転生先は蝙蝠です

第５話・難易度上がりすぎでは？

あれはなんだ！鳥か！ヒコーキか！いやドラゴンだー！！

『し、師匠！ヤバイです！ドラゴンです！』

「あー、あれはドラゴンじゃなくてアークワイバーンだねぇ」

『そんな事言ってる場合じゃありませぇぇぇん！！？』

「おっと」

アークワイバーンの尻尾がボクと師匠の頭上を槍のように付きだされ、木をなぎ倒す。

「Goaaaaaaa!!!!」

「全く、うるさい、ね！！」

「Goa!!?」

師匠はアークワイバーンが尻尾を掴み、投げ飛ばした。

『ええええええ！？投げ飛ばした！？』

「ふぅ、【闘気】だけだと重く感じるねぇ、あの感じじゃすぐ復帰するから、手短に話すよ？」

『え？』

「まずあのアークワイバーンは、今まで君が戦った中だと一番強いよ」

『ま、まぁそれはわかりました』

「それじゃあ、あのアークワイバーンの血を吸い尽くしたら？」

『吸い付くしたら？…あ』

「思い出したかい？」

ボクは師匠に教わったあることを思い出す。

『…ヴァンプ種は相手の血を吸い、己の力とする種…』

「そう！思い出したならすぐ行動だよ！」

『で、でもボクの牙はアークワイバーンの鱗には通らないですよ？』

「あー、言うの忘れてたよ、この世界の生き物には時々、その個体しか持たない能力があってねぇ、それをオリジンマジックというんだけどねぇ？君も持ってるよ？」

『え？本当ですか！』

「そう、本当だよ、んで君のオリジンマジックは魔術を作り出す【魔術創造（スペルクリエイト）】、私はそう命名したよ」

【魔術創造（スペルクリエイト）】ボクが魔術を作り出せていたのはこの能力のおかげということになる。

『え？でもいつから…』

「君が言ってた、『魔術は白い紙に絵を描くようなものである』って言葉を思い出してねぇ、色々と考察やら、昔の例やらを調べて考え付いたのが、オリジンマジックなんじゃないかってね？」

『なるほど…つまりあいつを倒せる様な魔術を創りだせば良いんですね？』

「いいんや、そうも簡単じゃないんだ」

『へ？』

「そんな魔法をたとえ創ったとしても、それだけの魔力を消費する、君の魔力量じゃ一瞬で空になるよ、だから相手の鱗を壊すまではいかなくても、脆くするまでにするんだよ」

『なるほど…わかりました！やってみます！』

師匠が投げ飛ばしたアークワイバーンが木々をなぎ倒しながら突進してくる。

「さーて、話しすぎたね…じゃ後は頑張れ！」

『へ？師匠も手伝ってくれるんじゃないんですか？』

「君1人で挑まないといみないだろー？、んじゃ後は頑張れ！」

『ちょ！師匠！』

師匠はポータルを開くと、そのまま家へ帰っていった。

「Goaaaaaaa！！」

師匠がいない今、ボクにできることは１つ。

ワイバーンの血を吸い尽くして力を得る、これだけだ。

『覚悟しろワイバーン！血を吸い尽くしてやる！』