第17話 御守りの指輪
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カフェ『Sunny』で倒れてからというもの体調が悪い。
空太郎さんからもらった御守り指輪をなくしてから、前よりも霊的なものに対する防御力が下がってしまった気がする。
入学してやっと1か月経ったくらいなのに、もう4日も大学を休んでしまった。
この4日間、ご飯もあまり食べられず、身体も重くてずっと臥せってしまっている。
熱はないし、コロナの線はないと思うから、なんか霊に当てられてしまったんだろう。
ふと携帯に目をやると画面に通知が届く。
将太郎:まだ具合悪いの?
世里奈:うん
将太郎:今日この前読みたいって言ってた漫画もっていこうか?
世里奈:いいの?
将太郎:身体動かすのしんどいなら漫画くらいしか読めないっしょ
世里奈:ありがと~
目が覚めては携帯をいじるのも飽きた。
将太郎、なかなか気が利くじゃん。
手元でまた明るくなる携帯の画面。
「え!!!!!!!!」
突然の空太郎さんからのメッセージに奇声を上げる。
空太郎:将太郎くんから体調を崩してるって聞いたよ
大丈夫?
「キターーーーーー!!」
私のことちゃんと心配してる~!
一歩前進!
よっしゃあ!!
世里奈:元気なかったんですけど、空太郎さんからのメッセージで一気に元気でました!
私は恋の駆け引きはしない。
好きな人には素直に好きと言いたい。
世里奈:空太郎さんはお仕事慣れましたか?
空太郎:そうだねー
最近はこっくりさんやったり、霊に仕事指示したりしてるよ
いや意味不明すぎる。
私がいない間に何があったし。
空太郎:あとカフェの霊もだいぶ減ったから
最近は1日に2人くらいしか来てないよ
世里奈:じゃあ元気になったら空太郎さんに会いに行きますね!
空太郎さんとここまでまともにやり取りしたことなかったから幸せすぎてニヤニヤしてしまう。
「うあ~~~! だいぶ元気出てきましたよ!!」
背伸びをしてベッドから立ち上がる。
ピンポーン。
下の階からピンポンの音が鳴り響く。
「あ。将太郎かな?」
階段を下りて、玄関を開ける。
「よ、大丈夫か」
「うん。ちょっと調子は上がってきた」
「これ、漫画持ってきたから」
「ありがと」
「じゃ、バイトだから行くわ」
将太郎から受け取った漫画をもって自室に戻る。
「るろうに剣太ずっと読んでみたかったんだよな~」
紙袋から漫画をどさっと出す。
コトンという音が鳴ったのが聞こえる。
「ん?」
音の鳴った先に視線を配ると、あの御守りの指輪がそこにはあった。
「え、なんで? どうして?」
今この紙袋から出てきたよね?
将太郎が持ってたってこと?
「なんで?……」
私はすっかり漫画を読む気も失せて、ただただ指輪を眺めていた。
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