第21話 いくつになってもクリームソーダが美味しい
なんて安易な……。
「エクソシストになりましょう!」と空太郎さんに言ったのは私なのだが、映画1本ですっかりその気になっている空太郎さんに若干の不安を覚える。
「てかさー、エクソシストってカトリック教徒じゃない限りありえなくない?」
ユキトくんの言葉に固まる私と空太郎さん。
「空太郎さんってカトリック教徒だったり……」
「しないね。普通に仏教徒だし。なんだったかな。浄土真宗とかかな。よく知らん」
「確かに私もなんだっけな。日蓮宗とかかな……」
「その程度の知識しかないのにエクソシストになろうとかマジなテンションで言い出すのやばくない?」
「ユキトくん、最近生意気だよ!」
ユキトくん、中学生なのに色々物知りだし太刀打ちできないな……。
「まあ要するにエクソシストになるのはあきらめたほうがいいね」
空中をクロールしながら言うユキトくんに落胆した様子の空太郎さん。
「僧侶とかならいけるじゃん。いまからどっか弟子入りして出家しなよ」
「僧侶はなんかちげえな~」
「まあそんな簡単になれるようなものじゃないってことだけはわかりましたね」
テンションの下がった私は空太郎さんに付き添われながら帰路につくのであった。
* * *
「あのさ」
大学の帰り、いきつけのカフェ(空太郎さんと将太郎のバイト先のSunnyではない)で将太郎と話す。
「これ」
御守りの指輪を将太郎に見せる。
「これ、将太郎が持ってきた漫画の袋のなかに一緒に入ってたんだけど」
考えるのが面倒くさくなった私は、将太郎に直接聞くことにした。
私は結局、こういうときの正面突破以外のやり方を知らない。
「何か言うことない?」
将太郎の顔を見ると強張っている。
「私ずーっと探してたんだよ? 将太郎も私がこの指輪大事にしてたの知ってるよね? それなのになんで将太郎の持ってきた袋から……」
「ごめん……」
「ごめんで許す気はない」
ごめんってことはやっぱりわざと私のものを盗んだってこと……?
ショックだ。
「あのさ、こんなこと今言ったら世里奈が困るってことわかってるけど……」
「うん」
「俺、世里奈のこと好き」
びっくりしすぎて声も出なかった。
「え……」
「ずっと好きだった。小学校2年くらいのころからずっと」
「はあ!? 10年以上ってこと!?」
「そうなるね」
信じられない。
何を言っていいのかわからず、私は目の前のクリームソーダのアイスを食べることにただただ集中することにした。
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