第7話・工房

ん、んーむ…頭が痛い。


「…じゃ…度…ベロ」


し…師匠?手に持ってる…のは、え?電話?


「お?起きたね」


『おは…ようござ…います』


「まぁ、おはようの時間帯ではないけどねぇ」


『その手に持っているのは?』


「これかい?これはクロスティッドって言う魔道

具でねぇ、電話とか言われてるねぇ」


『この世界にも有ったんですね』


「帝国の転生者が作ったそうだよ」


『僕以外にも居るんですか?』


「いっぱいいるねぇ、特に帝国マキナの工房組合は技術者の転生者が多いねぇ」


『マキナ?工房?』


「帝国マキナは、魔道具製造技術に長けていて銃なんて言う武器を作っていたねぇ」


『銃なんて物があるのか…』


銃…前世でも実物は見たことがないから、少し気になる。


「次に工房とは、魔道具設計開発に携わる組織のことで、工房の技術者のことをアーティスト呼ぶ、工房には幾つもの派閥が有るんだ、有名な工房は《爆炎の戦槌》とかが特に有名だねぇ」


『工房とか、凄い見てみたいです』


「興味が有るのかい?」


『はい!』


「存在進化後なのに、元気いいねぇ」


『そういえば、師匠』


「ん?」


『僕が存在進化するときに、赤い鎖で覆われたじゃないですか』

「うん、そうだねぇ」


『あれ、何ですか?』


「生き物が存在進化する時は急に眠くなって、寝てる間に身体が変化する場合と、長い時間をかけて身体が徐々に変形する場合と、そのどっちにも当てはまらない場合が有るんだ」


『そうなんですね』


「そそ」


存在進化ってそんな感じなんだね、意識がある状態で身体が変形する…考えるだけで恐ろしい、痛みとか凄そう。


「話を戻すとして、工房の魔道具には品質によって、6段階の階級分けがされていて、5級から1級、そして特殊枠としてアーティファクトって言うのが有るねぇ」


『アーティファクト?』


「アーティファクトと言うのは魔道具の最上位の物でねぇ、強力なのも多い…そういえばすっかり工房祭の時期だねぇ」


『工房祭?』


「夏に開催されて、いろんな工房が制作した、新しい魔道具を発表する祭りだねぇ」


『見てみたいです!!』


《爆炎の戦槌》とか、超気になる!!!


「行くとしたら、従魔としての扱いになるけど良いかな?」


『お願いします!』


「私としても、弟子の一人に会いに行かないとだからねぇ」


『他にも弟子が居たんですか?』


「そりゃ、長年生きていれば弟子の3人や2人いるよ」


『あと先輩はどれくらいいますか?』


「先輩?あと3人いるね、今回会いに行くのは、シルヴァって言ってねぇ、火力こそ正義、って言ってたよ」

『もしかして、《爆炎の戦槌》の創設者さんですか?』


「よくわかったねぇ、あの工房は中々に変人が多いんでねぇ」


まぁあの連中のロマンは否定しないけどねと師匠、わかります、とてもわかります!!ロマンは無くてはならない物です!


「我が弟子ながら、考えてることが分かりやすくて助かるよ」


師匠はクロスティッドを取り出し、慣れた手付きでダイヤルを回した。


「やぁ久しぶりだねぇ…そういや五年前かねぇ…まぁ、それは良いとして、今年の工房祭は行こうと思うよ…そそ…新しい弟子が出来たのでねぇ…まじのまじよ…なはは、そんなことも有ったねぇ…新しい弟子は魔物だよ…そそ、転生者の子…なるほど、気を付けとくよ…え?泊めてくれる?…ありがとうさん…明日から出発するから…はいはい…そんじゃまた、お休みシルヴァ…これで良し」


こうして、師匠はクロスティッドをテーブルに置いた。


『中々に長かったですね』


「いやー久しぶりに喋ったからねぇ、会話が弾んじゃったよ」


師匠はなはは、と笑う。


『弟子には、どういう人が居るんですか?』


「最初の弟子のテーベは私が旅に出てた時に拾って今は東国焔にいるよ、2人目の弟子リムナは私の故郷パトリアに居た孤児で、今は今代の魔王やってるよ、三人目はさっき話したシルヴァ、この森に捨てられていたのを、私が育てたよ中々に熱血な娘になったよ」


ん???色々とわからないことだらけだぞ?国とかは、まぁ良いとして魔王?魔王は師匠の弟子?


「フリーズしたねぇ、まぁ無理もないか、明日の早朝出発だから早く寝な」


こうして、僕は寝床に行き、意外と早く眠りに落ちた。

◆◆◆

圧倒的説明文!俺でなきゃ見逃しちゃうね!!

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