第4話・猪時々冒険者

(うぇえ、獣臭い…)


ボクは動かないファングボアから牙を引き抜く、血の味に不快感を感じない事や生きた物を躊躇無く殺すことでボクは人間を辞めたことを思い知らされる。


あの日から毎日血を飲まされ続けて慣れてしまいました、慣れって怖いですね。


あ、ファングボア発見


今僕は魔術の精度をあげる為にファングボアを狩っている。


今見つけたので今日は3匹目、このファングボアにボクは【血の短矢サングイズボルト】を撃ち込む。


血の短矢サングイズボルト】はボクが造り創り上げた魔術である。


魔術の鍛練中に思い付いた魔術である、ボクの考えだけど魔術というのは白いキャンパスに絵を描くようなものだと思う。


今一般的に使われている魔術はキャンパスに、同じ絵を何回も描いているからではないのだろうか…という話をしたらこの子は一体何を言っているんだろうという顔をされたけどね!


血の短矢サングイズボルト】という名前はなぜか頭の中で浮かんだ物をつけている。


四匹目のファングボアに狙いをつけて【血の短矢サングイズボルト】を放つ。


ファングボアの頭に当たると、直径25cmの穴がぽっかりと空いた。


やっぱり初めて使う魔法は加減が難しく威力が高すぎてしまう。


この魔法の威力はどう調整すべきか迷う、込める魔力を少なくするかどうか……まぁ後で考えよう。


ボクがファングボアの血を吸っていると矢が飛んでくる。


ボクは血を吸うのをやめて、避ける。


矢の飛んできた方向を見ると赤い髪の人間がこっちに弓を構えていた。


「……」


え?人間?多分冒険者かな?そんな感じの格好してるもん、っと!危な!?


ボクは矢を避けるとまた矢が飛んでくる。


弓から矢を放つ速度が尋常ではなく、今にも当たりそうである。


あーもう!先人たちは良い言葉を残したものだ、目には目を歯には歯を、そして矢には矢をとね!


少しイラッと来たボクはこんなことを思いながら【血の短矢サングイズボルト】を放つ。


「グゥ!?」


冒険者の右肩から先が無くなり、右腕が地面に落ちる。


すると冒険者は左腕に着けたブレスットを掲げると、冒険者の姿が消える。


や、やってしまったー!!!これヤバイよね!明らかに普通の人と会話する機会を逃したよね!?え?師匠?いや師匠は普通の人じゃないので…


これどうしよ。


「おっやってんねぇ」


師匠が後ろの茂みから出てきた。


『や、やってしまいました…』


「うん、そうだねぇでもあれ悪いのは向こうだねこれ」


『へ?どういう事ですか?』


「私の方に連絡が来てないからねぇ、あれは無断で侵入してるねぇ」


『???』


「この大陸のダンジョンにはねぇ、そのダンジョンを管理する支配者がいるんだよ」


『え、つまり』


「その管理者が私って事だよ」


『へぇーえ、って師匠支配者だったんですか!?』


「あれぇ、言ってなかったっけねぇ?」


でも何でボクは人の肩吹き飛ばして平然としてられるんだ?

心まで魔物になるとかやめて欲しい…


「どうしたんだい?」


『い、いえ何でもありません』


ボクが不安を感じていると。


空からドラゴンが降って来た。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る