第9話 おまけ。とりあえず最初に立ちはだかる『面倒』はすぐさま撤去いたしました。
握手をした後で、2人は二言三言会話を交わした。
そしてテレーサが暇を告げようとした時である。
セシリアは1つ、既に発生している『面倒事』の目を摘むべく行動する。
「ところで、テレーサ様」
「何でしょう?」
「お一人でここに来られるのは構わないのですが、次からはもう少し理由に気を使っていただけると嬉しいのです」
「え?」
まるで心当たりがないと言いたげな彼女の様子に「やはり気付いていないのか」とセシリアは小さくため息を付いた。
そしてあちらにバレないように「こっそりあちらを見てみてください」と、セシリアは子供の社交場を示す。
すると彼女は、素直にそれに従った。
そして遂に目撃したのである。
自分の取り巻き達がこちらを、否、セシリアを睨みつけているという事に。
「……! も、申し訳ありませんっ!!」
彼女達が何故、セシリアの事を睨んでいるのか。
それは彼女達の置かれている状況と、その瞳に浮かぶ感情を組み合わせて考えれば間違えようが無い。
そしてそれは、どうやらテレーサにも分かったようだった。
「彼女達には後で、ちゃんとフォローしておきますので!」
慌てて告げられたその言葉に、セシリアはホッとした様子を装いながら微笑む。
きっとこの程度、セシリアならばどうにかできる。
しかしその手間を考えれば、彼女が能動的に動いてくれた方がよりスムーズ且つ楽に事が進むだろう。
だから。
「――ありがとうございます」
お願いしますね。
そんな気持ちを言葉に込めて、セシリアは彼女にお礼を言ったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます