第6話 長き道のりへ

イスクールの町のみんなは町の中心に位置する広場へと集まっていた。

そこでは町の人々が歌ったり踊ったりご馳走を並べ活気に満ちていた。

どうやら、今宵イスクールの町では魔王討伐を祝して宴が行われていた。

そんな町のみんなが楽しく騒いでる中、ただ一人勇者は肩を小さくして土下座をさせられていた。


「勇者様!!その体では無理ができないので安静にしておいてくださいって申し上げたじゃありませんか!」


「す、すいませんでした…………」


最初のほうは広場の人気のない場所で怒られていたがいつの間にか次から次へと様子が気になり寄ってくることにより

人だかりができてしまい、注目を浴びることになってしまっていた。


その場にいたかの屈強な男もその場を止めようと入り込む。


「まあまあ……勇者様に負担をかけてしまい無理をさせてしまったのはもとはといえば俺の責任なんだし……」


男は女性を落ち着かせるように話すがさらに悪化させることになる。


「そうよ!そもそもあなたが勇者様に甘えてあんなことしなければこうはならなかったのよ!!」


「す、すまん……」


その矛先は男のほうへと向き男も勇者同様に何も言い返すことができない。

周りで見ていた町の人々はそんな二人をゲラゲラと笑いながらしゃべる。


(あんな強そうな二人でも本気の女性には勝てないもんなんだなぁw)

(勇者様は魔王は倒せても女性には敵わないんですね!)


すると突如としてその場に笑いが走る。


二人の男は深くため息をついた。


終わりのない説教が延々と続くと勇者は広場のほうへと向かう村長を目にすると女性の矛先が屈強な男に向いている間にすかさず抜け出して

村長のもとへと向かう。


「村長!ようやくお越しになられましたね」


「えぇ……どうやらこの体では少々厳しかったかもしれませんな」


村長がそういうと勇者は手を貸して宴の会場のほうへとお供した。

村長が広場に来るとお酒やご馳走を持ってきて町のみんなが村長のことを歓迎してくれていた。

どうやらこの状況をどうしていいかわからず困惑していた村長だったがその顔には喜びの表情があった。

村長とその手を持つ勇者は宴会の席に座り込む。


「町のみんながまたこのような笑顔を見せてくれ宴を楽しめているのも何もかも勇者様のおかげでございますよ。」


「いえいえ、私だってこの町の人々には救われましたからお互い様ですよ。」


「そういえば、急な話ですが私は翌朝この町を出て王都のほうへと向かわせていただきます。」


「えぇ……町のもの達には内緒にしておきますので……」


村長はこちらの事情も察してくれていた。


「ありがとうございます。町の人たちには宴を開いてくれたことに感謝を伝えてもらいたいのですが……」


「わかりました。私の口から皆に伝えておきましょう……さて、王城までは遠い道なりとなりますので馬を用意いたしますので……」


「いえ、お気を使わせてもらえることはありがたく存じますが……馬は使わずに自分の足で王城へと向かうことにします。ありのままのこの世界を旅してみたいんです……」


勇者がそういうと村長も納得してくれたみたいで


「そうですか、それと勇者様のお名前について気が付いたことが一つあるのですが……」



~翌朝~

勇者は身支度を整え、イスクールの町を後にした。

今朝もこの世界の天気は気持ちのいい朝であり、勇者は王都へと戻るべく足を進めるのであった。

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