第13話・最近の百足は空を飛ぶらしい
「ヤバイっす!ルナさん居ない状況であんなでかい百足どうするんすか!?」
「がはははは!逃げるしか無いだろうな!!」
『笑ってる場合ですか!?うわあぁぁキモイイィィ!!』
今僕達の乗る飛空船は、例のアビスセンティピードと絶賛チェイス中です、ちなみに師匠は行方不明です。
「まさかルナ嬢が船から落ちるとはなあ!がはははは!」
『師匠どこですかぁ!!』
◆◆◆数分前…
「では問題」
『はい』
「スケルトンはどういう魔物かい?」
『人の骨や魔物の骨にレイスが取り憑いた魔物です』
「正解」
船がアビスセンティピードに襲われる数分前師匠と僕はクイズで暇を潰していた。
ふと師匠が天井を見上げ。
「ん?甲板が騒がしいねぇ」
『…ですね、何か起きたんですかね?』
すると部屋の扉が荒々しい音をならしながら開く。
「ルナさんヤバイっす!」
「どうしたんだい?」
「百足っす!」
「あー…すぐ行く」
そう言って師匠と僕タナカで甲板へ向かう。
だがこの時ボクはあることを失念していた。
「がはははは!かたいなあ!!」
甲板へ上がると、巨大な百足に連射バリスタを射ちまくるゴルドがいた。
「ありゃ通常種よりでかいねぇ」
「ぴぎゃああああ!!??」
僕は思わず声帯を使って叫ぶ。
「レイセどうしたっすか!?」
『む、虫いやぁぁ!!』
ボクは虫が大の苦手でした、それこそカブトムシが触れないほどに。
「なるほどね、虫が嫌いなのね」
赤い眼が無数に生えた頭、人の歯のような口をガチガチと鳴らしている。
アビスセンティピードの何本あるか分からないほど生えた足は一定のリズムで動いていた。
「弾切れだ!ルナ嬢!後は頼んだぞ!」
「んじゃすぐ片付け…あ」
『し、師匠!!』
「ルナさぁん!!」
船に百足が体当たりすると、師匠は甲板から転げ落ちていった。
◆◆◆
これ詰んでない?
師匠もいない、連射バリスタの弾は切れた。
「レイセの魔法ならいけるんじゃないっすか?」
『…あ』
「は、早く撃ってください!」
『は、はい!』
ボクは百足に【
『ダメージなしです!』
「がっはは!バリスタでもダメージが入らねぇからなあ!」
そりゃさっき効いてなかったですし。
相当強固な甲殻を持っているらしい。
「おもいついたっす!」
タナカが何かを思い付いたかのように、叫ぶ。
『何か案が!』
「内側…」
『へ?』
今なんて?
「内側っすよ!」
『どこの!』
「百足のっすよ」
『嫌ですよ!!』
「即答!?」
『ボクに行かせるんでしょ!?』
「だがレイセ、あいつ倒さねぇと人が死ぬぞ」
『ぐっ、でも…』
すると、師匠の声が聞こえてくる。
『レイセ~、聞こえるか~い?』
し、師匠?生きてますか!?
『生きてるよー』
良かった…今どこですか?
『船体』
へ?船体
『そ、船体』
そ、それは良いとして、今上がってこれますか?
『無理だね、船体から出っ張った釘に引っ掛かってる状況だからねぇ』
それはやばくないですか?
『実際ヤバイ、だから我慢してくれるかい?』
…わかりました、やります。
『お二人、ボクやります』
「良かった!」
「きちーかも知れねぇけど頑張れよ!」
ボクは百足を追い抜いて、口が開いた隙に体内へ侵入した。
『ううう、ネトネトするぅ…』
百足の体内は複数の部屋の様になっている、その中には寄生虫や虫系の魔物が住み着いており1つのダンジョンみたいになっていた。
(そういや、
そんな事を考えて、気を紛らわせながら進んでいく。
タナカが言った通り、体内は柔らかく、肉の壁を切り開きながら進んでいく。
その道中に出てくる寄生虫の魔物も蹴散らしながら進んでいく、そうやって進んで行くと、一際大きな部屋に着いた。
部屋には鼓動する心臓のようなものがあった。
(これを破壊すれば倒せる…)
魔力を込めた魔法の【
すると、誰かの声が聞こえてきた。
「ククク、まさかこんなところまで来るのが下等な蝙蝠とはね」
『ッ!誰ですか!』
「へぇ、【念話】を使えるのねぇ、普通の魔物とは違うのかなぁ?ククク」
百足の肉壁から、女の人が這い出てくる。
一見すると普通の人間なのだが、足元にはアビスセンティピードを侵食しているで有ろう肉の管で繋がっていた。
『この百足はあなたが操ってるんですか?』
「いいわぁ、あなたはここまで来たからねぇ、冥土の土産にいいわぁ、そうねぇこの子は私が操ってるわよ」
『…船への攻撃をやめて貰っても?』
「嫌よ、あの船の船員はこの子の餌になって貰うんだから」
『ッ!ならボクが絶対止めます!』
「あらぁ、血の気が多い子は好きよ」
『というか!こんな所からは早く出たいんです!』
「ふふふ、わざと生かしたままにして虫の餌にしちゃおうかしら」
そんなの絶対にお断りです!
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