第9話 おまけ。とりあえず最初に立ちはだかる『面倒』はすぐさま撤去いたしました。



 握手をした後で、2人は二言三言会話を交わした。

 そしてテレーサが暇を告げようとした時である。

 セシリアは1つ、既に発生している『面倒事』の目を摘むべく行動する。


「ところで、テレーサ様」

「何でしょう?」

「お一人でここに来られるのは構わないのですが、次からはもう少し理由に気を使っていただけると嬉しいのです」

「え?」


 まるで心当たりがないと言いたげな彼女の様子に「やはり気付いていないのか」とセシリアは小さくため息を付いた。

 そしてあちらにバレないように「こっそりあちらを見てみてください」と、セシリアは子供の社交場を示す。


 すると彼女は、素直にそれに従った。

 そして遂に目撃したのである。

 自分の取り巻き達がこちらを、否、セシリアを睨みつけているという事に。


「……! も、申し訳ありませんっ!!」


 彼女達が何故、セシリアの事を睨んでいるのか。

 それは彼女達の置かれている状況と、その瞳に浮かぶ感情を組み合わせて考えれば間違えようが無い。

 

 そしてそれは、どうやらテレーサにも分かったようだった。


「彼女達には後で、ちゃんとフォローしておきますので!」


 慌てて告げられたその言葉に、セシリアはホッとした様子を装いながら微笑む。


 きっとこの程度、セシリアならばどうにかできる。

 しかしその手間を考えれば、彼女が能動的に動いてくれた方がよりスムーズ且つ楽に事が進むだろう。

 だから。


「――ありがとうございます」


 お願いしますね。

 そんな気持ちを言葉に込めて、セシリアは彼女にお礼を言ったのだった。


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