イスクールの町を離れちょうど北に進んでいくと着く地下大洞窟へと足を運んでいた。


この地下大洞窟はこの大陸で1番広大な洞窟であり、その名前の通りこの洞窟は地下に洞窟が広がっておりさらにはこの洞窟なんと、川底のさらにその下に洞窟が存在している。

そこに流れる川はこの大陸に流れる川の中で一番広く大きい川であり、その川の上流の位置にある洞窟なのでそこそこ川底は深くなっている。


つまりこの洞窟は大陸一大きな川の川底のさらにその下に広がっている大洞窟ということである。

さらにはこの洞窟は他の洞窟もそうなのだが当然と言っては当然だが、日光が射さないので明かりがないと真っ暗である。

他の洞窟であれば壁に松明の明かりが照らされており難なく進んでいくことができるのだが何せ川底の洞窟であり、頭上はすぐ先には広大な川の川底となっておりそこから垂れ下がってきた水滴のせいで明かりが消えてしまうことがしばしばありもうこの洞窟の明かりは使い物にならない状態だ。


あいにく勇者も松明をイスクールの町で調達していなかったため勇者の手元には明かりを灯す道具が存在しない……

だがこんな場合の唯一の手段は明かりを灯す「レギート」という呪文がありこの魔法があれば難なくこの洞窟を抜けることができるが…………


それがなぜかこの勇者、そんなこと頭の内に考えておらずましてはこの明かりを灯すこの呪文の名前さえ覚えていなかった…………

そんな勇者は自信ありげに洞窟の階段を軽やかに下りていく…………



「ふ~っ、やっぱりあんな薄暗くて気味の悪い洞窟より地上のこの光の方が断然気持ちいいな~」


勇者は反対側の地下大洞窟の出入口までものの数分足らずの時間で反対側の地上に到着した。


勇者が初めてこの洞窟を訪れた際は光があっても最低一時間弱はかかるほどの広い洞窟なのになぜ勇者はこの洞窟をこんな短時間で反対側の地上まで出られたのかという理由は本当に単純にこの洞窟の仕組みを利用した方法であった。


まず、この洞窟は言ってしまえば入り口から出口までの距離はそこまで長い距離はなく、迷わずに一本道をたどればすぐに入り口から出口まで着けてしまえる。


そこで勇者は左手を左壁に触れながら進んでいったので最短で反対側の地上までの出口に到着することができたというわけだ。


もし逆にこちら側からイスクールの町がある場所に向かう際は右手を右壁に触れながら進んでいけば最短で着くことができる。


この発想も勇者が何回もこの洞窟に訪れて気がついたことであるのでこの洞窟もやはり’経験値’により攻略することができたというわけだ。


「それにしても洞窟にもまものはそんざいしなかったし、少し物足りなさがでてくるようになったなこの洞窟にも……まぁもしこの洞窟に他のギミックが存在していたらこう簡単にはいかなかっただろうな……」


勇者はこの洞窟には何回も苦しめられたが故に様々な思い出も存在した。


当時この洞窟には現在、王城におられる王女様が魔王によってこの洞窟のドラゴンが眠っている部屋に囚われていた。


何とかドラゴンを倒し王女様を救出したら安心したのかお姫様抱っこのまま王城まで送ってほしいて頼まれたな。


王女様となれば断れなかったからお姫様抱っこしたまま王城まで送ったけれどもあの時の王女様はすごい嬉しそうな表情をしていたな…………


そういえばその時にこの王女様の首飾りをいただいたんだ。


勇者は首飾りをそっと手に取るとあの時の王女様の嬉しそうにしていた表情を思い出す。


魔王にこの国が支配されそうになっているその中、それと同時にこの国に暮らす人々の笑顔は失っていった。


そんな中でも王女様の顔には笑顔が消えることはなかった。


王城に王女様をお連れした際にも王様や城の者たちみんなに笑顔が戻っていった。さらにはその隣の町の人々にも王女様がお戻りになられた噂を聞けばその街も笑顔で活気づいていた。


その噂も次第に広がって行きいつしか大陸全土にそのうわさが広がりこの世界の人々は笑顔を取り戻していった。


そしてこの勇者もそんな人々の笑顔を見ることができ救われた者だった。


「王女様がいなければ自分も魔王を討伐することもできなかっただろうし、この先の未来もどうなっていたのか分からないな」


今でも忘れられない王女様のあの表情。


「早く王城へと帰らなくちゃ……」


勇者は歩き出し王城へと続く道を進んでいく。

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